☆正式タイトルは『劇場版ポケットモンスターベストウィッシュ ビクティニと黒き英雄ゼクロム』。
多少のバージョン違いの二作を同時公開させると言うアイディアに酔った、内容的にはあたり障りのない内容になることが予想できた。
しかし、甥っ子の誕生日プレゼントとしての所望だったので、見に行った。
同時公開の『ビクティニと白き英雄 レシラム』が時間的には都合が良かったのだが、甥っ子が「どうしても『黒』!」と言うので、多少の時間をもてあましつつの鑑賞。
結構面白かった。
プロローグでは、大地の活力を失い、故郷を去った<大地の民>の人々を故郷に戻そうとする青年の姿が描かれる。
私には、放射能騒動で住居を追われた福島の人々とダブるのだった。
序章が終わると、主人公サトシら一行のいつもの旅が描かれる。
サトシは、崖から落ちそうになった鹿のポケモンを助けるのだが、
そこでの崖の高さの恐怖表現が、いつもの「ポケモン」での、「高い・危ない」と言う記号的なものじゃなく、ちょいと、こちらの肝を冷やすような高さの演出で、「おやっ、今回はいいぞ」と、見直し始めた。
その難局を脱出したサトシは、崖下のほら穴から、舞台となる<大地の剣の城>の地下に入っていくのだが、展開がなかなかスピーディーで良い。
剣の城の町では、ポケモンバトル大会が行なわれ、それはタイトルクレジットが流れる中で展開する。
セリフはないのだが、試合の起伏は大いに伝わる。
ビクティニと言う、小さな体に大きなパワーを持った、姿を現わさない、町の守護ポケモンがいるのだが、サトシに興味を持ち、サトシの回りを透明にうろつく。
サトシの食べているマカロンを、透明なままでちょろまかし食うので、空中に、徐々に欠けていくマカロンが浮いており、それは作中で何度も繰り返されるが面白い映像だ。
透明なビクティニを追うシーンでは、公園のシーソーがうまく演出に取り込まれていた。
また、悪役然とした登場人物が現われないので、私は、いつもの「ポケモン」パターンが感じられず、先が見えず、夢中で見ているしかなくなった^^
映画版では、いつも大局の中で傍観者になることが多かったサトシだが、今回は、単身(ピカチュウは一緒)、成層圏まで飛び出す大活躍する。
悪役は、<大地の民が住まう国>を再興させようとする青年ドレッドだったのだ。
ドレッドはビクティニを捕らえ、そのパワー増幅能力を酷使し、レシラムの武力で「理想」を遂行しようとする。
サトシは、レシラムのライバルポケモン・ゼクロムの力を借り、それに対抗する。
ドレッドは、自分のやっていることを悪だとは思っていない。
しかし、大地の民が故郷を追われたのは、1000年前のことだった。
1000年の間には、不本意さはあれど、そこに歴史も伝統も生まれる。
が、「理想」に燃えているドレッドには、「故郷再興」こそが第一命題であり、強硬なやり方に躊躇がない。
ドレッドは、<大地の剣の城>を浮遊させ、<大地の国>の龍脈(大地復活の要)に城の剣の楔を打ち込むつもりなのだった。
ドレッドの、作品展開上の立ち位置が、子供向けにしては、非常に難解だった。
確かに、「ちいさな犠牲はつきものだ」と、ビクティニを虐待しているドレッドは、子供の目には悪に見えるのだが、でも、彼の「理想」は必ずしも悪ではないのである。
それは、プロローグからの展開を見れば、歴然である。
う~む、なかなか深い。
◇
さて、ポケモンアクションも良かった。
序盤のポケモン大会での、レギュラーポケモンたちのバトルも、個性が出ていて良かったし、
ビクティニの住処に集うポケモンたちも、色っぽい猫や、ツボミ状の赤ちゃんみたいのなど、良かった。
何よりも良かったのだが、ゴーレムみたいなポケモンだ。
最後の最後、ゼクロムvsレシラムの間にも、今川泰宏的な演出で割ってはいる大活躍だ。
町長さんの「大塚署長」みたいな外見や、オートジャイロの活躍など、明らかに、最近の「鉄人28号」や「ジャイアントロボ」を演出した今川泰宏的である。
また、クライマックスの、成層圏を浮遊する城の表現や、サトシの追い詰め方などは、「ヱヴァンゲリヲン」的である。
いいことだと思う。
それが作品の質をあげているのだから。
今までの、到底かないっこないジブリのエピゴーネン的なエコ表現より数百倍はいい^^
