東京創元社のミステリーシリーズの一冊で、ファンタジーミステリーと銘打っている。
昭和40年代の後半にSFブームがあり、小松左京の「日本沈没」がベストセラーになるなどしたため、中間小説雑誌がSF特集を組み、なんでもSFを付ければ売れる、と言われたことがあった。
今は逆で、SFは売れないから、ファンタジーなのだろう。
内容的にはパラレルワールドの世界がどうなっているのかを、男女の愛を絡めて描いたものであり、「活版印刷三日月堂」の雰囲気とはだいぶ異なっている。
ストーリー的には面白いのだが、ロジックが時々不明瞭になるのだが、それはファンタジーだから許されるのだろう。
出だしが少しスローで、途中まで来ると読みやすくなる。SFが好きな人にはお勧めです。