『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭

ジュリアナから墓場まで・・・。森羅万象を語るブログです。
ここでは、気軽に読めるエントリーを記していきます^^

[映画『レッド・クリフ PART1』を観た]

2008-11-02 10:44:55 | 物語の感想
☆最初は、TVゲーム的な画面構成で、時代状況や、英雄の配置を説明されて、「おやおや随分とザックリした映像作りだなあ」と思って見ていた。

 でも、そのカンニング的な作りが、すぐに語られる曹操軍や劉備軍の世界にスムーズに移行させてくれて嬉しい。

 私は「三国志」に詳しいほうではないが、人並みに趙雲・関羽・張飛の名前は知っているので、彼らが突然に活躍しても、何か顔なじみの人に会ったような気がして嬉しかった。

 特に、関羽は、いかにも「中国の頼れるヤツ」てな顔立ち・目つきで格好良かった~^^

 とは言え、「三国志」など全く知らない姪は、はじめは、それが退屈だったらしい。

 知らない人物達が、知らない間に激闘を繰り返している。

 その最中に放り出され、戸惑ったようだった。

 しかし、最終的には夢中になり、「赤壁の戦い」の序盤を終えて、周瑜と小喬が愛を確かめる(文学的な表現^^)シーンなどには、「たるい!」と不満を漏らしていた^^;

   ◇   ◇

 私も、「赤壁」の序盤を勝利で終えて、そのまま「PART1」が終了するのかと思いきや、エピローグが30分くらい続くので「おや?」と思った。

 確かに、戦場で負傷した周瑜を、小喬が手当てする場面は不用に感じた。

 包帯を巻くことを、一種の叙情的な行為に描こうとしているのは、分かりすぎるほど分かる。

 ジョン・ウー監督は、そこここに、そのようなエモーショナル(心象や物語の主題の画像への映し込み)を配していて、それが雨であったり、小鳥であったり、弦楽器であったり、虎であったりしているのだが、それが効果的なときは良いが、しつこく感じられる時もある^^;

 それは、『男たちの挽歌』の頃から変わりない。

 黒澤も、分かりやすくテーマを画像に据えていたが、もうちょい洗練されていたような気がする。

 ジョン・ウーは、黒澤末期の作『八月の狂想曲』レベルの拙さが見える。

   ◇   ◇

 これだけの人々の坩堝を描いた作品である。

 その力強い合戦シーンこそが、途方もない「説得力」なのだ。

 それもまた、『男たちの挽歌』の頃から変らない魅力だ^^

 私は、大陸や半島のビッグ・バジェット映画につきものの、完全に統率されたマスゲーム的な合戦シーンを想像していたのだが、この映画では、戦場の未曾有の雑多さが描かれていたように思う。

 「PART1」における最終決戦で布かれた劉備・孫権軍の陣の壮大さには度肝を抜かれた(写真参照^^)。

 土煙や、「ゴゴゴゴゴゴ!」と言う群れ犇く音が、耳でなく、心に届いた。

   ◇   ◇

 金城武は、孔明という美味しい役を嬉しそうに演じていた。

 役作りが、NHKドラマ『新撰組!』の山南副長(堺雅人)に似ていた。

 ちょっと諦観を感じさせるところが良かった。

 全編、潤んだ瞳で、こりゃ、世界の淑女を虜にするだろう^^;

   ◇   ◇

 私は、任侠グループの劉備軍よりも、孫権軍のほうに心を引かれた。

 周瑜(トニー・レオン)は、谷原章介みたいな「イケメン」で、私もかっちょいいと思ったが、孫権役のチャン・チェンが、石野卓球みたいな顔だが、シャープで良かった。

 宝剣を抜くか抜くまいかと暗がりで悩みつつ、その少し抜いた剣のさやの、反射の光を目に受けるシーンの表情など素晴らしいと思った。

 また、ここで孫権軍の将軍として中村獅童が出てくる。

 その役作りが、いかにも「ワル」風なので、

 あいや、また、裏切り将軍的な役回りか? と思いきや、そうではなく、最終決戦でもガンガン見せ場を与えられていて、同じ日本人として嬉しかった。

 この作品には、「裏切り」行為と言う、ストレスのたまる展開はない。

 孫権軍には、「項羽と劉邦」における<虞美人>的な「戦局を左右する美人」である小喬がいる。

 「裏切り」はないけど、「物語的な定番美人」はいます^^;

 また、颯爽とした戦う女も出てくる。

 尚香(ヴィッキー・チャオ)だ。

 この子は、アン・ハサウェイみたいに目がグリグリに大きくて可愛かった。

 女には、戦いの先陣は切らせて華は持たすが、後は男の仕事とばかりに、ひたすらに豪傑が戦い続ける・・・。

   ◇   ◇

 ・・・赤壁の対岸では、曹操の水軍の大艦隊が陣を敷いている。

 その絵柄は、勇壮で、美しい。

 PART2が楽しみである^^

                       (2008/11/02)
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする