2019年7月15日 大浦ダム
2023年5月21日
大浦ダムは佐賀県藤津郡太良町大浦の田古里川本流上流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
佐賀県南部、有明海沿岸の太良町では温暖な気候を活かし昭和30年代から丘陵地でのミカン樹園地開発が進められましたが、干ばつ被害も多く水源確保や灌漑設備の整備が求められていました。
こうした中、農水省の補助を受けた佐賀県営かんがい排水事業・畑地帯土地改良事業・農地開発事業大浦地区が着手され1987年(昭和62年)に竣工したのが大浦ダムです。
運用開始後は大浦地区土地改良区が管理を受託し、約300ヘクタールのミカン樹園地に灌漑及び防除用水を供給しています。
しかし1991年(平成2年)のオレンジ輸入自由化により、ジュース向け原液がほぼ輸入品にとって代わったことで、国内ミカン農業は大きな打撃を受けます。
当地域でも離農や耕作放棄が相次ぎましたが、その後高品質の『太良みかん』のブランド化に成功したことで、今も全国有数のミカン生産地となっています。
大浦ダムには2019年(令和元年)7月に初訪、記念碑の写真を撮り忘れていたので2023年5月に再訪しました。
日付のある写真以外はすべて初訪時のものです。
下流面は草ボウボウですが堤体下部に一部石張りのようなものが見えています。
基部の擁壁なのか?実はロックフィルダムなのか?
右岸ダムサイトの竣工記念碑。
佐賀ではおなじみ金箔文字。(2023年5月21日)
碑文も金箔
ダム建設に至る経緯が詳細に記されています。
これを読みたいがための再訪です。
(2023年5月21日)
記念碑の奥に鎮座する胸像
野田末一と記されており、調べると太良町議会議長を務めたお方。
霞が関への陳情や農林省との交渉など大浦ダム建設に尽力されたようです。
(2023年5月21日)
天端は舗装されていますが車両通行禁止。
上流面はウレタン製遮水シートで護岸。
天端からは有明海を挟んで大牟田・荒尾方面が見えます。
左岸の斜樋。
総貯水容量73万立米の貯水池。
貯水池は一面に遮水シートが敷かれ異様な雰囲気。
最初はアスファルトフェイシングフィルかと思いましたが、よく見ると黒い遮水シートが敷き詰められています。
この辺りは雲仙の火山活動による透水性の高い地質のため、遮水ゴムシートにより遮水処理が施されています。
左岸の横越流式洪水吐。
洪水吐。
アングルを変えて洪水吐と上流面。
左岸からダム下に下りるルートがありましたが、チェーンが掛かっていたので自重しました。
2534 大浦ダム(1506)
佐賀県藤津郡太良町大浦
田古里川水系田古里川
A
E
45メートル
160メートル
730千㎥/709千㎥
大浦地区土地改良区
1987年