小島教育研究所

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コンピュータのトレンドについて。市場動向と技術動向。過去の歴史から学ぶこと。MS快進撃の秘密。

2013-04-26 | コンピュータよもやま話
 久々の「コンピュータよもやま話」です。
パソコンが8ビットから16ビットへと切り替わる際に、なぜMS-DOSが主流となったのか、その主要因についての記事です。
8ビット機が全盛当時、各社独自osを採用していた。しかし、デジタルリサーチ社のosであるcp/mを採用するグループがあった。日本では発売されなかったが、エプソンのQC-10はヨーロッパで売り出され、好調に売り上げを伸ばしていた。共通なOSであれば、開発系の人間は手間がかなり省けて、ソフトウェアの生産性が格段に良くなるのです。つまり、すでに作成したソフトの一部手直しで、他メーカーの同一OSのソフトが容易に開発できるのです。そういった意味で、8ビットパソコンで事実上の標準OSは、デジタルリサーチ社のCP/Mだったのです。日本では当時はまだDISK-BASICが主流でした。この分野では、MSのBASICが標準でした。時代が8ビット機から16ビット機へと機能アップをする時期に、OSをどうするかが問われ始めました。デジタルリサーチ社はインテル社の16ビット用OSにCP/M-86を開発、発売していました。CP/Mで開発した多くのソフトウェア資産が一部の手直によって16ビット用に再利用できるとあれば、技術者の圧倒的な支援が得られます。事実、三菱電機が日本で最初に発売した、マルチ16は標準OSはCP/M-86を採用していた。キャノンのAS-100も同様であった。ところが、海の向こうの米国で、IBM社が採用したのは、実績も何もない、MSーDOSであった。MSのとった戦略は、まさかの奇策であった。それは、先行CP/Mとのソフト互換性を重視した設計思想で製品化されていた。つまり8ビット用に作成したソフトがほんの一部の書き換えで、16ビット用ソフトに流用できる優れものだった。御本家のCP/M-86より互換性が高い。ここに技術者たちの眼が釘づけになったのは言うまでもない。IBMが採用したからMSーDOSが主流になったとは通説だが、本当のところは技術者の支持を得られるように設計されていたから、MS-DOSに軍配を上げたのだった。しかもこのMS-DOS元をただせば、シアトルのコンピュータ会社の技術者ティム・パターソンが開発したもので、シングルタスクのUNIXライクなOSだった。これを安く買い上げ、(五万ドルだったという。)8086用にしかもCP/Mライクなシステムコールを実装してできたのがIBMのPC-DOSつまり、MS-DOSだったのだ。(実作業は当然MSが行った。)
 MS-DOSの成功はMSの成功そのものだったが、成功の秘密は、この技術者の「抱き込み」作戦だった。知られざるMS成功の秘密でした。
 なお、日本では、CP/Mを実装したマシンは発売されていません。
当時、日の出の勢いだった日本電気のとった作戦は8ビットから16ビットへは、DISK-BASICで引っ張り、CP/M^86はすっとばして、MS-DOSを標準OSとして発売しました。(なかなか手がたい戦法をとったものです。)
勝ち馬はどうやって作られたかがよくわかる、一つの「教訓」です。

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