日本人が仏式葬儀を営む意味はいろいろありますが
最も大きな意味合いは故人を仏弟子として浄土に往生して
いただくということです。
最近は無宗教葬ということが、しばしば言われております。
宗教色を無くして音楽などを流して故人を偲び、送るというもので
昔はなかった形式です。現代にこういった形の葬儀が行われるようになったのは
なぜでしょうか?
昔は人が死ぬと、その霊魂はあの世に往き、そこで安穏の暮らしを送るか
あるいはこの世に蘇って、何らかの生命に生まれ変わると信じてました。
輪廻転生の考えであり、その中でも、広く信じられていたのは
故人の子孫の中に生まれ変わるという思想でした。
昔の人は死は終焉ではなく、その彼方に別の世界があることを
素朴に信じていました。だから、日頃からよりよい来世に入ることを願い
霊魂の存在が永遠に続く世界を夢見てきたのです。
ところが近代になって自然科学的な思考が一般化していくと
霊魂の存在や輪廻転生は証明できないものとし、死語の世界、魂の存在
に疑問を持つようになりました。
そのために死者を送る作法である葬送の儀礼も変化し、揺らぎはじめたのである。
「無宗教」ですと、ただお別れを告げるという形式であり「なんとなく気持ちが治まらない」
と感じるのも無理もありません。
無宗教で葬儀を行った人の中には仏式で葬儀をやり直した人もおられます。