肝臓病と共に生きる人たちを応援します

肝臓友の会との関わりで成長した肝臓専門医のブログです。2017.2.12より新規開始しました。

お医者さんから「様子を見ましょう」と言われたんだけど 何もしなくていいってこと? B型肝炎ウイルス陽性の方からの質問あるある

2020年11月19日 | B型肝炎ウイルスの治療
 
 

  
写真は北海道の肝疾患相談窓口の案内のチラシB型肝の方向けの内容を載せておきます。是非ご覧下さい。

B型肝炎ウイルス陽性の方からの質問あるあると気をつけてほしいことを載せたチラシです。北海道肝疾患相談窓口に寄せられた電話から作成したもののようで中々的をえた内容です。

Q.お医者さんから「様子を見ましょう」と言われたんだけど 何もしなくていいってこと?
A.違います。肝がんができていないか、肝臓の様子を目で見ることです。

○”かくれがん”を見逃さないで!
自覚症状がなく、肝機能の数値に異常が無いまま、がんが進行していることがあります。

○肝がんを初期のうちに見つけられるのは、肝臓の専門医です。
超音波検査です 中の赤ちゃんをみるのと同じ機械です ちょっとヌルッとします
肝臓の内部を専門医が観察します 検査は20分ほどで終わります 半年に一度が目安です
検査を受けられる医療機関、費用などについては資料を参考にして下さい。

○”健康キャリア”として一生過ごすのが最善です。
ウイルスの暴走を見逃さないで。
B型肝炎ウイルスは多くの場合、キャリア(ウイルスを体内に持っている人のこと)の体内で眠ったようにおとなしくしています。ところが感染から何十年もたって突然暴れだし、がんを引き起こすことがあります。肝臓はとても我慢強い臓器なので、なかなか自覚症状は出ません。自覚症状がでたときには、すでに末期がんというケースも多いのです。感染から何年経っていても、油断できません。
初期の肝がんなら、勝ち目があります。
肝臓は食事から吸収した栄養を体が必要とする物質に変えたり、有毒物質を解毒するという重要な役割を持っています。「ちあいないの化学工場」と言うべき、最も大きな臓器です。

○初期の肝がんを見逃してしまうと起こること。
自覚症状
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、がんが発生してもなかなか自覚症状は現れません。しかし末期がんまで進むと、著しい体重の減少、全身のかゆみ、むくみ、疲労感などの症状が現れます。
肝性脳症
肝臓の有毒物質を解毒する能力が低下することで、脳の神経が有毒物質に冒される「肝性脳症」という症状が出ることがあります。認知症のような状態になったり、昏睡状態に陥ったりします。
打つ手なし
肝臓にがんが広がってしまうと、切除手術は行えません。肝臓は重要な臓器で、切除できる部分は限られているからです。また、肝臓は放射能に弱く、化学療法も効きにくいとされています。
長い戦い
がんというと治療のつらさを連想する方が多いでしょうが、肝がんは進行してしまうと治療はとても難しく、行える治療方法がない場合があります。そうなると、進行する症状との長い戦いになります。

ベムリディ処方開始 2017年2月15日発売

2017年02月16日 | B型肝炎ウイルスの治療
 
テノフォビルの副作用を改善した薬として登場したくすりです。
2月15日外来があったので、B型肝炎のs抗原の陰性化を実現するため核酸アナログ製剤を切り替えたり、腎機能に負担がかかっていた人から切り替えたりと、数名の方に処方開始しました。
待ちに待っていた薬といった方もいたのでよかったです。副作用が出ないで長期にいい効果が出てくれますように。

B型肝炎患者さんへの新しい薬 ベムリディ(TAF)2月15日発売予定か!!

