歳を重ねると楽しいとか賢くなるとか・・・・みんな戯言なんだよ。

感じるままに、赴くままに、流れて雲のごとし

秋の空に似合う言葉が見つけられなかった・・・・

2014-10-20 | 日記

会社勤めをしていた頃、そう、営業の一部門の責任者をやっていた頃のクライアントの担当者。同じ歳。

めちゃくちゃ気があったわけでもなかったけれど、仕事だと割り切りながらも思いっきり遊び呆けたことがあった。

油が乗っていたわけではないけれど、なんだか気持ちが悪いぐらいに見通しが効いた。

そんな瞬間ってあるもんなんだ。特に深くなんぞ考えたりしなくても、ただぼぉーと思いを巡らし行動したり喋ったりすると

人が勝手に動きだし、結果もそこそこ80点ぐらいの達成感得られたりして・・・調子に乗った頃。

誰だってあるんだ。でもね、永遠に続くわけじゃないんだ。

ひょんなことで、終わりがやってくるんもんだよ。そんな絶好調なんてものは・・・・

ただ僕はそんな時が絶好調なんて感じられなかったんだ。

もともと悲観的な人間なんだ。シンパイ症なんだ。

 

そんな同胞とも呼べる人が病にかかり3年目を迎え、そろそろ終焉の時だと聞いた。

その頃の営業チームのメンバーから連絡来た。「見舞いにいきましょ!」

気は進まなかった。でもイヤとは言えなかった。

 

宇都宮まで1時間、駅からクルマで1時間。田んぼの真ん中の集落。一軒家。代々の家業はコメ作り。

そんな農家の長男が家を継ぐこともなくサラリーマンになったようだ。

しかも、農家をまとめる職業についたのだ。大出世だったんだろう。

そんな彼が60歳も過ぎて・・・・病に倒れたのだ。

 

病院を出され、自宅医療となった。

そんな家を訪ねた。

想像したほどの緊迫したムードはない。ただ、娘3人は付きっきりだ。深刻さは否応なしに伝わる。

どこかで腹が据わったのか、僕は思い出話なんかしたりして、

もう、ダメだ・・・・ていう本人を笑わせることに成功したり、目じりから涙がこぼれないように気を付けながら

次から次へと話続けてしまった。自分でも呆れるくらいだった。

 

死にゆくものへの言葉などと言うものは全く意味などない。

また、なくてもいいんだろう。

いまのこの瞬間が大切なのだから・・・・嘘で固めたってかまやしないけれど、信ぴょう性ある嘘を言わなくてはいけない。

バレバレは良くない。

何とか、ばれずに済んだ。しかし、僕はどうしてこんなにウソが上手いんだろう。

今日は改めてそう思った。

ひどい話だけれど、もう会うことはないかも・・・・なんて無意識に感じていたから、思い切ったでたらめ話ができたのかもしれない。

 

しかし、最大ののウソは「また、会いに来るから」だった。

少しも痩せてはいない病人が少しだけ微笑んだんだ。