(2011/07/20)
多少のバージョン違いの二作を同時公開させると言うアイディアに酔った、内容的にはあたり障りのない内容になることが予想できた。
しかし、甥っ子の誕生日プレゼントとしての所望だったので、見に行った。
同時公開の『ビクティニと白き英雄 レシラム』が時間的には都合が良かったのだが、甥っ子が「どうしても『黒』!」と言うので、多少の時間をもてあましつつの鑑賞。
結構面白かった。
プロローグでは、大地の活力を失い、故郷を去った<大地の民>の人々を故郷に戻そうとする青年の姿が描かれる。
私には、放射能騒動で住居を追われた福島の人々とダブるのだった。
序章が終わると、主人公サトシら一行のいつもの旅が描かれる。
サトシは、崖から落ちそうになった鹿のポケモンを助けるのだが、
そこでの崖の高さの恐怖表現が、いつもの「ポケモン」での、「高い・危ない」と言う記号的なものじゃなく、ちょいと、こちらの肝を冷やすような高さの演出で、「おやっ、今回はいいぞ」と、見直し始めた。
その難局を脱出したサトシは、崖下のほら穴から、舞台となる<大地の剣の城>の地下に入っていくのだが、展開がなかなかスピーディーで良い。
剣の城の町では、ポケモンバトル大会が行なわれ、それはタイトルクレジットが流れる中で展開する。
セリフはないのだが、試合の起伏は大いに伝わる。
ビクティニと言う、小さな体に大きなパワーを持った、姿を現わさない、町の守護ポケモンがいるのだが、サトシに興味を持ち、サトシの回りを透明にうろつく。
サトシの食べているマカロンを、透明なままでちょろまかし食うので、空中に、徐々に欠けていくマカロンが浮いており、それは作中で何度も繰り返されるが面白い映像だ。
透明なビクティニを追うシーンでは、公園のシーソーがうまく演出に取り込まれていた。
また、悪役然とした登場人物が現われないので、私は、いつもの「ポケモン」パターンが感じられず、先が見えず、夢中で見ているしかなくなった^^
映画版では、いつも大局の中で傍観者になることが多かったサトシだが、今回は、単身(ピカチュウは一緒)、成層圏まで飛び出す大活躍する。
悪役は、<大地の民が住まう国>を再興させようとする青年ドレッドだったのだ。
ドレッドはビクティニを捕らえ、そのパワー増幅能力を酷使し、レシラムの武力で「理想」を遂行しようとする。
サトシは、レシラムのライバルポケモン・ゼクロムの力を借り、それに対抗する。
ドレッドは、自分のやっていることを悪だとは思っていない。
しかし、大地の民が故郷を追われたのは、1000年前のことだった。
1000年の間には、不本意さはあれど、そこに歴史も伝統も生まれる。
が、「理想」に燃えているドレッドには、「故郷再興」こそが第一命題であり、強硬なやり方に躊躇がない。
ドレッドは、<大地の剣の城>を浮遊させ、<大地の国>の龍脈(大地復活の要)に城の剣の楔を打ち込むつもりなのだった。
ドレッドの、作品展開上の立ち位置が、子供向けにしては、非常に難解だった。
確かに、「ちいさな犠牲はつきものだ」と、ビクティニを虐待しているドレッドは、子供の目には悪に見えるのだが、でも、彼の「理想」は必ずしも悪ではないのである。
それは、プロローグからの展開を見れば、歴然である。
う~む、なかなか深い。
◇
さて、ポケモンアクションも良かった。
序盤のポケモン大会での、レギュラーポケモンたちのバトルも、個性が出ていて良かったし、
ビクティニの住処に集うポケモンたちも、色っぽい猫や、ツボミ状の赤ちゃんみたいのなど、良かった。
何よりも良かったのだが、ゴーレムみたいなポケモンだ。
最後の最後、ゼクロムvsレシラムの間にも、今川泰宏的な演出で割ってはいる大活躍だ。
町長さんの「大塚署長」みたいな外見や、オートジャイロの活躍など、明らかに、最近の「鉄人28号」や「ジャイアントロボ」を演出した今川泰宏的である。
また、クライマックスの、成層圏を浮遊する城の表現や、サトシの追い詰め方などは、「ヱヴァンゲリヲン」的である。
いいことだと思う。
それが作品の質をあげているのだから。
今までの、到底かないっこないジブリのエピゴーネン的なエコ表現より数百倍はいい^^
(2011/07/20)