2017年02月10日 | B型肝炎ウイルスの治療
 
テノフォビルの副作用を改善した薬として登場したくすりです。
腎臓や骨に対する副作用が少ないことから、長期に内服する患者さんへ有効性がアップすることが期待されています。

以下ギリアドのホームページからの抜粋です。

「ベムリディの基本的特徴-作用機序と高い有効性-」

ベムリディ(TAF)は、テノホビルのプロドラッグです。従来のテノホビル製剤と比べて肝臓へ効率的にテノホビルを移行するようデザインされ、全身へのテノホビル曝露量を減少させることで、副作用の軽減を目的とし、開発されました。
ベムリディは、腸管から吸収された後、代謝されることなく門脈血に入り、初回通過時に約65%が肝臓へと取り込まれます。肝臓に取り込まれたベムリディは、肝臓内でテノホビルに代謝され、さらにテノホビルが活性体へと代謝されて効果を発揮します。

日本人を含む国際共同第3相臨床試験では、HBe抗原陰性のB型慢性肝疾患患者425例を対象に、ベムリディ群とテノホビルジソプロキシルフマル酸塩(TDF)群の2群で有効性および安全性が比較検討されました。
その結果、48週時点でベムリディ群では94.0%、TDF群では92.9%の患者にHBV DNAの陰性化がみられ、ベムリディのTDFに対する非劣性が認められました。

非劣勢は、比べた薬で比較した内容が悪いってことはないよって言う意味になります。両者の効果は同等とも言えます。

B型肝炎ウイルス治療 テノゼット(テノフォビル)の妊娠について 2014.7.12調べ

2014年07月12日 | B型肝炎ウイルスの治療
 
B型肝炎治療薬のテノゼット(テノフォビル)は、妊娠についての注意がこれまでの核酸アナログ製剤より、安全と判断されています。実際投与期間中に妊娠された症例の報告もあり、重症な合併症は認められていないとのことでした。

添付文書からの引用をのせておきます。
6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与
(1) 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、[妊娠中の投与に関する安全性は確立されていない。テノホビルはサルにおいて胎盤を通過することが認められているが、胎児組織への蓄積は認められていない。また、ラット及びウサギの胚・胎児発生に悪影響は認められなかった。]
(2) 授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること。[テノホビルのヒト乳汁への移行が報告されている1)。]
HIV感染症の妊婦にテノホビル(TDF)を投与した報告が複数あり、出生した児への影響がなかった報告、影響が示唆された報告があり、安全性は確立していません。また、国内臨床試験時TDF投与中に妊娠例が確認されていますが、影響について結論には達しておりません。(2013.11現在) 更なるデータの集積を進めています。
[影響がなかった報告]
・海外ランダム化臨床試験(382例うちTDF服用248例)において奇形、腎障害、成長障害の増加は認められなかった(2)。
・海外コホート試験において、TDF曝露群(33例)は骨の成長に影響は無く、成長障害も無かった(3)。
・海外レトロスペクティブ調査(127例うちTDF服用15例)において、妊婦に対して忍容性が良好であり、産まれた児の成長は正常だった。先天性異常も示されなかった(4)。
[影響を示唆する報告]
・海外大規模コホート研究(2279例登録)では、TDFを使用した妊婦と使用しない妊婦から産まれた児を比較すると、出生直後では身長に差がないが、出生1年後ではTDF曝露児で有意に身長と頭囲が低いと報告された(Table4)(5)。
・先天性腎盂拡張が認められた海外症例報告がある(6)。
・子宮内発育遅延と出生後の低カルシウム血症、尿細管機能異常が認められた国内症例報告(タイ人)がある(7)(8)。
[参考]
■危険度分類(9)(10)
FDAの薬剤胎児危険度分類基準:カテゴリーB
「動物の生殖試験では危険性は否定されているが、ヒト妊婦の比較対照試験は実施されていない」、あるいは「動物の生殖試験で有害作用が証明されているが、ヒト妊婦の比較対照試験では確認されなかったもの」
オーストラリア医薬品評価委員会の危険度分類基準:カテゴリーB3
「使用経験はまだ限られているが、奇形やヒト胎児への直接・間接的有害作用の発生
頻度増加は観察されていない。動物の生殖試験では、胎児の障害の発生が増えると
いう証拠が得られている。しかし、このことがヒトにどのような意義をもつかは不明であ
る。」
虎ノ門病院の催奇形危険度評価:該当しない
■胎盤移行性(11)(12)
動物試験(サル)の結果から、ヒトにおいても胎盤を通過する可能性が示されています。また、ヒトにおいて胎盤移行性が比較的高いとの報告があります[(12),Table5]。
■米国のHIV母子感染予防ガイドライン(12)
TDFの催奇形性が他剤同様低いことから、2009年からTDFを推奨レジメンの一部として認めるようになりました(8)。妊婦への使用時は腎毒性をモニターすることを推奨しています。
リファレンス
1) Baroncelli,S. : AIDS patient care and STDs .23(7) ; 513 - 520 , 2009
2) Gibb,DM. : PLoS medicine .9(5) ; e1001217 , 2012
3) Vigano,A. : Antiviral therapy .16(8) ; 1259 - 1266 , 2011
4) Nurutdinova,D. : The Annals of pharmacotherapy .42(11) ; 1581 - 1585 , 2008
5) Siberry,GK. : AIDS (London, England) .26(9) ; 1151 - 1159 , 2012
6) Sabbatini,F. : Infection .35(6) ; 474 - 476 , 2007
7) 森本奈央 : 日本エイズ学会誌 .14(4) ; 435 , 2012
8) 木内英 : HIV感染症とAIDSの治療 .4(1) ; 41 - 43 , 2013
9) 林 冒洋 実践 妊娠と薬 第2版 じほう社
10) 林 冒洋 第2版 妊娠・授乳とくすりQ&A じほう社
11) 申請資料概要2.6.4.4.3
12) Recommendations for Use of Antiretroviral Drugs in Pregnant HIV-1-Infected Women for Maternal Health and Interventions to Reduce Perinatal HIV Transmission in the United States.October 28,2013. (http://aidsinfo.nih.gov/contentfiles/lvguidelines/PerinatalGL.pdf)

