貢蕉の瞑想

青梅庵に住む貢蕉の日々のつぶやきです。

奥の細道・・日本語の美を味わう!

2021-11-09 11:47:41 | 日記
令和3年11月9日(火)
 今日から、『おくのほそ道』へ。
 お師匠さんは、
 「芭蕉の散文が日本語の表現として、
如何に優れて、如何に美しいかと
体験して戴きたいので、
『おくのほそ道』の冒頭の文章を・・・。」
と・・・。
 私も、古稀から初め、この頃やっと
冒頭の文章をそらで暗唱できるように
なった。
 江戸を出て、松島や平泉など旅したいと
いう願いの強さ、深さを見事に表出。
 決死の念いを、ここまで巧みに表現する
事に、ほんと、時代を超えて感嘆する。
「原文と私の現代語訳を提示するのは、
皆さんに原文を何度か読み返し、
その日本語の美を味わって戴きたい
からである。」
と導いてくださる師匠。
 嬉しい限りである。
 その原文。
「月日は百代の過客にして、
行きかふ人もまた旅人なり。
 舟の上に生涯を浮かべ、
馬の口とらへて老ひを迎ふる者は、
日々旅にして旅を住みかとす。
 古人も多く旅に死せるあり。

 予もいづれの年よりか、
片雲の風にさそはれて、
漂泊の思ひやまず、
海浜にさすらへ、
去年の秋江上の破屋に蜘蛛の古巣を払ひて、
やゝ年もくれ、
春立てる霞の空に、
白河の関越へんと、
そぞろ神のものにつきて心を狂はせ、
道祖神の招きにあひて
取るもの手につかず、
股引の破れをつづり、
笠の緒つけかへて、
三里に灸すゆるより、
松島の月まず心にかかりて、
住めるかたは人に譲りて、
杉風が別墅(べっしょ)に移るに、
草の戸も 
  住替る代ぞ 
     ひなの家
 表八句を
 庵の柱に掛けおく。」
 つづく。