世界の街角

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驚きのスコータイ窯端反り盤

2015-10-02 07:48:52 | 北タイ陶磁
サワンカロークと呼ばれるスコータイ、シーサッチャナラーイ陶磁については、全く素人であり、以下の事柄は当該ブロガー以外の方々には周知のことかもしれない。
先日バンコクのリバーサイド・オークションハウスのHPを覗くと、10月3日開催のオークション・カタログが掲載されており、その中に写真のスコータイ(16世紀)青磁双魚文盤(出品番号LOT007)が掲載されていた。
写真が不鮮明で貼花か印花か、はっきりしない。所謂サワンカロークで、貼花の双魚文など見聞していないので印花文と思うが、貼花文に見えなくもない、それにしても龍泉窯の青磁貼花双魚文盤と似ている。
下の写真は比較のため掲載した龍泉窯の青磁貼花双魚文盤である。盤の形状や意匠がそっくりである。
素人ゆえ過去にこのような盤が、サワンカロークにあるとはつい思わなかった。今でもリバーサイド・オークションハウスさん本当か?・・・との疑問が無い訳でもない。
龍泉窯の双魚文の影響を大きく受けているのは、サンカンペーンの印花文であるというのが定説で、それに沿った比較展示もなされている。下の写真はバンコク大学東南アジア陶磁館の展示である。
そのような中での、スコータイ青磁双魚文盤であり、驚き以外の何物でもない。 一度現物を拝見したいものである。
下の写真(解像度が低く恐縮ですが)を御覧願いたい。その見込みの文様は、陶磁大系47 タイ・ベトナム陶磁 平凡社刊 から写した、シーサッチャナラーイの鉄絵蓮池水禽文である。それはまさに元染めの直模であり、事例がないわけではない。
スコータイ第3代王ラームカムヘーンの伝説(プラルアン王伝説)によれば、王の要請によって、中国の陶工がスコータイに移住したとの伝承が伝わっている。しかし中国側の史書には、そのような記載はなく判然としない。しかし窯址からは13-14世紀の龍泉窯の青磁片が出土しており、その影響を受けてのスコータイ青磁双魚文盤であろう。
その道のプロの所見なり文献を目にしたいものである。誰か御教示頂ければ有難い。