映画『枯れ葉』を見ました。不思議なバランスの大人のメルヘンです。
舞台は現代のフィンランドの首都ヘルシンキ。現代と言いながら古い時代のようにも感じられます。理不尽な理由で失業したアンサと、酒に溺れながらも工事現場で働くホラッパが恋に落ちます。しかし、この二人いつもたどたどしい。デートで見る映画はゾンビ映画だし、男は連絡先のメモをすぐに落としてしまう。さらに男はアル中で、女に嫌われるし、会社は首になる。こんな二人のたどたどしい中年の恋が淡々と描かれます。
しかも忘れていけないのは、この映画の背後にウクライナ戦争があるということです。アンサが家でラジオをつけると必ずウクライナ戦争のニュースが流れてくるのです。この仕掛けが何を意味しているのかはわかりません。しかし表面的なメルヘン風のコメディの裏に、深い不条理を忍ばせているのです。この不思議なバランスが全編に流れています。リアリティのかけらもないはずなのに、不思議なバランスがメルヘンとしてのリアリティを生んでしまうのです。
フィンランドのアキ・カウリスマキという監督の作品です。有名な方のようですが、私は初めて見ました。主役はのアルマ・ポウスティ。『TOVE トーベ』の主役で、こちらは見たことがあります。
刺激を潜んだ映画であり、見終わった後じわりと染みてきました。
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