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最近見たオークション出品の東南アジア古陶磁第3弾である。今回は魅力あふれるミャンマー陶磁を紹介したい。ミャンマー陶磁も素人に近いが、それなりに数もこなし、ある泰斗からポイントの教示も受け、多少なりとも真贋の判断はできるのではないかと考えている。
写真の錫鉛釉緑彩陶の産地は長らく不明であり、緑彩磚がペグーの仏塔を飾ったり、ペグー周辺から出土することからペグー産ではないかとも云われていた。しかし、これが最近といっても昨2016年であるが、Dr.Don Hienを中心とする発掘調査団により、マルタバン郊外の農村の窯址を発掘調査した結果、錫鉛釉緑彩陶の窯址であることが判明した。そこ1箇所か、それとも他にも窯址が存在するかについては不明であるが、少なくとも1箇所の産地が特定できた意義は大きい。しかし、いまだ発掘調査報告は目にしておらず、以下紹介する緑彩磚も含まれていたかどうか明らかではない。
当該ブロガーにとっては、この手の磚が何時頃、何処かハッキリしない。緑釉のみの装飾磚はバガンの13世紀に見ることができるが、写真の磚はベースが錫鉛釉に覆われており、15-16世紀頃と思われる。最初の写真と上の磚で表現されている鳥はハンサ(ハムサとも呼ぶ:ブラフマー神の乗り物)で、中世のミャンマーでは最もポピュラーな題材である。
写真の解像度が低く、磚右上の造形物が何ものか浅学菲才の身には判断できない。左の人物の後ろは光背と思われ、釈迦であろうか?見ると眼が大きく左右の眉が繋がっているように見える。モン(MON)族の顏の特徴そのものである。右下には魚が表現されている。ジャータカの一場面であろうか?
これは最近ではなく、過去に見たオークション出品の磚であるが、登場する人物の顔を御覧願いたい。まさに亀有の両さんで、左右の眉が繋がっている。モン族は鋳造にも長け、青銅製の仏像の顏も同様な表現である。
これは戦士で縦と武器を持っている。このような戦士像はなぜか一対で表されている。
これは一対の双魚ではなく、三魚文で表されている。何故三魚文なのか?後日紹介したい。
上に紹介した磚は比較的小型で正方形にちかいが、以下紹介する磚は大きな陶板である。
緑釉と白く発色した錫鉛釉碗をそれぞれ1点紹介しておく。最近のネット・オークションには、それなりの数のミャンマー陶磁が出品されている。これらは名のあるコレクターの収集品が出品されており、ご高齢の方々のコレクションである。どうも整理されている様子が伺える。従ってこれらに倣作(偽物)は含まれていないように思われる。
<続く>