みゆみゆの徒然日記

日本の伝統芸能から映画や本などの感想、
心に留まった風景など
私の好きなことを綴っているブログです♪

十二月大歌舞伎 夜の部

2007年12月23日 | 歌舞伎
 (12月18日、1階19列下手側にて観劇。)
 今月に入ってからチケット予約をしたので、いつもの3階がチケットはなく、1階2等で観劇。それでも花道のすぐ横だったので、よかったかな?!今年最後の観劇です。

一・『菅原伝授手習鑑 寺子屋』
 前は仁左衛門さんの松王で拝見。今回は勘三郎さんの松王です。仁左衛門さんの松王の衣装は黒地でしたが、勘三郎さんの松王の衣装は、音羽屋型で演じるために銀鼠地の衣装です。衣装の色が違うだけで、印象も違う感じがします。疲れていて、首実検も意識あるようでない中で見ていたので、詳しいコメントは控えます(^^;。でも、思ったよりも海老蔵さんの源蔵と勘太郎さんの戸浪は良かったです。これからに期待というところでしょうか?!
 そして亀蔵さんの涎くりはぴったり(?)です。


二・『粟餅』
 三津五郎さんと橋之助さんの明るい舞踊。餅つきが、これからの季節にぴったりでもあるような(?)あの餅が気になりました(^^;


三・『ふるあめりかに袖はぬらさじ』
 今月一番のお目当ての演目。単独上演でもよいくらいのボリューム感たっぷりのお芝居でした。有吉佐和子原作の戯曲で、お園は玉三郎さん当たり役の一つですが、歌舞伎座では初の上演となります。期待以上に面白かったです。思っていたよりも喜劇性が強く、また前半はホロリとさせられたり・・・。そして笑いあり。
 時は幕末。横浜の遊郭の岩亀楼が舞台。病に臥している遊女亀遊と、亀遊を気遣う芸者お園。冒頭からぐいぐいこの物語の世界に引き込まれていきます。七之助さんの亀遊は儚げで、通辞の藤吉(獅童)への恋心が切なく、とても似合っていました。歌舞伎の獅童を見るのは久方ぶりでしたが、なかなか良かったです。またお節介なお園をコミカルに粋に演じている玉三郎さんはさすがと言う言葉しか出てきません。「ごちそうさま~」と2人の間に割って入るところなど爆笑してしまいました(^^;。そして、医師になるために留学をしたい藤吉に尽くしたいのに、病気の体で何にもできない・・・という亀遊のもどかしさが泣けてきました。

 2幕は岩亀楼に薬問屋(市蔵)と米人イルウス(弥十郎)がやってくる。弥十郎さんのイルウスは俳優祭で見たレッド・バトラーを彷彿とさせました。そして・・まさか歌舞伎座であんなにポンポン英語が飛び交う芝居を見るとは思いませんでした。(英語もなかなか?!だったと思います。)藤吉を通訳にしてイルウスに気に入った相手を選んでもらおうとする。外国人相手の遊女の唐人口が次々とやってくるのですが、これが物凄い(苦笑)イルウスじゃなくてもいやでしょう(?)特に福助さんのマリアはすごかった。この後も何度も出てくるのだけど(苦笑)亀遊を見請けしたいイルウスと、自分にとってその話はいやなのに通訳しなくてはいけない藤吉のもどかしさ、亀遊のはかない様子が後々に生かされています。
 勘三郎さんの岩亀楼主人も面白かったです。これから「往来」を聞いたら思い出しそう(^^;。芸者衆の春猿さん、笑三郎さん素敵でした!!

 亀遊が自害してしまって、物語はシリアス一辺倒になるのかと思ったんですが、亀遊が攘夷女郎という話が仕立て上げられて・・・、いつの間にか、お園も「その気」になってしまい・・・・果ては講談調に懐剣まで用意して亀遊自害の様子を語るのは、おかしい。きっとこんな風に話が大きくなってしまったものはたくさんあるだろうなぁと・・・。海老蔵の浪人は、はっきり言ってぴったりでした(笑)思誠塾の面々もそれぞれぴったりの役柄だと思いました。

 そして、玉三郎さんのお園は、饒舌で10月の『牡丹燈籠』を思い出しましたが、それ以上?!ものすごく綺麗という役どころではないですが、立ち姿が艶やかです。幕切れ、独りになって自棄になるところも、すばらしかったです。
 とても面白かったですが、さすがに疲れました。心地よい疲れですけど(^^;。今年最後の観劇がこれでよかったです!!!