とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

映画『パリタクシー』を見ました。

2023-07-19 17:39:40 | 映画
 映画『パリタクシー』を見ました。波乱の人生を送った女性が、年老いて死を覚悟して高齢者施設に移る。その時に乗ったタクシー運転手との数時間の出来事を映画です。私の好きなタイプの映画でした。

 老女の波乱の人生がおもしろい。もちろんおもしろいと言ってはいけないような悲惨な出来事だらけなのですが、しかし人生の流転に引きつけられます。男の股間を焼いてしまうのは、ジョン・アービングを感じておもしろかった。老女の悲しくも思い出深い人生が心を動かします。

 一方ではキックボードの乗った男ににぶつけられたり、タクシーの運転手があやうく信号無視でキップをきられそうになったり、狭い道で駐車して大渋滞になりながら余裕を見せたり、小さなストレスが次々と襲い掛かる中で仕事をしている姿に、リアリティを覚えます。

 最初、90分という短い映画なので深刻な芸術系の映画なのかなと思っていましたが、波乱万丈で、感動的な映画でした。

 ただし最後の101万ユーロはいけません。結局は金で解決されてしまったような感じがしてちょっと覚めてしまいました。
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大江健三郎作『狩猟で暮したわれらの先祖』を読みました。

2023-07-16 15:37:08 | 読書
 大江健三郎作『狩猟で暮したわれらの先祖』を読みました。これは1969年に出版された『われらの狂気を生き延びる道を教えよ』(新潮社)に収められている比較的初期の中編小説です。

 「僕」は三人暮らしです。妻と息子がいます。暮らしている街に6人の家族がやってきます。「普通」とは違う家族です。彼らはその街に住み着きます。「僕」かつて「山の人」と呼ばれている山間地で流浪する一族を差別していました。6人の家族がその「山の人」ではないかと恐れます。自分に復讐しにきたのではないかと。

 町の住民たちも、6人組の家族を警戒します。そして異質な存在として接します。住民と家族は奇妙な関係を保ちながらしばらく街に一緒に生活します。

 「僕」もその家族を警戒しながらも、なぜかひかれていきます。おそらくそれは彼らが自分にはない「自由」を持っているからです。共同体から自由なのです。しかし結局それは彼らを疎外していくのです。

 住民の常識が正しいのか、その家族の常識が正しいのか混とんとしていく中、やはり共同体の論理が勝ちます。どの世界でもそうです。共同体は目に見えぬ権力を背景にしているのです。「誰がどうみても共同体のほうが正しい。」そう思わせる権力を「共同体」は持っているのです。
 
 「国家」とは何なのかを突き付けてくる作品でした。
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映画『アフターサン』を見ました。

2023-07-14 18:30:58 | 映画
映画『アフターサン』を見ました。難しい映画だという予備知識はあったのですが、それ以外の情報はシャットアウトして見ましたが、完全に見誤ってしまってしまいました。だから多分半分も理解できていません。深い映画です。

映画を見終わってから見た、「あらすじ」と「解説」を引用します。

(あらすじ)
思春期真っただ中の11歳のソフィは、離れて暮らしている31歳の父親カラムと夏休みを過ごすため、トルコの閑散としたリゾート地にやってくる。二人はビデオカメラで互いを撮影し合い、親密な時間が流れる。20年後、当時の父の年齢になったソフィが映像を見返すと、そこには大人になって分かる父親の一面があった。

(解説)
幼いころに父親と二人きりで過ごした夏休みを、成長した女性が回想するかたちで描き、世界各国の映画祭や映画賞で話題となったヒューマンドラマ。トルコのリゾート地で31歳の父親と短い夏を過ごした11歳の少女が、当時の父親と同じ年齢になり、大好きだった父親の記憶をたどる。

あらすじの通り見終わったのですが、解説の「女性が回想するかたち」だったというのは気が付かないまま見終わりました。父親と娘のすこしぎくしゃくした、しかしかけがえのない夏休みを描いているのはわかりました。しかし逆に女の子のほうに死の影を感じてしまっていたのです。ですから映画の見方としては失格でした。

