肝臓病と共に生きる人たちを応援します

肝臓友の会との関わりで成長した肝臓専門医のブログです。2017.2.12より新規開始しました。

05アルコールとのつき合い方 肝臓病が無い人の場合

2008年01月10日 | 日常生活について 元気で長生きへ

上手なつき合い方と書くと いろいろなつき合い方があるかもしれませんが、肝臓病がない方についてのことで、肝臓病がある人はもっと量が減ったほうがいいと言うこと、医師によって考え方は色々です。

私は、
ビールであれば大ビン2本までか
日本酒なら2合までか
ウイスキーならダブルで2杯まで のひと種類というのをよく使っています。
飲み始めるとこの量で済みませんというかたは、非常に危ない素質を持っていますので
アルコールから遠ざかることが必要です。

そして、休肝日(アルコールをとらない日)が次の日だからと前日にその日の分を飲む方がいたりするので気をつけてください。必ず一日の量だと、貸し借りはなしと思って気をつけてください。

これからも誘惑が多い季節、気をつけてくださいねえ。

04どうしてもアルコールが飲みたい人は

2008年01月10日 | 日常生活について 元気で長生きへ

肝臓病と言うとアルコールだろうと思われる方が多いので、ウイルス性肝炎の方は非常に肩身の狭い思いをすることが多いです。肝癌の原因のほとんど9割以上はウイルス性であり、肝癌の方にアルコールのせいだと言うのは、ほとんど間違いなので気をつけてください。

そうはいっても、アルコールが肝臓に良くないというのは、国際的には常識となっているところです。どうしても飲みたいときに守っていただきたいことがあるので、日常生活の注意点として覚えていただければと思います。

まず一つは、眠れないときに飲むことはしないこと
これは、よく寝れないからアルコールを使うというかたが多いので、大変注意が必要です。アルコールは最初の寝付くところは良くなってきますので、よく眠れるとおもうひとが多いのですが、アルコールで眠るようになると、途中で目が覚めるようになります。決して自然の眠りではありません。だんだんと量が増える原因にもなりますので、安定剤や睡眠剤の方が体に良いという場合がほとんどですので、気をつけてください。

もう一つは、2日以上は続けて飲まない日を作ると言うこと
肝臓は48時間アルコールが無い状態が作れると、回復が非常に良くなると言われています。もちろん、多量に飲んでしまっては一気に肝臓が壊れることがあり、2日で足りないことがあることは想像できると思います。逆に量が少なければ問題がありませんが、習慣として2日以上の休肝日をつくることはからだにいい習慣と言えるでしょう。

03アルコール性肝障害 生活習慣から来る肝臓病

2008年01月10日 | 日常生活について 元気で長生きへ

アルコール性肝障害は、そのまま、アルコールの飲み過ぎでなる病気。しかし、日本人は、欧米とくらべて、飲む量は少ないのになるんです。アメリカではウイスキーボトル1本なんて、へでも無い人がたくさんいるのに、日本人は4人に一人は飲めない体質なんです。日本酒3合10年でなると言ってたりもしました。

アルコール性肝障害で、問題となるのは依存症となる場合、社会的にも問題となっている場合が多く、まじめな人ほどなりやすいと言われたりもします。アルコール依存症は、アル中といわれたりもしていましたが、中毒というより依存があるという意味で慢性的な病気です。自分の意思でお酒がやめられるとか、仕事ができるからということで依存症でないという診断にはならず、体をこわす状態であるのに、休むことができないということで診断がされます。専門医にかかり、少しでもあるコールから遠ざかる生活を心がけなければ、命に関わることが多い病気です。

眠れないからと、アルコールを飲むことはアルコール依存症への第一歩となることも多いため、寝る前の寝酒はやめるべきで、どうしても眠れないときは、睡眠剤を飲む方が体にはいいとも言えるのです。
アルコールを用いて寝るクセをつけていくと、最初は眠れるようでも夜中に目が覚めるようになってきます。この症状がある時は、アルコールの量を増やすことでさらに途中で目が覚めるようになり、眠れなくなっていきますので、きちんと受診して睡眠薬をもらうことをお勧めします。

たばこと同様、アルコールも体に害のある食品として認識されてきています。

写真は、アルコール性肝硬変の患者さんの腹腔鏡写真です。肝臓がでこぼこが強くなり、壊れては治りを繰り返している肝臓です。肝表面に白く見える線状の変化は線維化といって肝臓が硬くなる変化を起こしている部分です。

02NASH 非アルコール性脂肪性肝炎 生活からくる肝臓病?

