現在、民間企業に派遣している若手職員からのメッセージをお届けしています。
第2弾は、関西電力株式会社に研修派遣されている浜本さんです。
はじめまして、関西電力の浜本です。
私は昨年の4月から1年間、北摂営業所で営業の仕事をしています。これまでは高齢福祉課に3年、中央生涯学習センターに3年いて、このたび初めて民間企業で働くことになりました。
振り返ってみると、この1年間で経験したことはとても勉強になり、「行ってよかった!」と心から思っています。そんな熱い思いもあるのですが、特定のお客さまの話はできないので、ここでは私が仕事で感じたことを中心にお話したいと思います。
1.箕面市職員だということを忘れて
私が所属している「エネルギー営業」では、電気使用量の多い法人のお客さまに対して、1対1の営業活動をしています。
私は病院・福祉施設チームとして約20件のお客さまを担当しており、身分は先方への印象を考慮して、派遣職員だと言わずに活動しています。
そのため、自分はお客さまの目に社員として映っているということを常に意識してきました。
<社内広報誌に自己紹介記事を掲載していただきました>
営業活動では、主に次の3つの活動をしています。
(1)光熱費を削減する方法など、お客さまに効率的な電気の使い方を提案する。
(2)新設や設備更新などの機会に、お客さまにとって最適な設備を提案する。
(3)お客さまの設備が効率よく運用できているかアフターフォローを行う。
これを見て、「あれ?光熱費の削減って、電力会社の売り上げを下げる活動じゃないの?」と思われたかたがいるかもしれません。
そのとおりです。(1)の活動だけでは関西電力の売り上げは減っていきます。
しかし、これは「お客さまに喜んでもらう」ことを目的としているもので、活動を通じて、より密な信頼関係を築くためのステップとなるものです。
提案する内容は、一般的に言われるような照明の間引きや空調の設定温度を抑えること以外に、設備の使い方に問題がないか探って見つかることもあるのです。
2.「関電さん」から「浜本さん」へ
例えば、介護施設の居室には家庭用のエアコンが付いており、夏はそれを使っていると思いがちですが、実際に聞いてみると、入所者はクーラーの風が身体に当たるのを嫌うため使っていないとわかりました。その分、廊下から冷気を取り入れるため、共用部分の大きい空調機を動かしていたことで、効率の低い運用をされていたという事例がありました。
このようにお客さまは事業の運営に合わせて、設備を使っておられます。また、その使い方が電気料金にどのような影響をもたらしているかまで意識しておられないのが通例です。だからこそ、私たち営業パーソンがお客さまの目になり代わって、見えなかったニーズを発掘しなければいけないと実感しました。
そして、今の運用に合った設備の提案をした際にはお客さまのニーズを整理し、それらを解消できるシステムかどうか丁寧にコンサルするよう心がけながら提案書を作成しました。
その結果、お客さまにはとても喜んでいただき、手ごたえを感じることができました。さらに嬉しかったことは、今まで「関電さん」と呼ばれていたのが「浜本さん」と呼んでいただけるようになったことです。
1年という短い期間で、お客さまから「信頼できる相談相手」と認識していただくのは簡単ではありませんが、今回のことが営業パーソンの価値を感じていただくきっかけになれば幸いです。
3.頼まれごとは試されごと
最初の3ヶ月間は先輩に同行して折衝を見学していましたが、当初は「お客さま」「弊社」という民間企業ならではの言葉にも慣れず、行政の仕事とは何もかも違うなあと驚いてばかりでした。
しかし、「お客さまに興味をもつ」という共通点がありました。高齢福祉課で相談を受けるときには、その人がどんな人か関心を寄せて話を聞くよう心がけていましたが、営業活動においても同じことをご指導いただきました。
(2)の活動のような、新設を予定しているお客さまはニーズが明確でないことが多いため、「どんな考え方をする人なのか」をより丁寧に探ることで戦略を練っていきます。そのためには、お客さまと深くコミュニケーションを取ることが大切です。
まず会ってもらうにはどんな資料をお持ちすればよいか、たくさん話してもらうためにはどんな話題がよいか考え、準備をします。…まさにデートに誘うときの心境です。
その後、お客さまから宿題をいただくことがあります。「頼まれごとは試されごと」と気持ちを引き締め、誠意ある回答でお客さまと距離を縮められるよう努めます。…まさに片思いの心境です。
その回答となる提案書は、お客さまにとって最適なシステムとその良さを知っていただくために作ります。…まさにラブレターです。
また、新設案件は完了するまで2年近くかかるものの、提案できるタイミングは限られています。そのため設計事務所様やメーカー様と協調してスピード感のある仕事を心がけました。
当初はお客さまの反応に一喜一憂するばかりでしたが、今は自分が良いと思う提案をすることで、お客さまの選択肢を広げ、よりよい施設創りのお手伝いができていると思っています。
4.自負の心と「ワッショイ」
社内掲示板には、社員に向けた啓発メッセージが多く貼ってあります。私はその中の「自負の心」という言葉が好きで、いつもそれを心に留めてお客さまへ訪問しています。
ここには、お客さまの課題を共に背負い、その解決に向けて活動することで、社会全体やお客さまの役に立っているという自信と誇りをもつことができると書かれています。
4月当初はコールセンターや送電部門など幅広い業務を見学させていただきました。その際、たくさんの社員のかたから「お客さまが安心して電気を使えるために」「お客さまに安定した電気を届けるために」と、自分の仕事の先にいるお客さまへの言葉を多く聴いたのが印象に残っており、それぞれが「自負の心」をもって取り組んでいるのだなあと感心しました。
「背負う」といえば、神輿を担ぐ掛け声の「ワッショイ」は『東京風俗志』という書物によると「和を背負う」ことから、和をもって平和を担ぐという意味があるそうです。
今後、電力システム改革による他電力との競争において、お客さまに引き続き選ばれるために、関西電力では今までやってきたことを見つめ直し、より信頼される会社に変わろうとしています。
また、そのなかで求められる個人のミッションを社員同士で模索している姿は、それぞれの「自負の心」が会社全体の意識を「ワッショイワッショイ」と変えていこうとしているように感じました。
このようなタイミングに身を置き、内側からこの変革を体感できたことは良い経験になりました。
この1年間快く受け入れてくださった社員のかたには感謝の気持ちでいっぱいです。加えて、エネルギー営業のみなさんには法人営業のいろはを教わっただけでなく、社会人としてのあり方も勉強させていただきました。
私が派遣期間で得たものは競争意識だけでなく、お客さま主義、スピード感など行政サービスのなかで活かせることも多いと思います。
今後は市民のかたに喜んでいただけるよう、学んだことをしっかり箕面市に還元していきたいと思っています。
4月からまたよろしくお願いいたします。
<浜本さんありがとう!第3弾も乞うご期待!