日々雑感 ~写真と思い~

今日と言う日は、二度と来ない。 
だから今日を大切に・・そんな私のデジカメ散歩 

* 京都五山の送り火 *

2010年08月16日 | 風景・お出かけ

「ひと雨くるんとちゃうか」曇って見える空、雨雲が山を降りてきた?そんな光景に、あちこちから雨を危ぶむ声が聞こえた。
(傘は車の中やわ・・そんなぁ・・せっかっくの大文字の送り火やのに・・)

もう38年も前のこと、住み込みで働いていたお医者さんの家から大路へ出ると左大文字を見た記憶がある。
それはたいていがお盆の里帰りさせていただいて、京都へ帰ってきたと言う日だった。
ウィークデーなら、診察時間で見ることは出来ない。
20歳を過ぎた私「コンパクトに大文字はんを写して見たら、願いごとが叶うそうえ」院長夫人にそう言われたような。
なんとロマンチックな・・田舎から出てきて2、3年の私には、そんなくらいにしか思っていなかった。

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「送り火に行くで! 3時頃帰るからネットでスポット見といて」今日から仕事だった夫から電話があったのが1時頃。
一瞬(仕事は? 急に何言い出すのん?)そうは思ったが、ここはまず「分かった!」色々やりたい予定立てていたが、
あまりに唐突な勢いに見たい気持ちも逸り了解する。 夫はブログで乗り気でなかったように書いていた。 
長女が「お母さん電車は無理やろ、歩くの足痛いし、車で行ってあげる」そんな思いで夫からの電話を了解したようだ。

3時に家を出た。 初めて第二京阪を利用したが楽々、それに早い。 

1時間ほどで京都に入る。 京都が随分と近くなった気がした。
市内を走りながらあちこちの道路標識の文字を見ると懐かしくて少し胸騒ぎな自分に気づく。
京都、特に北区での3年間の青春時代の思い出は熱く濃く、それだけに第二の故郷のような気もしているからである。 

長女は観光スポットや、アクセスなど、色々プリントアウトをしていた。 
私も調べたら、4つの送り火が見えるベストスポットは船岡山公園・・と書いてあった。
後の3年を住んだお医者さまはこの近くだったので高校生の息子2人から良く聞かされたが、一度も来たことがない公園である。

京都と言えば、夫の昔の仕事仲間であるチテイジンさん、電話が行き違いばかりで京都に着いたあたりで通じた。
船岡山公園は自転車でも20分ほどらしい。 時間が早いので運良く大徳寺の前の駐車場へ止めることが出来た。
もうどこもかもが、思い出のある場所で、北大路通りを歩いているだけでも嬉しい。
住みこんでいた家まで自転車でも10分ほどだろう、あ~行ってみたいな・・。
公園って言っても標高111・89mほどと書いてあり、送り火を見る場所まではすぐだったので助かった。 

お盆に迎えたご先祖の魂を、再び送りだすと言う神聖な行事。 
京都を囲む五山の送り火なんて、300年ないしは500年もの昔からの伝統行事だそうだが、その歴史だけでもすごい。

公園に上がり振り返ると左方の近いところに左大文字、ズームで撮ると灯を焚く準備をされた様子が見える。

舟形・・手前の山で下方向が見えない。

コンビニへ行く道で知り合った岐阜からの男性が三脚たてていた前の方の場所を取ってくれていたのでびっくり、袖触れ合うも多少の縁。
振り返るたびに人が多くなり、点火の時を待つ。 観光バスツアーの人々もどんどん入ってくる。

TV局のカメラマンさんもスタンバイ。 チテイジンさんは私たちが来ていなければ、京都TVの生中継でたっぷりと、
送り火の様子を涼しい部屋で見ることが出来たであろうのに・・。  



夫は待ち時間、チテイジンさんに京都タワーが見えますよと、案内してもらって頂上まで行った。 
頂上よりこの場所の方が良く見えるとのこと。 写真通の方の三脚がどれだけ立っているかでそのことが伺える。

8時いよいよ大文字山の大文字が点灯。 わーーっと言う歓声。

10分には万灯籠山の「妙」と大黒天山の「法」の文字が・・。 



二つの山の文字で「妙法」

段々と左に移って行き、西賀茂船山の「舟形」が・・。

そして一番近い場所の大北山には「左大文字」 この場所からはあとひとつ鳥居形は見えない。

神聖なこの送り火、ひとりひとりの胸や脳裏に揺らめいたであろう燃える送り火。



お盆に迎えた亡き人の人たちの魂を供養し、あの世へ送る・・京都を囲む五山、なんと心ある伝統行事なのだろう。  
燃える灯りを見ながら肉親や知りあいの逝った人たちの顔が瞬間頭の中をよぎった。  
いつも突然な夫の思い付きではあるが、チテイジンさんとの縁が、送り火へと心を騒がせたに違いない。
たかが・・ではなく、されどブログ、ブログからしか伺えなかった夫の友人に出会えたことは嬉しい。
いつも味のあるユニークなコメントから伺える人柄そのもの、お会いできて本当に良かった。
2010年8月16日の五山の送り火、一夜の思い出はきっと一生忘れられないように思う。  
4つもの送り火を拝することが出来た感激と同じように。

帰りはどなたも同じ、混雑は免れなくて、渋滞する北大路から西大路へ・・そんな中で近道を電話で誘導して下さった。  
本当に来て良かった。 来年は出張で来れなかったセイ君にべスポジでばっちりと、カメラに収めてもらいたいと思っている。 

京都新聞五山送り火 見たらいっそう思い深くなる。