ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

外桝沢ダム

2022-12-19 18:00:00 | 岩手県
2022年10月21日 外桝沢ダム
 
外桝沢ダムは岩手県岩手郡雫石町南畑の北上川水系外桝沢川にある農地防災目的の重力式コンクリートダムです。
雫石町南西部の御所地区(旧御所村)では地区を南北に貫流する鶯宿川、南畑川、外桝沢川、矢櫃川沿いに1000ヘクタールを超える農地が広がっていますが、4河川ともに蛇行を繰り返す急流河川となっており豪雨の際には洪水被害が頻発していました。
そこで岩手県は1950年(昭和25年)に農林省(現農水省)の補助を受けた御所防災ダム事業を採択、各河川上流部への4基の農地防災ダム建設が着手されました。
そして1957年(昭和32年)の鶯宿ダムに次いで1961年(昭和36年)に完成したのが外桝沢ダムです。さらに1968年(昭和43年)のレン滝ダム、1981年(昭和56年)の矢櫃ダム の完成により事業着手から31年の年月をかけた御所防災ダム事業はようやく竣工に至りました。
4ダムは完成後は雫石町が管理を受託し、4河川流域約670ヘクタールの農地防災を担っています。

雫石広域農道から外桝沢川沿いを約3キロ南下すると外桝沢ダムに到着、まずはダム下に下りてみます。
堤高22.5メートル、堤頂長169メートルの横長堤体でクレストに自由越流頂7門が並びます。


左岸寄りに上下2段のオリフィスがあり、導流部はジャンプ台になっています。
この下に常用洪水吐となる下段のオリフィスがあり、ジャンプ台はデフレクターの役割のようです。
同様の設備は青森県の夏坂ダムでも見られました。


右岸ダム下の監査廊入り口。


右岸沿いの階段
特に立ち入り規制はなくこれを使って下りました。


朱色の手すりに赤さびたダイダイゴケ、赤いダムです。


右岸ダムサイトから
鶯宿ダムやレン滝ダム同様、天端はゲート部分だけ高くなっています。


堤体にはタイル張りの銘板
傷んでいていて読みづらいですが
『外桝沢ダム 昭和36年12月完成 岩手県 施工株木建設株式会社』
と記されています。

天端は立ち入り禁止。
赤い手すりが鮮やか。


上流面
総貯水容量99万4000立米ですが、流水型防災ダムのため平時は流入量はそのまま放流され、貯水池は空っぽ。


左岸側端に上下2段のオリフィスがあり塵芥除けのゲージで覆われています。
この反対側に上記ジャンプ台があります。


右岸ダムサイトの建屋
手前が管理事務所、奥が艇庫
職員の常駐はありません。


艇庫から伸びるインクライン
普段ダム湖は空っぽなので、洪水でダム湖に貯水された際流木や塵芥除去のため使われるんでしょう。


(追記)
外桝沢ダムには農地防災容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。

0244 外桝沢ダム(1923)
岩手県岩手郡雫石町南畑 
北上川水系外桝沢川 
 
 
22.5メートル 
169メートル 
994千㎥/994千㎥ 
雫石町 
1961年
◎治水協定が締結されたダム