テノホビルが製造販売承認となりました もうすぐ使えます

2014年03月25日 | B型肝炎ウイルスの治療
3月24日グラクソ・スミスクラインでは、抗ウイルス化学療法剤「テノゼット®錠300mg」(一般名:テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩錠)の製造販売承認を取得しました。
B型肝炎の耐性ウイルスの型に効果のある薬として期待されいているテノフォビル(テノホビルとも書いています)が、保険診療で使えるようになります。これでまたB型肝炎の治療が充実します。

07 B型肝炎ウイルスの治療目標 ペグインターフェロン ペガシスが使えることに

2011年11月14日 | B型肝炎ウイルスの治療

B型肝炎治療へペグインターフェロンが適応に 先日の八橋先生の話をスライドに作ってみました。参考になれば幸いです。

B型肝炎治療に2011年9月26日からペグインターフェロンのペガシスが使えることになりました。ペガシス自体は、C型肝炎の治療に用いられてきましたが、週一回投与で済むインターフェロンとしてはじめて適応が得られ、免疫を高めることでのB型肝炎の治癒速度を上げられる可能性が期待されています。
現在の治療(核酸アナログ製剤)では、ウイルスが増えないようにすることで、肝炎改善や肝がんの抑制につながるという効果は期待されていますが、治るスピードをさらに上げる効果をインターフェロンは高めることが期待されています。
C型肝炎での治療のように、週一回だけではなく、月一回などの間隔を空けた投与でもしないよりはした方がいい効果が得られる可能性があり、今後のデータの蓄積が期待されるところです。
月一回の通院と合わせて,注射が出来ると言うことだけでもメリットがあるなあと思っています。
B型肝炎は、s抗原の値が1000を切ると11年、100を切ると5年くらいでs抗原が陰性化し、その後5,6年でs抗体が出てくるのではと推測されるようになってきました。つまり、治ると言うことが起こってきているのです。いままで、治らないと言われてきたこの病気も、治療により治る人がでてきている、すごいことになってきています。治らないというのは、もちろん自然と治る人もいるのですが確率が低いという意味です。
この数年、本当にうれしいニュースがたくさん出てくるので、これからも期待して行きましょう。

06 肝硬変症(B型)で核酸アナログで治癒したかも?