この映画は、離婚して今は一緒に暮らしていない男親と娘のもどかしい関係に、青春の初々しさと人間関係のぎこちなさが描けかれています。最後にデビッドボウイとクイーンの『アンダープレッシャー』が流れ、アンバランスがアンバランスのままに巨大化していく映像が衝撃的でした。

映画を見ながら様々な想像をしてしまいます。映画で見知らぬ親子の人間観察をしているような映画でした。

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山下達郎氏の発言は許せない

2023-07-12 08:14:50 | 社会
 ジャニーズ事務所の問題については一度このブログで書いており、それ以上書くのは避けていたが、この度の山下達郎氏の発言は私に火をつけた。許すわけにはいかない。

 ジャニーズ事務所の問題は、ジャニー喜多川氏が権力を行使して性犯罪を常習化していたということが、多くの証言により明らかになったということであり、現在事務所がその犯罪の存在を隠蔽しているという疑惑である。自分の性的な快楽のために若い男子をだまし、それを隠蔽するために巨大な権力を駆使してきたという事件である。結果的には一般人も権力者の犯罪の隠ぺい行為に加担していたことにもなるのだ。単なる事務所スキャンダルとは違う。

 事務所は最近になって、事務所のタレントをあらゆる番組に出演させている。ドラマを見ていてもどのドラマにも必ずといっていいほどジャニーズ事務所のタレントが出演している。中には演技の質が伴っていないタレントまでいる。これは事の重大さがわかっていないというだけではない。事務所自体が隠蔽していると疑われてもいいような事態なのである。

 ジャニーズ事務所はカルト集団なのではないかという疑惑まで出てくる。それくらい重大な事件なのだ。もちろんジャニーズのタレントが悪いわけではない。才能あるタレントも多くいるのは明らかである。しかしそれがどれだけの犠牲の上にあったのか、そしてタレントが隠蔽に加担していたのかを明らかにしなければならない。そうしなければ夢の世界であるはずの芸能ビジネスが、実は一部の権力者によってゆがんだものであったことになってしまうのだ。
 
 山下氏がジャニー喜多川氏に才能や恩を感じているのというのは事実なのだから問題ない。しかし、多くの証言があり、ここまでジャニー氏の性犯罪の有無がはっきりしていながら「知らない」で済ますのは隠蔽に加担していると言ってもいい。そして松尾氏との契約解除の問題に対するコメントであるのにも関わらずその原因を結局は曖昧にしているのも、だったらなんのためのコメントだったのか理解できない。

 そして最後の
「このような私の姿勢を忖度、あるいは長いものに巻かれているとそのように解釈されるのであれば、それでも構いません。きっとそういう方々には私の音楽は不要でしょう。」
という言葉は許せない。この言葉が私の怒りのリミットを超えさせてしまった。いったいこいつ何様なんだ。

 権力を持った人間が理不尽な言動をすることを許しておけば、近い将来その社会は崩壊する。しかし現在の日本の状況はどんどん権力者の思うままになってしまっている。

 私は芸能は権力から自由になるものとして好んできた。だからこそ山下氏の発言は許しておけない。
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「1時間弱」は何分?

2023-07-10 14:15:55 | 社会
 朝、TBSの「THE TIME」を見ていた。6時の安住アナウンサーの番組冒頭のあいさつで、世代の差を語り始めた。そして「1時間弱」は何分かと視聴者に尋ねた。だれもが「50分」「55分」などという回答になると思っていたら、意外にも若い世代では「65分」「70分」という回答があったということだった。びっくりした。

 おそらくこれは「1時間弱」を「1時間と少しの時間」と思ってしまっている人がいるということなのだと思う。しかしこれは世代の差ではなく、間違いである。1時間弱を1時間を超えると思っている人がいたらコミュニケーションがなりたたない。今すぐ勘違いを直してもらわなければいけない。

 安住アナウンサーは柔軟だから人気があるのだろうが、なんでもかんでも若い人に媚びる必要はない。いやこの件に関しては間違いを許してもらっては困る。間違いは間違いであり、それまで許していたら社会なんか成り立ちやしない。
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