みゆみゆの徒然日記

日本の伝統芸能から映画や本などの感想、
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私の好きなことを綴っているブログです♪

芸術祭十月大歌舞伎 夜の部

2007年10月26日 | 歌舞伎
 昼とは打って変わって3階席です(苦笑)でも1等を買ってもよかったかな~とか、もう一度みたいな~と思いました。それくらい面白かったです。

一、通し狂言 『怪談牡丹燈籠』
 今月一番のお目当て演目です。今回の『牡丹燈籠』は大西信行が文学座のために書き下ろしたもので、劇中原作者の三遊亭円朝が登場して高座で『牡丹燈籠』を語るという演出です。といっても私は前回上演されたときは、見ていませんし、他の演出のものも見ていませんので比較できませんが(^^;。でも仁左衛門&玉三郎コンビのファンの私はとっても楽しめることができました。(あのポスターは超ヤバイですよね・・・。)怪談といっても、とても怖い話というわけでもなく、笑える部分もかなりありました。

 序幕の冒頭、新三郎(愛之助)に恋焦がれて死んだお露(七之助)と後を追って死んだ下女のお米(吉之丞)が幽霊となって、牡丹燈籠を手にして新三郎の元に現れます。吉之丞さんのお米は、本物の幽霊ぽくて(見たことないけど^^;)ハマリすぎます(笑)七之助さんのお露もかわいらしいです。愛之助さんは白い絣の着物が似合って素敵ですし、幽霊となっても新三郎に恋焦がれる怖いほど一途で純。それを応援するお米もまた怖いくらい。またお国(吉弥)と源次郎(錦之助)の二人もまた怖い。吉弥さんもよかったですし、かっこいいのにどこか情けない錦之助さんもよかったです。
 さて、仁左衛門さんと玉三郎さんの伴蔵とお峰夫婦ですが、序幕はいつもと違い綺麗綺麗の二人ではないのに、とてもかわいらしかったです。見ていてニンマリしてしまうようなやりとりも何度か(笑)伴蔵は、小心者で情けなくはあるのですが、なんでかっこいいのでしょう(贔屓目ありありです^^;)玉三郎さんのお峰も決して綺麗綺麗ではありませんが、粋でくるくる変わる表情が生き生きとしていて、私にとってはあのような玉三郎さんはとても新鮮でした。いつも見ているような(?)綺麗綺麗な役どころの二人ではないですが、そこは息の合ったコンビですから、二人が幽霊の頼みを聞いてあげるところなどは最高でした!!幽霊にもらった百両を数える「ちゅうちゅうたこかいな~」はツボにはまりまくってしまいました(笑)大金を手に入れた夫婦が頬を寄せ合うところもかわいかったです(笑)

 二幕のお峰と伴蔵夫婦は大金を手に入れたけど、序幕とは違い、夫婦の間が少しぎくしゃくしてしまいます。こういうのって現代にも通じそうだと思いました。伴蔵の浮気を疑うお峰が、馬子の久蔵にうまいことを言って聞き出すあたりは面白かったです。そして、そんなお峰もまたいじらしく可愛いです・・・。伴蔵は、デレっとしているところとか、もうお国とは逢わないからと言い訳したり、そんな決して決まりのよくない男の姿がとてもよかったです。
 好きだ嫌いのというのではなく、「自分の過去をばらされたくない。」からとお峰を殺してしまう・・・。この立ち回り(?)は帯をぶんぶん回すところなんかは、まるで『かさね』のよう。お峰を殺してしまって、それから悲しむ伴蔵。正直、ここで幕になって「これで終わり?」と思いましたが(苦笑)、この手のパターンでいくと、伴蔵にも報いがあるのかな?と思ったのですが、私はこのお峰を抱き寄せる場面を見て、伴蔵にとっての最大の報いは、自分が一番愛する人を殺してしまったこと・・・なんだろうなと思います。
 
 お国と源次郎の最期、お峰殺しの立ち回りは、歌舞伎ならではの残虐美を感じました。この二組の男女の行く末は、幽霊が直接・・・というのではなく、結局己の欲が自分たちを滅ぼしたもの・・・。そして、幽霊よりも怖いものは、人間と思いました。(って、京極夏彦の妖怪狂言『豆腐小僧』でも言ってたな~と思い出しました・・・。)

 最後になりましたが、進行役の三遊亭円朝の三津五郎さんは、口跡が良いので、噺家の役がぴったりでした!!馬子の役も面白かったし、今月は三津五郎さん大活躍だな~と思いました。


二、『奴道成寺』
 三津五郎襲名の時に三津五郎さんの『奴道成寺』を見ていて、それ以来になります。お面をつけて踊るところなどは覚えていましたが、こんなのだったけ?と記憶が(苦笑)元の『娘道成寺』とはまた違った華やかさがありますよね。鞠歌や、3つのお面を使ったクドキ、鞨鼓を使った山尽くしは花四天との立ち回りがあったり、派手で面白いですね。
 所化さんたちも、若手がたくさんで爽やかでしたね。そして、劇中口上があり、玉三郎さんの門下の玉雪さんと功一さんの名題昇進披露がありました。『牡丹燈籠』でも早速台詞つきのお役がありましたし、これからの活躍に期待ですね!

 
 ああ、やっぱり夜の部をもう一度見たくなりましたが、生憎今日が楽日なので、どうあがいても無理です(笑)来月は、先月末から今月半ばくらいまで忙しくてチケット予約のことをすっかり忘れていましたが(汗)、やっぱり仁左衛門さんが見たいので、行こうと思っています(笑)いや、本当に仁左玉ファンとして楽しめた舞台でした!!!思いがけない幸運も舞い込んできましたし、本当に良い日になりました♪