2022年11月18日 長湯ダム
長湯ダムは大分県竹田市直入町長湯の一級河川大分川水系社家川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
1946年(昭和21年)に水利に乏しい旧野津原町一帯の灌漑施設整備を目的として農林省(現農水省)の補助を受けた県営芹川用水改良事業が着手され、その灌漑用水源として1953年(昭和28年)に竣工したのが長湯ダムです。
当初は世利川(せりかわ)ダムとして着手されますが、下流に県営芹川ダムが着工され混同を避けるために長湯ダムに変更されました。
運用開始後は世利川井路土地改良区が管理を受託し、旧野津原地域の水田約480ヘクタールに灌漑用水を供給しています。
ダムはバスやワカサギなどの釣りスポットとして人気を集める一方、2016年(平成28年)には日本初のケーブルウエイクボードが楽しめる『Stone Wake Park』が開設され愛好家の人気スポットになっています。
(同施設は2022年7月豪雨で被災し閉業)
右岸ダムサイトに駐車スペースがあります
温泉街に近いこともありダム湖を周回する遊歩道が整備され、洪水吐には吊橋が架かっています。
右岸上流から横越流式洪水吐越しに
2022年(令和4年)7月の豪雨、さらに9月の台風14号で大量の土砂や流木が流入し水は濁ったまま
人気のケーブルウエイクボード施設も甚大な被害を受け閉業となりました。
吊橋から見た洪水吐導流部。
吊橋から見た横越流式洪水吐とダム湖
いまだに大量の流木が残っています。
総貯水容量55万5000立米の長湯湖
天気が良ければダム湖越しに九重連山が一望できるのですが、あいにく雲の中。
これが下流面
もう長い間、草刈りは行われていないようで背の高い笹や草が繁茂。
たぶんこれが放流バルブ。
天端には湖畔をめぐる遊歩道が整備されていますが、上下流面ともに笹や草が伸び放題。
堤体上流側にある取水設備
ここで取水された水は世利川井路第1幹線で旧野津原町南部の水田に送られます。
また、第1幹線から分水された水が芹川第三発電所で使用されたのち芹川ダムを経て芹川逆調整池ダムから世利川井路第2幹線経由で旧野津原町北部の水田に送られます。
斜樋建屋にある芹川用水改良事業の銘板。
左岸から上流面。
長湯温泉に近く、釣りやウエイクボードの人気スポットになっていましたが、上記のように2022年7月豪雨で被災し閉鎖となりました。
堤体の草刈りなども十分ではなく、観光資源としても活用できる素材であるだけに荒れたダムを見るのは忍びないです。
(追記)
長湯ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え 事前放流を行う予備放流容量が配分されました。
2750 長湯ダム(1931)
大分県竹田市直入町長湯
大分川水系社家川