とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

映画評『万引き家族』

2018-06-17 06:54:18 | 映画
監督・脚本 是枝裕和
出演 リリー・フランキー 安藤サクラ 松岡茉優 池松壮亮 城桧吏 佐々木みゆ 
高良健吾 池脇千鶴 樹木希林

 この映画は「現代」の表に現れない日本の姿がリアルに描かれている映画だった。

 血のつながりのない人間たちがひとりの老婆の家に同居するようになる。彼らは好きで帰る家を失ったのではない。それぞれにそれぞれの事情があり集まったのだが、みんな「現代」の格差社会のひずみによって帰る家を失ったと言える。だからここに集ったのは必然だった。彼らは支え合うしかなかった。「普通」の社会と対峙しながら、お互いを支え合うしかなかったのだ。

 私たちの「常識」はこの映画の警察の人の立場でものを見ている。しかしこの映画を見ていると、警察の立場の「常識」がどれほどうさん臭いもんであったのかがわかってくる。われわれ現代日本人は「常識」を守るために、たくさんの人の生きる場所を奪っているのだ。そんな現実の日本社会の構図を見せてくれる映画だった。日本は「民主的で平等な平和」な社会だとみんなが思っている。しかし本当にそうなのか。「民主的で平等で平和」な社会に必死でしがみついてうさん臭い人間にみんながなっているだけなのではなかろうか。

 最近起こった猟奇的な犯罪も犯罪者側の視点に立てば見え方が違うのではないかと思わせる。社会のひずみが人間を追い込んでいくのである。犯罪者を断罪するだけではなく、社会の問題として、そして自分自身の問題として考えていく必要があるのだ。

 カンヌで最優秀にならなければ見ない映画だったかもしれない。カンヌはいい仕事をした。
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吉田美奈子さんの「凪」に感動(「吉田美奈子×森俊之~DUO2018~」)

2018-06-14 08:01:04 | ライブ・コンサート
 山形市ミュージック昭和で行われた吉田美奈子さんと森俊之さんのライブに行きました。吉田美奈子さんは毎年全国ツアーをやっていて、ここ数年山形にも来てくれています。毎年聞きに行き、感動しています。

 今年も来てくれました。森さんのすばらしい演奏と、吉田さんのすごい歌、こんなすばらしいライブを毎年聞くことができるのは幸せなことです。

 今年は「凪」という曲を歌ってくれました。歌の前に吉田さんがこの曲について語ってくれました。30年ほど前、吉田さんのパートナーがメキシコで事故死したそうです。この「凪」という曲はその時の想いを曲にしたものだということでした。これまではライブでは歌わなかったそうです。おそらく気持ちが入りすぎるからなのだと思います。しかし今になり冷静にヴォーカリストとして歌うことにしたという話でした。感動的な歌でした。

 「凪」は私の好きな曲だったのですが、これまではそんなことをまるで知らずに聞いていました。家に帰り改めてCDを聞くとまるで違う感動がせまってきます。あらためてものすごい曲と再会したという気分になりました。

 ライブ全体が「時の流れ」を意識させるものでした。アンコール曲が「夢で逢えたら」で、時間や空間を超えた世界が描かれていました。広がりつつ集中するそんな時空の中に放り込まれたような気分でした。感動しました。

 ぜひ来年も来てほしい。

 ただし、ビールでも飲みながら聞きたいライブなのですが、ミュージック昭和セッションという会場がアルコールの出せない会場であり、一方では近くに駐車場もないのでかなり不便な会場です。宣伝もほとんでしていません。もっと多くの人が来てもおかしくない、いや来るべきライブです。次はもっといい環境で歌ってほしいと思いました。
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安部首相の白髪が目立つのはなぜ?

2018-06-12 17:59:30 | どう思いますか
日朝首脳会談後の安部首相の会見は白髪が目立ちすぎていました。

わざとらしい。
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窮屈な状況

2018-06-09 07:55:14 | 社会
 NEWSというジャニーズ事務所のグループのタレントが、未成年者と飲み会をしたということで叩かれている。わたしはこの問題は大したことないと感じている。「ごめんなさい。」で済む程度のものだ。ワイドショーを見ていないのでテレビでどういうコメントがなされているのかはわからないが、インターネットでの叩かれ方を見ていると世間の反応のほうが異常なのではないかと感じる。

 一緒にいた女性は未成年者であったらしいが、それを隠していたらしい。そこまで調べなければ飲み会ができないというのも窮屈すぎる。酒の飲み方が下品だという批判があるようだが、酒の飲み方を他人に言われたくない。他人に大きな迷惑をかけないのならば自由である。酒はおとなしく飲まなければいけないと言うのだろうか。このタレントは結果的に法律違反だったのかもしれないが、軽度の過失と言う程度のものであり、大げさに批判されるほどのものではない。

 私はこのタレントのことをほとんど知らないのでどうでもいい事件ではあるのだが、このタレントを極悪人のように扱うインターネット上の反応には違和感を覚える。おそらくほとんどの人が私と同じように感じているのではないだろうか。しかしそれを公の場では発言できない。今日本はそんな窮屈な状況にあるような気がする。
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書評『新版議論のレッスン』(福澤一𠮷著)

2018-06-07 08:10:36 | 読書
 旧版の同書を読んだことがあったが、新版が出たので購入して読んだ。復習にもなり、しかも旧版の曖昧であったことがさらに整理されていたので、私の頭の中も以前よりすっきりした。

 かつて「論理学」を勉強した時、数学的な厳密な意味での「論理」だけを扱っていた。高校の数学でやる、必要条件、十分条件、「かつ」、「または」などを思い出していただければイメージがわくかもしれない。もちろんその「論理学」は抽象的な論理の理解として知っておくべきものである。しかし現実社会で私たちに必要なのは、普段使っている母語での論理である。その普段の論理について我々はほとんど知らないのである。これは国語教育の基礎となるべきはずなのに、まったくと言っていいほど欠落している部分だ。

 福澤氏は「トゥールミンモデル」を用いて日常言語における論理をわかりやすく説明してくれる。日常言語の論理には「意見(主張)」と「根拠」があり、そしてそのふたつをつつなぐ「論拠」が存在する。この「論拠」を見抜くことが大切だと氏は説明する。なるほどと思った。

 私としてはまだ実践トレーニングが足りなく、しっかり理解したという段階まではいたっていない。しかし重要であることはあきらかだ。今後の日本の国語教育において重視すべき分野であり、今後も学んでいきたい。
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