貢蕉の瞑想

青梅庵に住む貢蕉の日々のつぶやきです。

矢立はじめの心境

2021-11-15 13:47:23 | 日記
令和3年11月15日(月)
「弥生も末の七日。
あけぼのの空朧々として、
付きは有明けて、光をさまれるものから、
富士の峰かすかに見えて、
上野、谷中のはまのこずゑ、
またいつかはと心ぼそし。
 むつまじきかぎりは宵よりつどひて、
舟に乗りて送る。
 千住といふところにて舟をあがれば、
前途三千里の思ひ胸にふさがりて、
幻のちまたは離別の涙をそそぐ。
行春や 
  鳥啼魚の 
      目は泪
 これを矢立のはじめとして、
行く道なほ進まず。
 途中にたちならびて、
うしろかけの見ゆるまではと
見送るなるべし。」

 さて、元禄二年(1689)三月二十七日
の早朝に旅が開始された。
 つづく。