ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

普代ダム

2022-12-01 22:30:06 | 岩手県
2022年10月22日 普代ダム
 
普代ダムは左岸が岩手県下閉伊郡普代村第6地割、右岸が同村第5地割の大沢川水系大沢川にある灌漑目的の重力式コンクリートダムです。
三陸海岸北部に位置する普代村はリアス式海岸が続き農耕地は段丘上の標高200メートル前後に広がっています。
しかし年間降水量1000ミリの少雨に加え、水利に乏しく効率的な農業経営には灌漑設備の整備が不可欠でした。
1982年(昭和57年)に農水省の補助を受けた県営農地開発事業普代地区が着手され、その灌漑用水源として1997年(平成9年)に竣工したのが普代ダムです。
完成後は普代村が管理を受託し、普代村南部の農地約140ヘクタールに灌漑用水を供給しています。 
2016年(平成28年)には河川維持放流を利用した普代ダム小水力発電所が稼働し、最大出力28.4キロワットの小水力発電が開始されました。
 
ダム下から
洪水吐はクレスト自由越流頂3門に漸縮型堤体導流壁
右手は揚水機場で、左手にファームボンドへ向かう水路が架かっています。


右岸ダムサイトの管理事務所
職員の常駐はありません。


ダムの概要板。


天端には地球儀のモニュメント
普代村はちょうど北緯40度に当たり『地球村』を標榜し、各所に地球儀を模したモニュメントを設置しています。
これもその一環。


天端から
減勢工左岸に各種建屋が並びます。
手前は小水力発電所で、奥の大きな建屋が揚水機場。
右手にファームボンドに続く水路管が架かっています。




天端高欄には海鳥などの装飾が施されています。


ダム湖は総貯水容量130万立米。


左岸から下流面。


天端は車両通行可能。


左岸高台から上流面。
取水設備は多孔式、右手は管理事務所。


右岸の艇庫とインクライン。

0276 普代ダム(1896)
左岸 岩手県下閉伊郡普代村第6地割 
右岸         同村第5地割 
大沢川水系大沢川 
 
 
37.3メートル 
97メートル 
1300千㎥/930千㎥ 
普代村
1997年

大野ダム

2022-12-01 18:05:40 | 岩手県
2022年10月22日 大野ダム
 
大野ダムは岩手県九戸郡洋野町水沢の高家川水系オリバ川にある灌漑目的の重力式コンクリートダムです。
町村合併前の旧大野村は年間降水量1000ミリの少雨地帯に加え、地域の大半を森林原野が占めており効率的な農業経営には灌漑設備の整備が不可欠でした。
1982年(昭和57年)に農水省の補助を受けた県営農地開発事業大野地区が着手され、その灌漑用水源として2004年(平成16年)に竣工したのが大野ダムです。
完成後は大野村が管理を受託、現在は町村合併により洋野町が管理を引き継ぎ、大野地区約380ヘクタールの水田・畑・牧草地に灌漑用水を供給しています。 
ダム建設に合わせて周辺の環境整備も進められダム下には親水公園、ダム湖岸には遊歩道が整備され周辺住民の憩いの場となっています。 

まずはダム下から
クレスト自由越流頂2門と放流設備という典型的な農業用コンクリートダムの組み合わせ。


左岸高台に展望台がありますが、ちょうど逆光に…。




左岸ダムサイトの説明板。


銘板は金箔文字。
九州では一般的ですが東北では珍しい。


上流面と多孔式取水設備。


天端から
ダム下は親水公園として整備され立派な駐車場完備、トイレはシャワートイレという充実ぶり。
畑地や牧草地も受益地となっており年間を通して水利権の設定があるため、稲刈りが終わったこの時期でも河川維持放流と利水放流が行われています。


総貯水容量は70万立米と農業用ダムとしては小ぶりなダム湖。
一年を通して水利権の設定があるためこの時期でもほぼ満水。 


右岸から下流面。


天端は徒歩のみ開放
対岸(左岸)に管理事務所がありますが職員の常駐はありません。


上流から遠望。

ダム自体は典型的な農業用ダムですが、とにかく周辺の環境整備が素晴らしい。
ダムの公衆トイレでシャワートイレは驚き。
この美しさが今後10年20年経っても変わらないことを願います。

0275 大野ダム(1895)
岩手県九戸郡洋野町水沢 
高家川水系オリバ川 
 
 
26メートル 
108.3メートル 
700千㎥/600千㎥ 
洋野町
2004年

雪谷川ダム

2022-12-01 14:10:57 | 岩手県
2022年10月22日 雪谷川ダム
 
雪谷川(ゆきやがわ)ダムは岩手県九戸郡軽米町小軽米の新井田川水系雪谷川にある農地防災・灌漑目的の重力式コンクリートダムです。
雪谷川は新井田川の主要右支流で、山地が多い軽米町の中では数少ない農業地帯となっている一方、氾濫や渇水による干ばつ被害が絶えず抜本的な治水・利水対策が求められていました。
そこで岩手県は1967年(昭和42年)に農林省(現農水省)の補助を受けた県営防災ダム事業・かんがい排水事業雪谷川地区に着手、その中核施設として1977年(昭和52年)に竣工したのが雪谷川ダムです。
雪谷川ダムは雪谷川流域の農地防災および灌漑用水の供給を目的としており、運用開始後は軽米町が管理を受託しています。
ダムそのものよりもダム湖畔に整備された森林公園である雪谷川フォリストパークの知名度の方が断然高く、周辺随一の観光スポットになっています。

ダムの入り口には厳重なフェンスが設置され立入禁止。


ダムを望めるはこのアングルのみ
草が枯れていて何とかダムの中段まで見れましたが、夏場は厳しいかも?


全面越流式洪水吐と漸縮型堤体導流壁という農業用ダムではよくある組み合わせ。
赤い管理橋がアクセントになっています。
導流部には苔が密生しているので越流頻度は多くなさそう。
提体から突き出た鉄管は取水設備からの放流管かと思われます。


ダムの案内板。


竣工記念碑。


記念碑の裏側にはダムの諸元
ワタクシ的にはこれが大事。

湖畔のフォリストパークには風車展望台や吊橋、レストラン、キャンプ場などが揃っていますが、ダムの堤体は見えないうえこの日はまだ訪問ダムが残っていたのでスルーしました。

0253 雪谷川ダム(1894)
岩手県九戸郡軽米町小軽米 
新井田川水系雪谷川 
FA 
 
28.4メートル 
107.3メートル 
2662千㎥/2092千㎥ 
軽米町
1977年