東京書籍の『精選現代文B』の冒頭に小林康夫氏の「世界をつくり替えるために」という教材がある。来年から新課程になるため教科書が変わり、東京書籍の『精選論理国語』からは外れているようであるが、やさしめの『新編論理国語』には残っている。小林康夫氏は東京大学の先生をしていた哲学者で、東大の教養学部の教科書『知の技法』を作った人である。この「世界を作り替えるために」という教材も、高校生になぜ学ぶのかを考えさせる教材となっている。この教材を「クリティカル」に読んでみたい。(といいながら、まだ私は「クリティカル」の意味が本当はどういう意味なのかがよくわかっていない。)
この教材のあらすじは次の通りだ。
(第一段落)
・みなさんは自分と世界の間に宿命的なズレを感じることがあるはずだ。
(第二段落)
・人間は他の動物とは違い、ものごとを対象化し、他の動物にとっては「当たり前」であることにも、違和感を覚え宿命的なズレを感じる。
・だから人間は世界を学び、世界を自分に合うように作り替えなければならない。
・学ぶことには二段階ある。自然を学ぶことが第一段階であり、自然を学んだ人間がつくりだしたものを学ぶことが第二段階だ。この第二段階のために学校がある。
(第三段落)
・学ぶことの第一歩は、好き嫌いの感覚を停止して、考えること。もう一つのポイントは、全体を見ること、それと同時にその中の特異点ををつかみ、全体をもう一度作り直すこと。
(第四段落)
・世界と自分の間に感じられるズレの中に未来の「種」がつまっている。考え抜き、心の中に「種」を宿しておくことが今は大切だ。
(つづく)
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