朝、実家の兄から電話があった。
少し低い目の声で開口一番 「子供たちはみな元気にしているか」 そう言ったので (え? 知ってる?)とっさにそう思った。
娘たちは実家の甥っ子のお嫁さんとフェイスブックでやりとりしているので、てっきり教えてもらったのだと。
まだ報告していない事柄があったのでそのことの電話かなと思って、「実は、事がすんで報告させてもらおうと思っていたんだけど・・」
そう言いながら息子一家の事を話した。 「あ・・そうなんか」 知らなかったようだ。
いつもは「元気でやってるか」と明るく話すのに、低い声で珍しく「子供達は・・」と言うものだから知って電話をかけてきたのかと思った。
「いや知らんかった、すぐ本題に入るものではないだろう、まず挨拶からじゃないか?」 笑いながら言う。
私が申し訳なさげに一方的に話すものだから、ただ黙って聞いていたと言う。 そうなんや~てっきりね・・。
それを世間では、早合点と言う。
「安政柑を送ってやろうと思って、どれだけいるかなぁと」 (な・・んだ、そうだったのか)
安政柑・・は、夫が昔「大すきやねん、一番すき」と言ったものだから、それ以来安政柑のときは面白いほどにみんなが
「けんちゃんが好きやから送ったよ」と言葉を添えてくれる。 昔から面白いほど必ず。
夫の友人で格別好きな人がいて、その方は奥さんの実家から伊予柑が送られてくると一箱持ってきてくれ、その代わりに
安政柑が届くのを楽しみに待っていてくれる。 物々交換みたいだ。 ゴルフや麻雀仲間に大好きさんがいるので行き先があちこち。
以前は母がこのような事をしてくれていたが、老いた母に代わって兄夫婦が引き継いで送ってくれるようになっている。
”けんちゃんがすきだから」 その言葉を忘れず添えてくれる人たち、嬉しく本当に有り難い事だと感謝している。
何気に草むらでみつけけた名を知らぬ野草に、田舎の風景が広がった。