ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

河内ダム

2017-03-03 18:37:22 | 三重県
2017年2月27日 河内ダム
 
河内ダムは三重県鳥羽市の加茂川左支流河内川にある重力式コンクリートダムで、農林省(現農水省)の補助を受けた三重県の事業で1963年(昭和38年)に建設された農地防災ダムです。
加茂川流域では1959年(昭和34年)の伊勢湾台風で900戸近い家屋が浸水被害を被る甚大な被害が発生し、これを受けて加茂川本流の松尾ダムとともに建設されました。
 
国道167号線の杉ヶ瀬川西交差点から河内川沿いに市道を西進し、第二伊勢道路の高架橋から約1キロ遡上したところに河内ダムがあります。
ダムの天端は車道になっており車両の通行が可能です。
上流側の建物はゲート操作室です。
 
天端からみた下流側
通常は堤体下部の穴から水が流下しています。
 
防災ダムということで上流は水がたまっていません。
 
左岸の崖を下り堤体の下流に下りることができました
手前は副ダムです。
 
堤体直下から写真を撮ることができましたが撮影ポイントの少ないダムです。
松尾ダム、河内ダムの建設後も加茂川流域では大きな洪水被害が発生しており、現在河内ダムの下流に三重県により洪水調節と不特定利水を目的とした鳥羽河内ダムの建設が計画されています。
 
1305 河内ダム(0851)
三重県鳥羽市河内町
加茂川水系鳥羽河内川
24メートル
78メートル
鳥羽市
1963年

松尾ダム

2017-03-03 17:19:36 | 三重県
2017年2月27日 松尾ダム
 
三重県鳥羽市を南北に貫流する加茂川水源域は堆積岩で形成された脆い地盤となっており豪雨のたびに流域に洪水被害をもたらしてきました。
とくに1959年(昭和34年)の伊勢湾台風では計900戸近い家屋が浸水被害を被る甚大な被害が発生しました。
これを受け加茂川上流の鈴串川に松尾ダム、支流の河内川に河内ダムという2基の防災ダムが建設されました。
2基のダムはともに農林省(現農水省)の補助を受けて三重県が建設した農地防災ダムで、現在は鳥羽市が管理を行っています。
 
国道167号線の松尾北交差点から県道47号に入り相差方面に走ると松尾ダムに到着します。
といっても、松尾ダムの天端が県道になっており注意して走らないと橋と間違えて通り過ぎてしまいます。
左岸から
松尾ダムの天端が県道です。
 
天端から下流面
通常は堤体下の2箇所の穴を水が流下します。
 
ダムの下流の眺め。
 
右岸の竣工記念碑。
 
県道47号はセンターラインのない狭い道路ですが、結構な通行量があります。
 
防災専用ということで通常は堤体下部の2カ所の穴を水が流下しダム湖はありません。
 
水がたまっていないのでダムの直上に下りることができます。
 
下流から。
 
2基の防災ダム建設後も加茂川流域では1982年(昭和57年)と1988年(昭和63年)に大きな洪水被害が発生しました。
そのため現在三重県により洪水調節及び不特定利水を目的とした重力式コンクリートダムの鳥羽河内ダムの建設が計画されています。
また一昨年10月からスタートしたダム巡りはこの松尾ダムが記念すべき850基目のマイルストーンとなりました。
 
1310 松尾ダム(0850)
三重県鳥羽市松尾町
加茂川水系鈴串川
17メートル
63.6メートル
鳥羽市
1963年

神路ダム

2017-03-03 14:45:39 | 三重県
2017年2月27日 神路ダム
 
神路で『かみじ』と読みます。
神路ダムは三重県志摩市磯部町の磯部川(神路川)にある上水道目的のアースダムで、三重県により1972年(昭和47年)に建設されました。
降水量は豊かなものの大河がない志摩半島では渇水期の水源確保が長年の課題でした。これを受けて三重県企業庁が建設したのが神路ダムで当初は上水道と灌漑用水の水源として計画されましたが、観光客の増大などによる予想以上の需要拡大により上水道専用ダムとして建設されました。
ここで取水された水は磯部浄水場を経て志摩水道として給水されています。
当初は三重県企業庁が管理をしていましたが、平成の大合併に伴い志摩水道の給水範囲が志摩市のみとなったため2011年(平成23年)にダムを含め水道施設は志摩市に移管されました。
 