2010年06月02日 | B型肝炎ウイルスの治療

54才の女性の患者さんで、肝硬変に近い方だったのですが、核酸アナログ(ラミブジン;ゼフィックス)を開始してデータが落ちついてきたので、週3回に減らしてみましょうとしたところウイルスの上昇がなかったので、もしかしてと思いHBs抗体を測定したら、しっかりとできていました。9年間使い続けて、治癒になったことが予想される患者さんです。核酸アナログをやめれる方もいると言うことが、言えそうです、経過を見ていきたいと思います。

43才に私たちがフォローはじめたときに腹腔鏡検査を行って、島田分類420番地 肝生検 肝硬変の患者さんでした。
当時、HBs抗原陽性、HBe抗原陰性、HBe抗体陽性、HBc抗体強陽性、家族に肝炎の方はいない方でした。経過中e抗体が陰性化していました。現在核酸アナログを中止して、経過を見ています。

05ゼフィックス経過良好例

2008年01月06日 | B型肝炎ウイルスの治療

このスライドは、ラミブジンを飲み始めて、ウイルスが減少し、e抗原も陰性化した患者さんです。非常に経過が良く、半年以上e抗原が陰性化したことから、休薬してみて、その後も経過が良好な患者さんです。このように休薬可能な患者さんもいるのですが、実際には、継続して投与している場合が少なくありません。それは薬をやめることでウイルス再上昇して肝炎を起こす可能性があるからといいますが、この辺が、やめても大丈夫と言いきれるデータがでるまでは、休薬後慎重に経過を見る必要があります。

04B型肝炎ウイスル薬開始のタイミング

2008年01月06日 | B型肝炎ウイルスの治療

B型肝炎ウイルス用の抗ウイルス薬としては、ゼフィックスがはじめて保険適応になった薬でした。それまでは、エイズで使われていたエピビルという薬を自費診療で使ったりしていたのですが、保険診療で使えるようになり、たくさんの人が救われるようになりました。しかし、初めは、慢性肝炎の人にしか使えず、進行すると命に関わる肝硬変や肝癌の患者さんには使えないというしばりがありました。今考えると全く患者にとって、役に立たないしばりだったわけですが、それが無くなってから、本当に命に関わるような肝炎の増悪などにも使えるようになり、よりたくさんの人たちが救われています。肝癌になってからも肝炎が沈静化することで、肝癌の治療がより十分に行えるようになったり、非常に貴重な薬です。
 しかし、耐性ウイルスが出現する問題があり、3~5年で効果が無くなってしまう患者さんがいて、その人たちにとっては薬の効果が無くなるに等しい場合がありました。その問題を解決してくれたのがヘプセラという薬です。効果が出てくる速度が遅めではありますが、耐性ウイルスが出現しづらい特徴もあり、この2種類の抗ウイルス薬がしばらく使われていました。
 最近出た、バラクルードという薬は、耐性ウイスルが出現しづらいため、B型肝炎ウイルス薬を最初に投与するときにはこの薬を選択するようになっています。

ゼフィックスを飲んでいる患者さんでも耐性ウイルスが出現していないうちは、切り替えた方が耐性ウイルスがでづらくなるということで、3年以内であれば切り替えを検討して良いという方針がでています。しかし、この検討と言うのがやっかいで耐性ウイルスがいるかどうかを採血でチェックできないため、耐性ウイルスがでている人に使うとさらにバラクルードに耐性のウイルスがでやすくなるため切り替えることのメリットがなくなるという問題があるのです。なんだか、だんだん難しい話になってきますが、この採血での耐性ウイルスのチェックができないうちに切り替えるのは若干心配があり、1年以内であればまず大丈夫というラインが、私は使いやすい気がしています。

