ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

岩見ダム

2022-12-11 19:55:13 | 秋田県
2022年10月25日 岩見ダム

岩見ダムは秋田県秋田市河辺三内の雄物川水系三内川にある秋田県建設部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
1970年(昭和45年)に治水ダムとして事業着手され、のちに県企業局(現県公営企業)が発電事業者として事業参加し1978年(昭和53年)に竣工したのが岩見ダムです。
岩見ダムは建設省(現国交省)の補助を受けた補助多目的ダムで、三内川および岩見川の洪水調節、安定した河川流量の維持と不特定灌漑用水への補給、秋田県公営企業岩見発電所でのダム式発電を目的としています。

ダム下流に架かる吊橋から堤体を望めます。
放流設備としては非常用クレストラジアルゲート2門、常用洪水吐としてホロージェットバルブ1条、利水放流設備としてジェットフロートゲート1条を装備
また洪水吐左岸に岩見発電所があります。


発電所をズームアップ、手前は放流ゲート。


ラジアルゲートをズームアップ。


左岸から
堤高66.5メートル、堤頂長242メートル
ダム右岸山上には筑紫森があります。
流紋岩の柱状節理で国の天然記念物です。


提体は右岸側が屈曲。


常用洪水吐のホロージェットバルブ。


天端から減勢工を見下ろします
左手が岩見発電所、副ダムには切れ込みが入っています。


ダム湖は『河北湖』で総貯水容量は1930万立米
建設当時河辺郡と北秋田郡に跨っていたので両者の字をとって河北湖と命名されました。


左岸の艇庫とインクライン。


右岸には古いインクラインの遺構。


右岸から。


上流面
右からホロージェットバルブの予備ゲート、クレストゲート、選択取水設備と並びます。訪問時はゲートや取水設備の改修工事中でクレストゲートが張りぼて。

追記
岩見ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

0388 岩見ダム(1915)
秋田県秋田市河辺三内
雄物川水系三内川
FNP
66.5メートル
242メートル
19300千㎥/16300千㎥
秋田県建設部
1978年
◎治水協定が締結されたダム

旭川ダム

2022-12-11 13:34:17 | 秋田県
2022年10月25日 旭川ダム
 
旭川ダムは秋田県秋田市仁別の一級河川雄物川水系旭川上流部にある秋田県建設部が管理する治水目的の重力式コンクリートダムです。
旭川は雄物川の主要右支流ですが秋田市中心部を貫流することから、その治水は久保田藩時代からの至上課題となっていました。 
戦中戦後の燃料不足により旭川水源域が乱伐され保水能力が大きく低下したことで洪水被害が多発し抜本的な治水対策が求められました。
1967年(昭和42年)に建設省は新たに治水ダムへの補助制度を新設、秋田県はこれを活用して旭川治水ダム事業に着手、補助治水ダム適用第1号として1972年(昭和47年)に竣工したのが旭川ダムです。
同時に乱伐で荒廃した旭川源流域は仁別国民の森』として保全され保水力は大きく回復しました。
一方ダム南側には大平山リゾート公園として整備されオートキャンプ場や日帰り入浴施設、スキー場などを備えた東北最大規模の総合レクリエーションエリアとなっています。
 
ダムは左右両岸からアプローチできますが、今回は管理事務所のある左岸から
平日は職員が常駐です。


事務所脇の竣工記念碑。


提体は左岸が下流に折れ『カド』に。

毎度おなじみの『カド』。


ゲートは非常用となるクレストラジアルゲート2門と常用洪水吐となるコンジットラジアルゲート1門を装備
有効貯水容量すべてが洪水調節容量となる治水専用ダムのため、平時は流入量はそのままコンジットゲートから放流する一方、洪水時は最大170立米/秒をカットします。
写真の黒いローラーゲートはコンジットの予備ゲート。




残念ながら下流からダムを見るポイントはありません。
下流面もこれが精いっぱい。


クレストゲート越しに
左手前面に突き出た建屋の下にコンジットゲートがあります。 


天端のクレーン
巡視艇昇降用か?


天端は徒歩のみ開放されています。


天端から貯水池を望む
旭川と支流の砥沢の合流地点にダムは建設され、ダム上流は仁別国民の森として保全され豊かな森が広がります。
治水専用ダムのため普段はダム湖は空っぽ、洪水時は最大420万立米を貯留します。
さらに治水協定により台風襲来時などは堆砂容量の空き分54万8000立米も洪水調節容量に転用されます。


ダム左岸の旭川ダム公園は紅葉の名所。
モミジが見ごろとなっていました。


ダムとは関係ないけどダムの下流には由利高原鉄道の車両が展示されています。


0383 旭川ダム(1914)
秋田県秋田市仁別
雄物川水系旭川
51.5メートル
380メートル
5200千㎥/4200千㎥
秋田県建設部
1972年

袖ヶ沢堤

2022-12-11 08:22:53 | 秋田県
2022年10月25日 袖ヶ沢堤
 
袖ヶ沢堤は秋田県南秋田郡五城目町馬場目の二級河川馬場目川水系袖ヶ沢にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には1934年(昭和9年)に秋田県の事業で竣工と記されており、県の用水改良事業で建設されたと推察されます。
管理は馬場目川水系土地改良区が行い、約870ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
ダム便覧では袖ヶ沢堤となっていますが、ため池データベースでは袖ヶ沢溜池、国土地理院地形図では袖ノ沢堤と表記されています。

五城目町馬場目の秋田中央広域農道から袖ヶ沢沿いのダート道を約1キロ東進すると袖ヶ沢堤に到着します。
ちょうど日が昇り始めたタイミングでの訪問で、どの写真も明暗が大きく出来が悪くなっています。
堤高17.1メートル、堤頂長150.8メートルの堤体。


右岸の洪水吐減勢工。


左岸ダム下の底樋管。


道路が堤体を斜行して上がります。


右岸から
草が伸び、周辺溜池に比べればちょっと手入れが行き届いてない印象。


右岸の横越流式洪水吐。


天端から
池への道路沿いに用水路があります。


上流面はコンクリートで護岸
堤体左岸側が下流に突き出す形で屈曲
溜池では珍しい『カド』。


カドから貯水池を望む
総貯水容量は78万3000立米。
受益農地870ヘクタールもあるのにこの貯水容量では少ない気が…


左岸の斜樋。


斜樋の操作室。


ダムの下流袖ヶ沢にある分水ゲート。


0336 袖ヶ沢堤(1913)
ため池コード
秋田県南秋田郡五城目町馬場目
馬場目川水系馬場目川右支流袖ヶ沢
17.1メートル
150.8メートル
783千㎥/783千㎥
馬場目川水系土地改良区
1934年