2022年10月23日 夏坂ダム
夏坂ダムは青森県三戸郡田子町夏坂の馬淵川水系熊原川にある農地防災目的の重力式コンクリートダムです。
1958年(昭和33年)9月の台風22号(狩野川台風)により熊原川が氾濫、流域農地で甚大な洪水被害が発生しました。
これを受け青森県は1960年(昭和35年)に農林省(現農水省)の補助を受けた防災ダム事業を採択、熊原川および支流の杉倉川への2基の農地防災ダム建設事業が着手されました。
そして1966年(昭和41年)に熊原川に建設されたのが夏坂ダムです。
その後1972年(昭和47年)に杉倉川に花木ダムが完成、両ダムともに完成後は青森県農林水産部が管理を受託し、熊原川流域の農地防災を担っています。
田子町夏坂の国道104号線上夏坂バス停で熊原川沿いの鹿角街道に入り約2キロ西に進むと夏坂ダムに到着します。
天端は立ち入り禁止のため見学は左岸からに限られます。
苔むした堤体が竣工以来50年以上の時間経過を醸し出します。
導流部中央がジャンプ台になっています。
実はこの下に常用洪水吐吐口があり、このジャンプ台はデフレクターの役割のようです。
時代感溢れるダムと対照的に、斬新なデザインの管理事務所
改修工事中(訪問時は日曜のため休工)で散水車が止まっています。
立入禁止の天端。
上流面
総貯水容量81万立米のうち堆砂容量は4万立米。
堆砂が進んでいるため、ダム湖は空っぽ。
クレスト自由越流頂のほか、常用洪水吐となる放流ゲートを2門備えています。
流水型防災ダムで、通常は流入量は右手の放流ゲートからそのまま放流します。
この吐口が3枚目写真のジャンプ台の下にあります。
左手のゲートはオリフィスに相当し、直上のスライドゲートで洪水量に合わせて放流量をコントロールします。
両ゲートともに上部に洪水時にバルブを保護するためのゲージがついています。
(追記)
夏坂ダムには農地防災容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。