第24回北海道門脈圧亢進症研究会 報告
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跡からメモを見ながら書いている分、結構忘れちゃってたりしますが、とても勉強になりました。発表の演者や所属医療機関についてはブログを見ながら確認していただけると幸いです。
誤字脱字、内容の間違い等有るかもしれないので、あったら教えて下さい。
1 大腸吻合部の静脈瘤
血便の出現、回腸と横行結腸の吻合部、吻合後3から10年くらいでの報告があるとのことでした。クリップにて最初止血して、その後ヒストを使用して止血、IVRなどの試みについて質問がありましたが、SMVが結腸癌の再発で途絶しているなど、条件の悪い中内視鏡がもっともバランスがよいと思われました。
2.膵頭十二指腸切除後膵空腸吻合部静脈瘤破裂に対しPTOにて止血できた1例
最初B-RTOとして演題登録していたのですがPTOとなっていたと言うことで修正。複数の排血路や供血路があり、脾動脈にバルンを入れて閉塞したり、5%EOIの停留をよくするために苦労したことが伝わってくる報告で、頑張って治療できてとても頼もしいと思えました。
3.小腸静脈瘤破裂出血に対してPTOを施行した1例
小腸の静脈瘤の治療の報告は文献的には5年間で11例あり、B-RTOも可能な場合には行われている、今回はPTOが有効であった。術中腹壁の静脈を用手的に圧迫して5%EOIの停滞を実現できた点など非常に勉強になりました。
4.異所性静脈瘤に対するIVR治療
異所性静脈瘤について15例をまとめていました。この間報告してきた症例をまとめて提示。非常に一つ一つ丁寧に治療してきたことが伝わってきて、さすが札幌厚生病院の佐藤先生たちって思いました。膀胱の症例もあったりと本当にいろんなところの治療をしてきていました。
5.3次元光造形血管モデルによる胃静脈瘤の流入路・流出路の評価の試み
これはテルモで行っている血管を造影CTから立体像を作る技術です。1mm以上の血管であれば画像的に3Dにしたりしてかなり実態に近いイメージを持てるようにはなってきていますが、やはり、実物に近い物を見る方が説得力があるのが誰にでもわかりやすいってことで、安くすぐできる技術になるといいなあってみていました。実際には10万円くらいかかって10日くらいかかるので、毎回作成はできる物ではないですが、これからが楽しみな技術です。SFみたいですよー。
6.マイクロバルーンカテーテルが有用であった左下横隔膜静脈水平枝経由B-RTOを施行した胃静脈瘤の1例
左下横隔膜静脈からのアプローチでB-RTOをした症例で、マイクロバルーンを胃静脈瘤の近傍で用いたところ静脈瘤への5%EOIの停留が改善しB-RTOができた症例であった。血行動態と使うカテーテルなど勉強になりました。
7.胃静脈瘤に対するB-RTOの検討
胃静脈瘤に対するB-RTOの成績を報告、とても上手に治療がされていて頼もしい限りでした。5%EOIの使用量を40mlいないとしていたことについては、一手技当たり20ml以内を目標として工夫することが今は望まれいていることをコメントしておきました。B-RTOの開発当初はそれ以上の量が使われていた時期もありましたが、現在は20mlを一人当たりの量としてmaxとして使用することが能書きにも書かれるようになってきています。
8.EVL違反店結紮による胃静脈瘤の治療
Stiegman LigaterによるEVLが主流の頃胃静脈瘤を結紮したときには胃の穿孔が問題となり封印された。現在PneumoactivateのEVLでは可能となってきていることを報告していた。矢崎先生やっていましたねえ。
安全に結紮するための留意点をまとめていました。不用意に吸入しないこと、胃穿孔を予防するため絶食を4日間として、H2-blockerや抗生剤を使用すること、治療後もPPIなどを継続として、うまくいっているという報告でした。もちろん、B-RTOやヒストアクリルなどがうまくいく場合にはそちらを優先として行くことも述べていました。
9.門脈腫瘍栓の進展に伴い急速に出現した胃・食道静脈瘤に対しEVL胃反転結紮で治療した肝がん合併NASH肝硬変の1例
