人間ドックの結果を聞きに行く日であった。
今回の主な問題点と療養状態の判定という箇所には、7つもの症状が書き込んであった。
・・・・・・・・・最後の方に、高度肥満!
だって5キロも増えたし。 歩いたり食生活の改善でせっかく成功した3キロの確かな減量だったのに、さらに2キロプラス!
さまざまなストレスは、食と言う形で私を慰めてくれたと言う大きな自覚と言い訳。
あ~ぁ、増えるにはなんの努力も時間もいらない。
分かってます、分かってます。
好感度no.1の担当の先生が「みくさんにはできますよ、がんばって! 年末までに3キロでいいから減量を、
そしたらあちこちの数値、みんな良くなりますよ。 下手にお薬は使わんときましょう」
歯切れの良い口調で爽やかな対応、年初めの定期診察に行ったとき先生は「今年初めてでしたね」そう言うなり、わざわざ立ち上がって
「おめでとうございます。 今年もどうぞよろしくお願いします」と深々と頭を下げられた。 こちらの言うせりふを先手で。
こんな先生は初めてである。 お会いするのが楽しみな、ほのかにときめくお若い先生。(夫にはまだ私の気持ちまでは話してないが)
平均120の血圧が一度140あったからって、測り直しもせず即血圧を下げる薬だした先生がいた。
おまけにコレステロールの数値もやたらオーバーしていた訳でもないのに、下げるお薬も出されたことがあった。
(おいおい・・患者との信頼関係はないのか? 生活面で努力することは指導しないのか? ) 営業・・・まさに。
落ち込みかけの気をとり直し、帰りに桜通りの桜を撮った。
むちゃくちゃ満開。
「おばさん!」って言われたんだか母さんだったか、振り向くと仕事が10時からになったらしく、かんたを自転車に乗せ
遅い目に保育園に送ろうとしていた娘と遭遇。
「どうやった? 悪いとこあった?」 「まぁね、色々・・」 心配して聞いてくれたのが嬉しかった。
「ばぁば、バイバーイ!」笑顔いっぱいでかんたが手を振った。
ほんの少しでも孫の顔を見ると、元気になるなぁ。
午後出かける予定だがせっかく出たついでだからと、八幡屋公園に行ってみた。
5日前のお花見では、5分くらいだったろうか・・もう今や満開の桜である。
遊具があるし、大きいながら目が行き届くので親子連れに人気の公園である。
あ・・あの辺りでみんなでお弁当を食べたんだ・・。
ひろとたちとはもうここではきっとないであろうお花見は、懐かしい思い出になった。
大阪プール前。
グリーンヒルズへ上がってみた。
桜ばかり見ているので、色のついた花はいっそう鮮やかに見える。
春だなぁ・・春、そう実感できるひと時だった。
「みくさん! 誰が写真撮ってるんやろうと思ったら・・みくさんやった」
思いがけなくも友人に会った。 30分ほど立ち話でも会うと、元気をもらえる人気心の合う人だから嬉しい。
「神戸の夫人が入院されたので、これからお見舞いに・・」と言い別れた。
三宮まで特急で行って、各停に乗り換えて一駅戻る・・初めてたてた路線。
のはずが、各停に乗ったとき運転席を前にした一番前の車両だったので、そのまま各停で行こうと思った。
一番前はちょっと気持ち悪いかなとも思ったが、こんな景色もまぁ見ることはないと対向の電車が来るのを眺めていた。
夫人の家の近くに11年前に新設された大きな病院。
それにしてはもう少し花があってもいいのになぁと思ったが、これからもっと増えて行くだろうと思いながら眺めた。
夫人がベッドから落ちて倒れこんで動けずにいた所をたまたま来たご近所さんが窓越しに発見し、緊急避難のベランダから救急車で運ばれた。
入院して半月になった。 三度目のお見舞い。
日赤のHPにある”お見舞いメール” 午前10時までに患者さんあてにメールを送信すれば、2時以降患者さんにきれいなカードに印刷して届けてくれる。
とても気の利いた無料サービスがある。 夫人は歩けないし携帯も使えないので5通ほど送らせてもらった。 厚かましいので、あとは葉書を書いている。
お見舞いに来る人がほとんどいないのは、やはり寂しいと思うから。
今日初めてシャワーしてもらったと、さっぱりした顔で少し元気そうに見えた。
そのとき初めて車椅子に乗ったが、自分の足がぐんと細くなっているのにびっくりしたらしい。
恐れているのがそれである。 歩かなかったら、歩けなくなる。 今は毎日点滴をして腰痛で動けない原因だった脊椎の菌を除去、あるいはあちこち検査で
出てきた病名、その治療をしているが、まだ一度も自分で歩いていないのだ。
病状が良くなれば、歩行のリハビリができる病院へ転院だそうだが、本人にはまだそのことは告げられていない。 治療にまだ期間を要するので私も、言ってない。
4人部屋でも廊下側。 窓から桜・・は残念ながら見えない。
私が神戸に来る前に今日、あちこち写真を撮ったのは、一番きれいな桜の時期見られないので桜をカメラのスライドショーで見せてあげたかったからである。
結構カメラの画面が大きいので、ベッドの夫人にも良く見えた。
「きれいやなぁ。 みくちゃん、お花見行こうって言ってくれてたのに、入院してしもうたなぁ」苦笑いして言われた。
桜を目で見せてあげられなくて残念だったが、このところ得にあちこちと体の不調を抱えておられたので、私たちには病院にいて下さる方が内心安心だった。
料理も上げ膳据え膳だし、洗濯もお風呂掃除もしなくていいのだから。
帰りは夫が迎えに来て、病室へ顔を見せた。
「いつ家に帰れるんやろうなぁ・・」
「おかん、たばこは吸わへんのん?」 「何言ってんの、吸ったら退院させられるわ」
「隠れて吸ったらええやんか」 「何バカなこと言ってんの」 笑いながら話す夫の悪い冗談に、まじめに答える夫人、昔会社でもこんな感じの2人だったのだろう。
耳が遠くなったので少し声を大きくしゃべっているから、部屋の方になんていう見舞い人やと変に思われたのではと、そっちが気になった。
唯一好きな煙草、辞められるものなんだなぁと感心した。 夫人はもう多分家には帰れないのではないだろうか・・私たちはそう感じている。
お花など置くスペースもないが、さぁ・・目を楽しませるもの何か・・何を持ってきてあげようか今度は。