2008年01月10日 | 日常生活について 元気で長生きへ

最近、脂肪肝といってたものの中に、進行性の肝炎があることがわかってきました。1980年のアメリカの病理学者が命名した報告をよく引用しています。アルコールを飲まなくてもこのような肝炎が起こると言うことは原因などの病態ははっきりとしていませんが、生活改善により良くなることが報告されるなど、生活習慣病としての側面が強調されています。

非アルコール性脂肪肝炎と日本語では訳しています。メタボリックシンドロームとからめて、色々と治療法を検討してきているのが現状ですが、基本的には、糖尿病の方の運動や食事療法、薬物療法が参考になっている側面が強いです。
日本でも患者が数が増えてきていて、学会などでも取り上げられ、最近はガイドラインが作られるなど対策が強化されてきてます。

01脂肪肝 生活からくる肝臓病

2008年01月10日 | 日常生活について 元気で長生きへ

脂肪肝についてのスライドです。

脂肪肝ってなんだろう。肝臓に脂肪がついた状態というと、なんだかわかったような気がしますが、皮下脂肪のように肝臓を取り囲むような脂肪の付き方ではありません。肝臓の細胞のなかに脂肪が蓄積して、全体に脂肪分の多くなった肝臓の状態を言います。フォアグラはガチョウやカモの脂肪肝を食べているのです。

脂肪肝は、食べすぎ、運動不足、肥満、アルコールなど体に栄養が多い状態になりやすいと言われます。その他薬の副作用などでもなることがあったり、ほかの肝臓病のなり始めだったりします。しかし、経過を見て普通の脂肪肝と診断できるものは、生活習慣病の一因となる生活習慣を持っている方に起こりやすく、食事療法や運動の改善を試みて、糖尿病や高血圧などのメタボリックシンドロームに移行しないよう努力する必要があります。

症状はほとんど無く、健診などで肝機能障害やエコー検査で指摘されることで見つかることが多いです。

健診などで脂肪肝といわれたら、まず食べすぎ、アルコールを休み、体重が減るように努力してみてください。ここで大切なのは偏った食生活はかえって脂肪がつきやすくなることがあるので要注意です。バランスよく減らすようにしてください。そして、肝機能の状態やほかの病気が隠れていないかを受診してチェックしてもらいましょう。

脂肪肝自体は肝不全になるような病態ではなく、肝癌の発生もほとんどありません。あとで出てくるナッシュといわれる脂肪肝炎はそうではないので注意が必要です。肝炎が疑われる場合は、腹腔鏡検査や肝生検が必要となる場合があります。

肝炎肝癌についての相談 再掲載 カウンター

2008年01月07日 | 肝臓センター
肝炎友の会のかたから相談窓口が厚労省や自治体にあるが友の会の方に紹介されるという話がありました。実際病気について勉強してどこに紹介していくか親身に相談することはお役所では確かに難しいのかもしれませんが、せめて医療機関へつなぐことを出来るレベルに勉強はして欲しいと切実な声を聴きました。友の会の方は病気を抱える方でもあり、生活も本当に両立させながらの活動で大変なものがあります。給料をもらって相談窓口を担当している方がいるのであれば、是非、友の会の方がする親身な対応を是非して欲しい、これは、肝炎のことに限らないですがお願いしたいことです。

私の方も相談にのることは出来ますが、反応が若干遅くなることがあります、お許し頂ければ、相談を聞くことは出来ますのでメッセージやコメント欄を使用して、相談していただければと思います。
肝癌検診団の相談コーナー
もしくは、このブログ(肝臓病と共に生きる方を応援します)の記事のコメントのところへ相談内容を載せてくれると公開していいものは公開しますし、個人情報が載っているものは公開せずに相談にのることも可能です。メルアドを記載していただければと思います。電話での対応は時間的に難しいのでできるだけ、メールで対応していきたいと思います。

また、公開すると同じような悩みの方の解決にもなるので、公開してもよろしい場合は、その旨記載していただけると有り難いです。

私も参加しているブログのMELITの掲示版 では、慶応の肝臓専門の加藤先生も質問に答えてくれますので、活用してみてください。


カウンター

05ゼフィックス経過良好例

2008年01月06日 | B型肝炎ウイルスの治療

このスライドは、ラミブジンを飲み始めて、ウイルスが減少し、e抗原も陰性化した患者さんです。非常に経過が良く、半年以上e抗原が陰性化したことから、休薬してみて、その後も経過が良好な患者さんです。このように休薬可能な患者さんもいるのですが、実際には、継続して投与している場合が少なくありません。それは薬をやめることでウイルス再上昇して肝炎を起こす可能性があるからといいますが、この辺が、やめても大丈夫と言いきれるデータがでるまでは、休薬後慎重に経過を見る必要があります。

