写経は本来、経典を原本のとおりに書き写してお寺などに納め、仏さまを供養するために
行われました。
それがのちには、仏道修行の為、供養、祈願、功徳の為等、色々な目的で行われるようになりました。
文字を見るだけで功徳が有るお経を声を出してあげるとさらに功徳が大きいのですが
それを一文字、一文字心を込めて正確に書き写していくことは大変な功徳が有ります。
写経はまず、周囲を整え、手を洗い、口をすすぎ、身心を清めます。そして、香を焚き、
正座して姿勢を正し、呼吸を整えます。般若心経など、これから書写するお経を唱え
合掌、祈念します。静かに墨を磨り、経題から書き写していきます。
亡き人の供養の為、仏さまのご加護を祈る為、精神修養の為など
目的はいろいろあるでしょうが、写経は自宅で出来る尊い仏縁です。ぜひ、一度
行ってみて下さい。墨と筆がなかったら筆ペンでもかまいません。
仏教には八万四千の法門、つまり入口が有ると言います。さとりにいたる道の事で
いろいろな方法が有るという意味です。座禅を組む方法、お経を称える方法、
修行に励む方法などいろいろあります。しかし、いずれの方法にしても大事なのは心です。
ところが、この心と言うのが、やっかいもので、ほんのわずかな事でも揺れ動き
又日によっても変わったりします。例えば、親しい人の幸福を願っていた人でも
相手が自分より裕福になったりすると面白くなくなります。これが人間なのです。
「花が咲くのは無心に咲くから」という言葉が有ります。
仏教のシンボルである蓮華は、泥の中でも清らかに咲きます。ただ無心に咲きます。
時には心の揺れ動きを止めて、無心に成りたいものです。
心を込めて写経を致しますと無心に成ります。
当山でも来月から写経をはじめようと準備しております。
皆様もご一緒にいかがですか。
合掌