8の演題の手技をもちいて治療した症例で、腫瘍塞栓例でも止血維持できたところがさすがと思いました。
10.門脈血栓症に対するダナパロイドナトリウム投与の効果と安全性に対する多施設アンケート(第一報)
北海道門脈圧亢進症研究会で行ったアンケート調査を元に報告がありました。
2週間投与で1カ月以内で1割以上の血栓の消失があった症例が7割、3ヶ月以上の経過観察でも6割であった。安全性も確認されて、第一選択となり得る治療である可能性が示された。
11.門脈閉塞による門脈圧亢進症に続発した小腸出血に対し人工血管を用いた上腸間膜静脈ー下大静脈バイパス(Hシャント)を行った1例
外科からの唯一の報告でした。肝円索の再開通が可能かを検討して、その上でシャント術を選択するという
じつに明快に治療方針を検討していて、さすが外科ならではで、こういった治療が検討できるのが外科の強みだよなあとうらやましかったです。IVRや内科的治療を選択する上でもこういった分析が背景にあること再度確認させていただけました。
12.門脈内ステント留置を施行した胆道癌術後の良性肝外門脈狭窄の2例
PTAを用いて経肝経肝ルートで行っている手技で放射線科ではこういうことができるんだなあと感動していました。
術後の後療法としてワーファリンやプラビックスを使ったりしたが6週間でやめられる場合もあるとのことだった。
13.当院における食道・胃静脈瘤治療の現状ーEIS・EVL・BTO準備解除の実際
内視鏡技師さんからの報告、コメデイカル向けにつくった発表ですがすべてを網羅していて時間オーバーになっていましたが一度見てもらえたらいいなと思いました。
14.デンバーシャントチューブの右心房への流出
これは、デンバーシャントの接続部分が外れて右心房にいってたということでした。鎖骨下静脈へカテーテルが入りにくい場合にカテーテルを切って再度つなぐことをしていた症例で起こったことでした、切らずに入れれば起こらない事例とは思いますが入れにくい場合はこの工夫をする際には接続部を縛ったりするなどの注意が必要かもしれません。
右心房内に入ったカテーテルは右大腿静脈ルート把持鉗子で回収できた。CVカテーテルでも行われている手技とのこと。
15.肝硬変症(C型)による肝性脳症の改善を期待してPSE先行B-RTOを施行した2例のその後
昨年報告した症例の1年後の経過を報告。B-RTO後脳症の改善が得られ、他の病態の精査や治療を行うことができ、改善が継続していることが報告された。
16.シャント型肝性脳症に対し、短絡路温存門脈大循環分流術を施行した1例
B-RTOを先行した場合には門脈圧亢進が危惧されたため、PSEを施行後、分流術を行った報告。門脈圧を確認し治療前後で確認し上手に治療が行えていたところがさすがでした。
17.2年間に渡り異時的なシャント塞栓術を行った、複雑な門脈大循環シャントを伴った肝硬変症の1例
シャント部分を少しずつ変えながら脳症の改善を目指した報告、とても大切に患者さんを診ているてんが参考になりました。
今回の研究会はIVRを中心とした放射線科の発表が多数寄せられ門脈圧亢進症の治療が様変わりしてきている部分も多くなったのだなあととても勉強になりました。
特別講演
門脈圧亢進症に対するIVR(NBCAを使用したPSEとfoamB-RTOを中心に)
東海大学医学部付属病院 画像診断科
准教授 小泉 淳先生
foamB-RTOについては学会等で発表があったのである程度は知っていたのですが、1時間あまり小泉先生の検討されてきた経過を聞いて理解が深まりました。炭酸ガスdsaも胃静脈瘤の部位にたまってくれること、formがたまる場所と一致することもとても参考になりました。
右下にして炭酸ガス造影するのが非常に意義があることで、普通の造影剤では思いので逆にしないと造影されないんですよね。
最近ではヒストをおいて、血流を完全に遮断して即終了するB-RTOを検討してると言うことでした。
あと、ポリドカロール自体に麻酔薬の効果もちょっとあるので痛みや熱がほとんど無いことも利点だと思われました
これから主流となり得る手技で、さっそく検討してみたいと思いました。
下の写真は小泉先生との懇親会です。楽しい話がいっぱい聞けました。