04B型肝炎ウイスル薬開始のタイミング

2008年01月06日 | B型肝炎ウイルスの治療

B型肝炎ウイルス用の抗ウイルス薬としては、ゼフィックスがはじめて保険適応になった薬でした。それまでは、エイズで使われていたエピビルという薬を自費診療で使ったりしていたのですが、保険診療で使えるようになり、たくさんの人が救われるようになりました。しかし、初めは、慢性肝炎の人にしか使えず、進行すると命に関わる肝硬変や肝癌の患者さんには使えないというしばりがありました。今考えると全く患者にとって、役に立たないしばりだったわけですが、それが無くなってから、本当に命に関わるような肝炎の増悪などにも使えるようになり、よりたくさんの人たちが救われています。肝癌になってからも肝炎が沈静化することで、肝癌の治療がより十分に行えるようになったり、非常に貴重な薬です。
 しかし、耐性ウイルスが出現する問題があり、3~5年で効果が無くなってしまう患者さんがいて、その人たちにとっては薬の効果が無くなるに等しい場合がありました。その問題を解決してくれたのがヘプセラという薬です。効果が出てくる速度が遅めではありますが、耐性ウイルスが出現しづらい特徴もあり、この2種類の抗ウイルス薬がしばらく使われていました。
 最近出た、バラクルードという薬は、耐性ウイスルが出現しづらいため、B型肝炎ウイルス薬を最初に投与するときにはこの薬を選択するようになっています。

ゼフィックスを飲んでいる患者さんでも耐性ウイルスが出現していないうちは、切り替えた方が耐性ウイルスがでづらくなるということで、3年以内であれば切り替えを検討して良いという方針がでています。しかし、この検討と言うのがやっかいで耐性ウイルスがいるかどうかを採血でチェックできないため、耐性ウイルスがでている人に使うとさらにバラクルードに耐性のウイルスがでやすくなるため切り替えることのメリットがなくなるという問題があるのです。なんだか、だんだん難しい話になってきますが、この採血での耐性ウイルスのチェックができないうちに切り替えるのは若干心配があり、1年以内であればまず大丈夫というラインが、私は使いやすい気がしています。

ゼフィックスとヘプセラを両方使っているかたは、バラクルードに切り替えずにそのまま継続することを勧めています。

03B型肝炎ウイルス薬の特徴

2008年01月06日 | B型肝炎ウイルスの治療

B型肝炎ウイルスの抗ウイルス薬は、エイズの薬の発達に伴って、効果が確認されたという歴史があります。エイズに対する効果のある薬がB型肝炎ウイルスに効果がある可能性を持っているということになりますが、現在、3種類の飲み薬があります。
長所としては、インターフェロンのような注射の薬ではなく、飲み薬であるという点は、長所と言えるでしょう。
また、ウイルスの増殖を抑える力が強く、副作用が少ない。他の病気の飲み薬は当然そうなのですが、肝炎の薬はインターフェロンに代表されるように辛い治療となるため、従来の治療よりは格段に楽な方になると言うことです。

短所としては、やめると肝炎が再度悪化することがあり、またウイルス薬が効かなくなるウイルスが出現するという耐性株というウイルスの種類に変化することが知られています。ヘプセラやバラクルードは耐性株がでずらいことが知られています。ゼフィックスでは長期的に見ると3~5年で50%の人に耐性ウイルスが出現します。
でない人はずっとでないことがあるので、必ずでると言うことでないことを忘れないでください。

02B型肝炎ウイルスの増殖の仕方

2008年01月06日 | B型肝炎ウイルスの治療

B型肝炎ウイルスの肝細胞に感染してどう増えるのかというスライドです。
B型肝炎ウイルスは、肝細胞に入りこむと人の肝細胞にある成分を巧みに利用してB型肝炎ウイルスを増殖させます。その際に人の遺伝子に組み込みを行って、一生涯そのあとを残すことが出来る仕組みも持っています。
抗ウイスル薬は、この増殖の部分でのウイスルの遺伝子を合成する部分を邪魔して、ウイルスが増殖できないようにすると言うところがわかっています。ですから、薬を飲まなくなるとこの部分が無くなるので再度増殖が可能になり、やめると肝炎がひどくなることがあるため、継続して飲むことが現在は、主流となっています。
いつやめるタイミングとして適切なのか、まだ結論が出ていませんが、長期にわたりe抗体が安定化した場合には可能ではないかと言われています。これも、e抗体ができても肝炎ウイルスが増殖しているパターンの患者さんには当てはまらないなど難しい部分がまだ存在します。