神路ダム湖畔を伊勢と磯部を結ぶ伊勢道路(県道32号線)が通っておりアプローチは簡単です。
ダムサイトにある竣工記念碑。
 
左岸管理所。
 
天端は車両進入禁止。
 
ダム湖
ダム湖左岸に伊勢道路が通っており3カ所の橋梁でダム湖を渡っています。
橋梁部分は万一の自動車転落に備えてオイルフェンスが張られています。
 
下流面はきれいに刈り払われています
洪水吐の改修工事関係車両が止まっています。
 
右岸洪水吐
現在洪水吐の改修工事中です。
 
洪水吐導流部。
 
インクラインと斜樋。
 
右岸から下流面。
 
本来ならダム下流側からも見学できるのですが、洪水吐の改修工事のため今回は立ち入ることができませんでした。
 
追記
神路ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに7万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
1318 神路ダム(0849)
三重県志摩市磯部町恵利原
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
磯部川水系磯部川
29.6メートル
155.3メートル
㎥/㎥
志摩市
1972年
◎治水協定が締結されたダム

御大典池

2017-03-03 11:40:06 | 岐阜県
2017年2月26日 御大典池
 
御大典池(みのりがいけ)は岐阜県多治見市美山町の庄内川水系小泉川右支流(河川名不明)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には1915年(大正4年)に小泉耕地整理組合の事業で竣工と記されており、受益者の持ち出しで建設されたと思われます。
御大典は天皇陛下の即位式を指し1915年に大正天皇の御大典式典が行われたことを記念してこの名を付けました。
ため池データベースには所有者・管理者ともに『自然人』と記されていますが、自然人は代表者名であり実際には受益者で組織された水利組合が管理しているようです。
 
多治見中心街から国道18号を西進し、富士見町交差点を右折して市道を進むと左手に御大典池の堤体が見えてきます。
溜池右岸に続く車道もありますが今回は堤体直下からアプローチ。
 
取水設備からの底樋吐口。
 
堤体中央の階段で天端に上がります。
 
天端。
 
天端からの眺め
奥に多治見市街地が広がります。
かつては水田が続いていたであろう溜池直下も住宅や町工場が並んでいます。
 
斜樋。
 
貯水容量3万5000立米と小ぶりな溜池です。
 
右岸の洪水吐。
 
 
上流面
釣り人が何人かいます。
 
1050 御大典池(0848)
ため池コード 212040005 
岐阜県多治見市美山町
庄内川水系小泉川右支流
15メートル
238メートル
35千㎥/35千㎥
自然人
1915年

木瀬ダム

2017-03-03 10:21:01 | 愛知県
2017年2月26日 木瀬ダム
 
木瀬ダムは愛知県豊田市の矢作川水系木瀬川に1999年(平成11年)に建設された愛知県営の多目的重力式コンクリートダムで、木瀬川の洪水調節、既得取水権への補強及び河川流量の維持、豊田市北西部への上水道の供給を目的としています。
『しらさぎ湖』と名付けられた貯水池は貯水容量64万4000立米の規模で、いわゆる生活貯水池です。
 
国道419号から県道13号に左折して北上すると木瀬ダム直下を通過します。
堤高33メートルの小規模なゲートレスダムです。
オリフィスから放流をしていました。
 
堤体直下は小公園になっており駐車スペースもあります。
 
堤体直下まで接近できます。
 
県道から管理道路に入るとダムサイトに到着します
左岸から。
 
天端高欄には地元の伝統行事や自然を紹介する陶板が嵌め込まれています。
 
ダム湖(しらさぎ湖)。
 
減勢工
手前は利水放流設備です。
 
天端は歩行者のみ通行可。
 
右岸から
手前は取水設備、奥は管理事務所。
 
上流から。
 
よくある自治体ダムですが、最近アースダムや溜池ばかり見学していたので非常に新鮮な木瀬ダムでした。


(追記)
木瀬ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。
 
3126 木瀬ダム(0847)
愛知県豊田市三箇町
北緯35度13分30秒,東経137度13分36秒
DamMaps
矢作川水系木瀬川
FNW
33メートル
192メートル
644千㎥/579千㎥
愛知県建設局
1999年
◎治水協定が締結されたダム