『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭

ジュリアナから墓場まで・・・。森羅万象を語るブログです。
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[映画『ハッピー・フライト』を観た]

2008-11-16 17:01:45 | 物語の感想
☆悪くない。

 面白い。

 むしろ、小気味良くまとめた良作だと思う。

 私が全幅の信頼を寄せて、その新作を待ち望む、ネイティブの「スタニスラフスキー・システム」の具現者である綾瀬はるかも、自分のパートをそつなくこなしている。

 でも、もはや、邦画って、こんな作品形式でしか作っていけないのだろうか? と、一抹の不安を覚える。

   ◇   ◇

 『おくりびと』の時に限らず、私は(この手の作品を見るといつも書いているが)、これらは伊丹十三や周防正行の作品と同じ<カタログ作品>だと考えている。

 私がネーミングし定義する<カタログ作品>とは、「一般の人が知り得ない世界を舞台にして、その世界の<ハウツー>を語っていくことで、その物語性を成り立たせているもの」を言う。

 この作品も、作り手は綿密にリサーチしているのが分かる。

 私は成田空港で数年働いていたのだが、物語の途中で、自分がミスをしたと思い込んだ整備士が、私服で整備地区を駆けずり回る、という、国際空港を舞台にしているにしては言語道断のシーンがあったが、それは「物語上のリアル」として構わない^^

 そして、今回の飛行機トラブルの原因も、惑星(空港)から衛星(航空機)の範囲を逸脱してない(Uターンフライトのトコなんか^^;)、通な内容で良かった。

 にもかかわらずの、このせせこましさは何なのだろう?

   ◇   ◇

 そこには、ハリウッド映画的な骨太なストーリー性がないからである。

 原因は、細かなエピソードの4コマ漫画化からくる。

 ・・・この作品は、空港やフライトにおいての「人間群像」を描こうと目されている。

 故に、

  ・機長昇格試験として、乗客を乗せた実機操縦に臨む副パイロット。

  ・その教官として同乗する厳しい機長。

  ・国際線フライトに発搭乗の新人CA。

  ・新人泣かせの鬼チーフパーサー。

  ・乗客のクレーム対応に追われるグランドスタッフ。

  ・離陸時刻が迫り必死にメンテナンス中の整備士。

  ・ハイテクに疎いベテランオペレーション・ディレクター。

  ・ディスパッチャー。

  ・管制官。

  ・バードパトロール。

  ・飛行機オタク。

  ・空港見学小学生軍団。

  ・お客さんたち。

 色んな側面から人物が描かれ、それらの人物が緻密に相関関係を持つ。

 ただ、それらの関係が全て「起・承・転・結」の4コマで完結できるような希薄さなのである。

 つまり、それぞれの「起・承・転・結」を分解して、

      「起起起承起起承承承承転転転転結転結結結結」

 として一本作品を作り上げたような手応えなのである。

 皆さんは、どう思いましたか?

   ◇   ◇

 また、新人スチュワーデスのお客さんとのトラブルの「尻拭い」をチーフパーサーが二度三度と行なうのだが、その接客対応がどうしても私には納得が出来なかった。

 まあ、シナリオがそうなっているんだから納得するしかないんだけど、どうにも、万人が納得できる対応とは思えなかった。

                      (2008/11/16)
コメント (18)
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