ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

夏坂ダム

2022-12-04 22:05:03 | 青森県
2022年10月23日 夏坂ダム
 
夏坂ダムは青森県三戸郡田子町夏坂の馬淵川水系熊原川にある農地防災目的の重力式コンクリートダムです。
1958年(昭和33年)9月の台風22号(狩野川台風)により熊原川が氾濫、流域農地で甚大な洪水被害が発生しました。  
これを受け青森県は1960年(昭和35年)に農林省(現農水省)の補助を受けた防災ダム事業を採択、熊原川および支流の杉倉川への2基の農地防災ダム建設事業が着手されました。
そして1966年(昭和41年)に熊原川に建設されたのが夏坂ダムです。
その後1972年(昭和47年)に杉倉川に花木ダムが完成、両ダムともに完成後は青森県農林水産部が管理を受託し、熊原川流域の農地防災を担っています。

田子町夏坂の国道104号線上夏坂バス停で熊原川沿いの鹿角街道に入り約2キロ西に進むと夏坂ダムに到着します。
天端は立ち入り禁止のため見学は左岸からに限られます。
苔むした堤体が竣工以来50年以上の時間経過を醸し出します。




導流部中央がジャンプ台になっています。
実はこの下に常用洪水吐吐口があり、このジャンプ台はデフレクターの役割のようです。


時代感溢れるダムと対照的に、斬新なデザインの管理事務所
改修工事中(訪問時は日曜のため休工)で散水車が止まっています。


立入禁止の天端。


上流面
総貯水容量81万立米のうち堆砂容量は4万立米。
堆砂が進んでいるため、ダム湖は空っぽ。


クレスト自由越流頂のほか、常用洪水吐となる放流ゲートを2門備えています。


流水型防災ダムで、通常は流入量は右手の放流ゲートからそのまま放流します。
この吐口が3枚目写真のジャンプ台の下にあります。
左手のゲートはオリフィスに相当し、直上のスライドゲートで洪水量に合わせて放流量をコントロールします。
両ゲートともに上部に洪水時にバルブを保護するためのゲージがついています。


(追記)
夏坂ダムには農地防災容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

0196 夏坂ダム(1904)  
青森県三戸郡田子町夏坂
馬淵川水系熊原川
27.5メートル
141メートル
810千㎥/770千㎥
青森県農林水産部
1966年
◎治水協定が締結されたダム

花木ダム

2022-12-04 17:55:40 | 青森県
2022年10月23日 花木ダム
 
花木ダムは青森県三戸郡田子町遠瀬の馬淵川水系熊原川右支流杉倉川にある農地防災目的のロックフィルダムです。
1958年(昭和33年)9月の台風22号(狩野川台風)により熊原川が氾濫、流域農地で甚大な洪水被害が発生しました。  
これを受け青森県は1960年(昭和35年)に農林省(現農水省)の補助を受けた防災ダム事業を採択、熊原川および支流の杉倉川への2基の農地防災ダム建設事業が着手されました。
まず1966年(昭和41年)に熊原川に夏坂ダムが完成、次いで1972年(昭和47年)に支流の杉倉川に建設されたのが花木ダムです。
両ダムともに完成後は青森県農林水産部が管理を受託し、熊原川流域の農地防災を担っています。

田子町山口の国道104号線道前バス停から杉倉川沿いの町道を西進、途中で舗装が切れますがそのままダートの林道を進み、バス停から約8キロで花木ダムに到着します。
右岸林道から下流面を望みますが全貌は見えません。
草が覆っていますがロックフィルダムです。



天端は立ち入り禁止のため、見学は右岸からに留まります。


上流面
こちらも草が覆っていますがロック材が確認できます。


総貯水容量57万6000立米のダム湖
防災専用ダムですが堆砂容量13万6000立米分だけ貯留されています。


左岸に管理事務所があり、事務所横から常用洪水吐が伸びています。
事務所の上流側には非常用となる横越流式洪水吐があり越流部には流木除けとなる柵が設置されています。
同様の柵は後藤川の四和ダムでも設置されていました。


管理事務所と常用洪水吐をズームアップ
流水型防災ダムのため、普段は流入量は常用洪水吐からそのまま放流します。
この常用洪水吐は五戸川の二の倉ダム又木戸ダムと同じタイプ。


(追記)
花木ダムには農地防災容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

0200 花木ダム(1903)  
青森県三戸郡田子町遠瀬
馬淵川水系杉倉川
27メートル
125.8メートル
576千㎥/440千㎥
青森県農林水産部
1972年
◎治水協定が締結されたダム

二の倉ダム

2022-12-04 13:27:03 | 青森県
2022年10月23日 二の倉ダム
 
二の倉ダムは青森県三戸郡新郷村戸来の二級河川五戸川本流にある農地防災目的のアスファルトフェイシングフィルダムです。
1958年(昭和33年)9月の台風22号(狩野川台風)により五戸川が氾濫し下流沿岸農地で甚大な洪水被害が発生しました。 
これを受け青森県は1967年(昭和42年)に農林省(現農水省)の補助を受けた防災ダム事業五戸川地区を採択、五戸川および支流の三川目川への2基の農地防災ダム建設事業が着手されました。
そして事業着手3年後の1970年(昭和45年)に五戸川本流に建設されたのが二の倉ダムダムです。
その後1988年(平成元年)の又木戸ダム完成により五戸川防災ダム事業は竣工を迎えました。
両ダムともに完成後は青森県農林水産部が管理を受託し、五戸川流域の農地防災を担っています。

二の倉ダムは国道454号線沿いにあります。
ダム左岸の国道から見た下流面、型式はアースフィル。
対岸に洪水吐導流部があります。


アングルを変えて。
ダム下にドレーン設備が見えます。


ダムサイトの記念碑。
兄弟分の又木戸ダム同様山をモチーフにしたデザインで型式はアースと記載されています。
アスファルト表面遮水壁型のロックフィルダムは多数ありますが、アースのアスファルトフェイシングフィルダムはめずらしい。


残念ながらダムの敷地は立ち入り禁止。
直前までの雨で濡れた天端。


管理事務所と上流面
職員が常駐しているようで、交渉すれば中に入れてもらえたのかもしれませんが、この日はまだ訪問予定ダムが2基あるため左岸からの見学にとどめました。


アスファルトが塗布された上流面
雨で濡れた上にやや逆光のため光ってしまいアスファルト感が出ません。


非常用洪水吐となる横越流式洪水吐。


総貯水容量281万立米のダム湖
堆砂容量分42万立米が貯留されています。


こちらは常用洪水吐となる放流ゲート
流水型防災ダムのため、平時は流入量はここからそのまま放流します。


(追記)
二の倉ダムには農地防災容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

0199 二の倉ダム(1902)
青森県三戸郡新郷村戸来
五戸川水系五戸川
FA
37メートル
106メートル
2810千㎥/2390千㎥
青森県農林水産部
1970年
◎治水協定が締結されたダム