ゼフィックスとヘプセラを両方使っているかたは、バラクルードに切り替えずにそのまま継続することを勧めています。

03B型肝炎ウイルス薬の特徴

2008年01月06日 | B型肝炎ウイルスの治療

B型肝炎ウイルスの抗ウイルス薬は、エイズの薬の発達に伴って、効果が確認されたという歴史があります。エイズに対する効果のある薬がB型肝炎ウイルスに効果がある可能性を持っているということになりますが、現在、3種類の飲み薬があります。
長所としては、インターフェロンのような注射の薬ではなく、飲み薬であるという点は、長所と言えるでしょう。
また、ウイルスの増殖を抑える力が強く、副作用が少ない。他の病気の飲み薬は当然そうなのですが、肝炎の薬はインターフェロンに代表されるように辛い治療となるため、従来の治療よりは格段に楽な方になると言うことです。

短所としては、やめると肝炎が再度悪化することがあり、またウイルス薬が効かなくなるウイルスが出現するという耐性株というウイルスの種類に変化することが知られています。ヘプセラやバラクルードは耐性株がでずらいことが知られています。ゼフィックスでは長期的に見ると3~5年で50%の人に耐性ウイルスが出現します。
でない人はずっとでないことがあるので、必ずでると言うことでないことを忘れないでください。

02B型肝炎ウイルスの増殖の仕方

2008年01月06日 | B型肝炎ウイルスの治療

B型肝炎ウイルスの肝細胞に感染してどう増えるのかというスライドです。
B型肝炎ウイルスは、肝細胞に入りこむと人の肝細胞にある成分を巧みに利用してB型肝炎ウイルスを増殖させます。その際に人の遺伝子に組み込みを行って、一生涯そのあとを残すことが出来る仕組みも持っています。
抗ウイスル薬は、この増殖の部分でのウイスルの遺伝子を合成する部分を邪魔して、ウイルスが増殖できないようにすると言うところがわかっています。ですから、薬を飲まなくなるとこの部分が無くなるので再度増殖が可能になり、やめると肝炎がひどくなることがあるため、継続して飲むことが現在は、主流となっています。
いつやめるタイミングとして適切なのか、まだ結論が出ていませんが、長期にわたりe抗体が安定化した場合には可能ではないかと言われています。これも、e抗体ができても肝炎ウイルスが増殖しているパターンの患者さんには当てはまらないなど難しい部分がまだ存在します。

01 B型肝炎ウイルスの治療

2007年12月09日 | B型肝炎ウイルスの治療

ウイルス性肝炎の治療は、原因療法、対症療法、発癌を予防するものの3つにおおまかに分けられます。
原因療法は、肝炎の原因となっているウイルスを減少させたり排除させるもの。対症療法は炎症を抑えることによって肝臓の細胞が壊れることを防ぐ治療。発癌予防は肝炎の継続により肝癌が発生することを予防する可能性のある治療として、分けています。どの治療も、最終的には肝炎の進行肝癌の発生を予防することを期待して治る方向へ行くことを期待して行うことになります。

現在B型肝炎では、35才未満はインターフェロン療法、35才以上は抗ウイルス薬である、バラクルード、ゼフィックス、ヘプセラが主流です。しかし、自然経過で落ち着いてくる治る場合もあり、多彩な変化に応じた治療方針が必要となります。また、B型肝炎では、落ち着いている時期と急に悪化する時期が交互に来る場合があり、急速に悪化する場合に、肝不全となり無くなる場合があるなど、非常に悲惨な経過をとる場合があります。30代から40代のうちに肝硬変や肝癌が発生することもあり得るという意味では、C型肝炎よりも若い時期の経過観察が大切でもあります。
逆に50代くらいになるとぴたっと炎症が治まり、肝癌も出来ずに良好に経過する場合もあります。

しかし、普通の経過では慢性肝炎、肝硬変、肝癌と進行する病気であることは、忘れてはなりません。ですからどの時期からでも治すことが求められる病気なのです。そして、抗ウイルス薬の進歩により治る可能性がでてきていることは、いいニュースです。