1月19日札幌肝がん検診募集中 えりも帯広検討中

2008年01月05日 | 肝がん検診
1.札幌市 肝がん検診 受診者募集中
○検診日 2008年1月19日(土)午前9時~午後3時まで
○検診場所 日本健康倶楽部 北海道支部
 北海道札幌市北区北七条西4-1-2 丸増ビル9F
 (札幌駅北口の西側出口のすぐそばのビルです)
○検診費用 対象者 6000円
 すこやか健診は1200円追加して7200円で可能
 すこやか健診料免除の方は追加料金不要
○検診内容 問診、採血、腹部エコー、肝臓専門医による療養相談 
 希望者へすこやか健診(心電図、胸部写真、検尿)
○予約が必要です。先着80人 受付時間 午前9時~午後5時 受け付け開始12月18日
 電話番号011ー883-0022 緑愛健康管理センター内 肝がん検診受付
 申し込み締め切り 2007年1月10日(木)
 希望時間帯もお知らせください。
 折り返し受診時刻などの記載した予約票はがきを発送します。万が一1月17日までに届かない場合には肝がん検診受付に再度お電話ください。

2.えりも肝がん検診 検討中
○検診日時 2007年4月12日(土)午前9時~午前12時
○検診場所 えりも町役場保健センター
 住所 北海道幌泉郡えりも町字本町206
 TEL 01466-2-4630
○検診費用 対象者 6000円
以前、自己負担1500円で受けていた方もいらっしゃると思いますが、今回助成がないためこの費用となります。
○検診内容 問診、採血、腹部エコー
      肝臓専門医による療養相談 
○予約が必要です。先着50人
 受付時間 午前9時~午後5時 土日祝日休み 
 電話番号011ー883-0022
 緑愛健康管理センター内 肝がん検診受付
 申し込み締め切り 4月3日木
 折り返し4月8日に受診時刻などの記載した予約票はがきを発送します。万が一4月10日までに届かない場合には事務局に再度お電話ください。

3.帯広肝がん検診 検討中
○検診日 2008年4月13日(日)午前9時~午後1時まで
○検診場所 とかちプラザ
 住所 帯広市西4条南13丁目
 電話 0155-22-7890
○検診費用 対象者 6000円
○検診内容 問診、採血、腹部エコー
      肝臓専門医による療養相談 
○予約が必要です。先着50人
 受付時間 午前9時~5時 土日祝日休み  
 電話番号011ー883-0022
 緑愛健康管理センター内 肝がん検診受付
 申し込み締め切り 4月3日木
 折り返し4月8日に受診時刻などの記載した予約票はがきを発送します。万が一4月10日までに届かない場合には事務局に再度お電話ください。

これからの予定 札幌肝がん検診 帯広足寄医療講演など

2008年01月05日 | 肝がん検診
1月19日札幌での肝がん検診があります。道新の記事に取り上げていただけました。

えりも、帯広も4月12、13日といく予定です。場所取りが出来ました、あとは、スタッフや機材の確保ができれば、募集開始となります。うまく進んでくれるといいなあ。

2月には医療講演、帯広足寄で行う予定です。近くの方は是非参加してください。

11-3部分的脾動脈塞栓術の脾臓ムービー

2008年01月02日 | 門脈圧亢進症 食道静脈瘤
      
部分的脾動脈塞栓術のあと、脾臓を3Dにした映像です。上側の薄い灰色の部分が血流が無くなった脾臓の部分で、下側の赤茶色の部分が残った脾臓の部分です。これは1例で、いろいろなパターンの血流の落ち方がありますが、この位詰めることで効果が出てくると言われています。

11-2部分的脾動脈塞栓術の効果と今後の検討

2008年01月02日 | 門脈圧亢進症 食道静脈瘤

部分的脾動脈塞栓術での効果は、脾臓摘出と同じような効果があります。肝臓の機能を改善する効果があり、肝臓に関連する治療の中では、珍しいくらいいい方向に期待できる治療です。しかし、発熱や痛み、門脈血栓などのつらい副作用が有ることがありますので、必ず主治医と相談しつつ行う治療です。

今後の検討として、脾臓の機能の解明やより安全な手技の開発という部分があります。まだまだ未知の部分もあり、これからもっともっと改善が期待される手技でもあるかなと思います。

11-1部分的脾動脈塞栓術

2008年01月02日 | 門脈圧亢進症 食道静脈瘤

門脈圧が上がった状態を改善する治療の一つに部分的脾動脈塞栓術があります。もちろん、外科的に脾臓を摘出することも同じ効果をもたらすのですが、肝臓の状態が手術的に負担をかけることが望ましくない場合など、外科や麻酔科が手術を選択できない場合がまだまだ多く、内科的に行える、この治療が必要となります。

発熱や痛みなどの副作用が10年前は強かったため、内科でも、この治療はしない方がいいのではと言われてきましたが、最近では、塞栓の詰め物の入れ方が色々と検討され、副作用がコントロールしやすくなったことで、行う医療機関が増えてきました。しかし、まだまだ、術者でのばらつきがあり、手技としての完成が期待される分野でもあります。

私の経験からは、門脈圧を下げることで静脈瘤が改善したり、血小板が増えることでインターフェロン療法が可能となったりと大変患者さんに望ましい効果がでています。