ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

谷川内ダム

2021-10-25 23:41:53 | 鹿児島県
2021年10月17日 谷川内ダム
 
谷川内ダムは鹿児島県曽於市財部町北俣の大淀川水系大峯川にある灌漑目的の重力式コンクリートダムです。
曽於北部地区は透水性の高いシラス台地となっており稲作には不向きで零細な畑作営農を余儀なくされていました。
1996年(平成8年)に農水省による国営曽於北部地区かんがい排水事業が着手され、その灌漑用水源として2012年(平成24年)に竣工したのが谷川内ダムです。
事業全体も2014年(平成26年)に完了、約2000ヘクタールの畑地の灌漑設備が整備され、農業経営の大規模化、効率化が図られています。
管理は曽於市が受託しています。

大規模農道『そおかいどう』から谷川内川沿いに西進するとダムに到着します。
ダム下にはゲートがありますがその位置が微妙。
せめてダムの全景だけでも見せてくれれば…
農水省のダムらしい漸縮型堤体導流壁を備えています。

 
ズームアップ。
せめてあと20メートル!

 
右岸から下流面
クレスト自由越流頂は5門。

対岸法面には多数のアンカー、その上部には建設時のケーブルクレーンの台座が鎮座。
一方擁壁にはソーラーパネが並びます。
これは曽於北部畑かん太陽光発電所で曽於北部土地改良区が管理し最大出力は352.8キロワット。

 
減勢工と放流設備。
受益農地への供給は専用水路を通じて行われます。


天端は立ち入り禁止。


右岸の竣工記念碑。

上流面と管理事務所
貯水池は総貯水容量217万立米と宮崎南部や大隅地域の農業用ダムの中では小ぶり。
補給対象が畑地のため年間を通じ水利権の配分があり10月でも満水。
流域面積14.1平方キロのうち自己流域は4.9平方キロに留まり、その過半は栗谷川からの導水によります。 

 
円形の取水設備。

 
右岸にはケーブルクレーン台座が残されています。
対岸法面上の台座との間でケーブルが渡されていました。

 

ちょっと薄汚れた事業説明板。

 
(追記)
谷川内ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

2884 谷川内ダム(1716)
鹿児島県曽於市財部町北俣
大淀川水系大峯川
58.5メートル
222メートル
2170千㎥/1920千㎥
曽於市
2012年
◎治水協定が締結されたダム

木之川内ダム

2021-10-25 16:14:04 | 宮崎県
2021年10月17日 木之川内ダム
 
木之川内(このかわうち)ダムは宮崎県都城市山田町山田の大淀川水系木之川内川源流部にある灌漑目的のロックフィルダムです。
都城盆地は広く霧島の火山堆積物で形成され、透水性が高く水利に乏しいため零細な畑作営農を余儀なくされていました。
1987年(昭和62年)に農水省による国営都城盆地かんがい排水事業が着手され、その灌漑用水源として2009年(平成21年)に完成したのが木之川内ダムです。
事業全体も2012年(平成24年)に完了し約4000ヘクタールに及ぶ畑地の灌漑設備が整備され農業経営の大規模化や採算性向上が図られています。
管理は都城市が受託しています。
 
県道42号都城野尻線に木之川内ダムを示す案内板があり、これに従うとダムに到着します。
下流から
堤体越しに霧島連峰の高千穂峰が頭を出しています。

 
左岸から下流面
堤高64.3メートル、堤頂長409.7メートルと西日本の農業用ロックフィルダムとしては相当のスケール。 
完成から10年ちょっとしかたっていないのにリップラップにはかなりの草が生えているのはちょっと残念。

天端は徒歩のみ開放。

 
ダムサイトの水利使用標識
流域面積23.5平方キロのうち8割弱の18.4平方キロが水利権のある庄内川からの導水に依ります。
かんがい面積は4000ヘクタール弱の畑地で、年間を通して水利権が配分されています。

 
総貯水容量は627万立米
貯水池越しの高千穂峰は本当に絵になります。
この眺めが見たいがために、当ダムの訪問は快晴を選びました。

 
ズームアップ。

 
右岸から下流面
洪水吐導流部が長く伸びます。

 
減勢工と放流設備・調圧水槽
受益地への供給はパイプラインが使われます。

洪水吐。


横越流式洪水吐。
 

上流面。


左岸の管理事務所、斜樋。

 
洪水吐を上流側から
白い敷石が青空に映えます。

 
ダムからの高千穂峰の眺めは秀逸です。
これだけの眺望なら観光スポットとしての活用法もあるんじゃないかと思うんですが、農業用施設だけいろいろ問題があるのでしょう。
でも本当にいいダムです。
 
(追記)
木之川内ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

2848 木之川内ダム(1715)
宮崎県都城市山田町山田
大淀川水系木之川内川
64.3メートル
409.7メートル
6270千㎥/6010千㎥
都城市
2009年
◎治水協定が締結されたダム

綾南ダム

2021-10-25 08:35:13 | 宮崎県
2021年10月17日 綾南ダム 
 
綾南ダムは宮崎県木林市須木下田の大淀川水系本庄川(綾南川)にある宮崎県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、本庄川(綾南川)の洪水調節、宮崎県企業局綾南発電所南機での最大1万3000キロワットのダム水路式発電を目的として1958年(昭和33年)に竣工しました。
 
小林市中心部から国道265号線経由で約21キロ、30分のドライブで綾南ダムに到着します。
ダム湖南岸を通る県道26号線沿いに展望スポットがあり、ダムを俯瞰できます。
クレストにラジアルゲート2門を装備、左岸が屈曲しています。
注目すべきはゲート巻き上げ機を被覆するコルゲートパイプを利用したチューブ状のシェルター
同じ宮崎県営ダムの松尾ダム渡川ダムでも同様のシェルターが設置されています。

左岸が屈曲。 
 
アングルを変えて 
対岸に管理事務所があり、宮崎県ダムではおなじみ民間委託の管理人さんが住み込みで駐在されています。 

天端親柱の『綾南堰堤』の銘版。 
 
 
こちらは諸元プレート。
 
奥に巡視船繋留用の浮桟橋が見えます。
さらに右奥、白い点が見えるところに綾第一発電所への取水口があります。
 
天端は車両通行可能
コルゲートパイプのチューブ状シェルターは巨大な猪用の罠のようです。
このシェルター、ダム完成直後からあったものではなく平成に入ってから後付けされたようです。
 
天端から減勢工
水中に没していますが副ダムが見えます。
 
ダム湖は『小野湖』
ダム湖は縦に長く続き総貯水容量は3800万立米。
 
管理事務所。
 
左岸から下流面。
 
ダム下から見れる場所がないなど見学スポットは少ないのですが、右岸高台からの屈曲したダムの俯瞰は個人的には非常に好みのアングルでした。
 
(追記)
綾南ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

2819 綾南ダム(1714)
宮崎県小林市須木下田
大淀川水系本庄川
FP
64メートル
194.2メートル
38000千㎥/33900千㎥
宮崎県県土整備部
1958年
◎治水協定が締結されたダム