貢蕉の瞑想

青梅庵に住む貢蕉の日々のつぶやきです。

あはれを解する須磨の海士(海女)!

2021-11-01 10:16:17 | 日記
令和3年11月1日(月)
 いよいよ霜月の始まり、はじまり!
 卯月中頃の空も朧に残りて、はかなく
短夜の月もいとど艶なるに、
山は若葉に黒味かかりて、しらみそめ
たるに、上野とおぼしき所は
麦の穂浪あからみあひて、
海人の軒近き芥子の花のたえだえに
見わたさる。
海士の顔 
  先見らるゝや 
     けしの花
 けしの花が咲くこのあたり、
出会った漁師の顔に先ず目がいってしまう、
の意。
「海士」・・古典作品に出る須磨の海士は、
「あはれ」を解する優しい存在で、
この句もそれを前提とする。
「らるゝ」・・・自発の意。
 紀行本文に、
「海人の軒ちかきけしの花のたえだえに
見渡さる」
として掲載。
 つづく。