みゆみゆの徒然日記

日本の伝統芸能から映画や本などの感想、
心に留まった風景など
私の好きなことを綴っているブログです♪

『心より心に伝ふる花』

2008年06月28日 | 本・マンガ
 観世寿夫/著

 昭和の世阿弥と謳われた観世寿夫の著書を読みました。数年前に図書館で借りて、途中まで読んだんですが、そのときは途中までで返してしまったんですよね(苦笑)図書館でしか手にすることができない本でしたが、3月に文庫化されたのを手に入れ、今度は最後まで読みました(苦笑)

 能の入門書というには少し難しいとは思いますし、今読んでも少し難しいところもありますが、数年前に読んだ時(一部ですが・・)よりは、分かるようになってきたこと、なるほど!と思ったことも多いでしょうか・・・。そして、観世寿夫という能楽師が「昭和の世阿弥」と謳われた理由も分かる気がしました。私が生まれる前に亡くなられているので、実際の舞台を拝見することはできません。残っている映像等で拝見することはできますが、やはり実際の舞台を拝見したかったなぁ・・・と思いました。
 
 能の囃子のことは参考になる部分が多々ありました。印象に残ったところは・・・

 鼓ならば、鼓は、ポと音がでてしまったときはその音の終わった時だ。音として外にでるまでが、その音の生命だ。間(ま)も、音の大小も、すべて音になるまでが問題。だからカケ声や打つべき体内の準備こそがリズムをつくる。ここがヨーロッパ風感覚と全く正反対のところである。音を出してからその音が始まるのではないのだ。音が出たときは終わっている。これは日本のリズム感覚の最大特徴であろう。能は如実に、しかも大変論理的に、このリズム感覚を音楽として構成しているのである。

 「音になるまでが問題。」なんとなく分かるような気がします。うまく説明できませんが・・・。間、掛け声、すべてが「ポ」(チ・タ・プのほかの音でも)という一音のためのもの・・・。それ以前に・・・ちゃんとした音を出すというのも私の場合、大前提ですがね(苦笑)それもそこに至るまでの問題があるわけで・・・。

 そして、実際に能を演じる立場からの意見、現代における能のあり方や問題意識は大変刺激的(?)です。お能も実際に見に行くたびに新たなる発見もあるし、どんどん好きになっていく。と同時に好き嫌いとかも出てくるし、そしてまだまだ分からないこともある。これは、能に触れている限り、これからも、時々読み返したい・・・そんな本です。