しをり戸

ささやかな庭の山野草と
散歩・旅で出会った草木。 
季語・拙い俳句、
折々の写真などの記録です。

万両 ( まんりょう ) <季> 三冬

2011-07-24 |  冬の草木・その他 の 俳句

◉ 硃砂根 (まんりょう)

万両は兎の眼もち赤きかな  ・・・・・ 千代女 
万両も手洗鉢も高からず ・・・・・ 阿波野青畝 [万両]
万両や着丈合ひたる借衣裳 ・・・・・ 飯田龍太 [山の木]
     
厚く光沢のある葉の下にたわわに垂れる赤い実は、
冬から春まで付いていて、
どこか寂びて落ち着いた感じがあります。
赤い実が冬でも落ちないことと
呼び名の縁起のよさから愛好され、
庭木のほか正月用の鉢植えなどに利用されています。
江戸時代の例句は少なく、
千代女の一句が載っています。
同様に明治時代も見当たりません。
大正末期以降になってから
富安風生の
「万両や使うことなき上厠」や
阿波野青畝の
「座について庭の万両憑きにけり」
山口青邨の
「万両のひそかに赤し大原陵」、
高浜年尾・石田破郷・飯田龍太などの
万両の句が歳時記に載っています。
変種の白実の万両や黄実の万両は、
果実が白や黄色に熟します。

  [ ヤブコウジ科ヤブコウジ属の常緑小低木 ]

万両のよく実りたる年といふ ・・・・・ みなみ

マンリョウ (満了)
日本では、
本州の関東以南~沖縄の樹下に自生します。
樹高は、30~100cm。
葉は長楕円形、厚く光沢のあるやわらかい革質で、
縁に波状の鋸歯(きょし)があり互生します。
花期は、7~8月。
花は葉腋の開花枝に白い小花を下向きの散房状に付け、
花冠は杯形で5深裂します。
果期は、11~12月。
果実は球形の液果で赤熟し、
冬から春まで付いています。
赤い実が冬でも落ちないことと
呼び名の縁起のよさから愛好され、
庭木のほか正月用の鉢植えなどに利用されています。
古典園芸植物の一つで、
江戸時代には、斑入りや縮れた葉など、
多くの品種が作られました。
また赤い実が基本種ですが、
白い実のシロミノマンリョウ(白実の万両)・
黄色い実のキミノマンリョウ(黄実の万両)などの
園芸品種も知られています。
名は、千両に勝るということから付いたそうです。
漢名の朱砂根(しゅさこん)から朱砂根(まんりょう)とも表記されます。




この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« シロミノマンリョウ ( 白実の... | トップ | レンゲショウマ ( 蓮華升麻 )  »
最新の画像もっと見る

 冬の草木・その他 の 俳句」カテゴリの最新記事