肝臓病と共に生きる人たちを応援します

肝臓友の会との関わりで成長した肝臓専門医のブログです。2017.2.12より新規開始しました。

第23回北海道門脈圧亢進症研究会 報告

2012年03月28日 | 学会研究会報告新聞記事など
 
第23回北海道門脈圧亢進症研究会 がありました。
写真は右から今回の研究会の当番世話人の北大の中西先生、代表世話人の小林病院矢崎先生、と川西です。
例年だと三月の初めなのですが会場の関係でことしは3月の中すぎになりました。相変わらず誤字脱字あり得る状態での感想文的な報告ではありますが、参考になれば幸いです。

世話人会では、世話人代表の矢崎先生のスライドを使った門亢症の現状と今後の課題ってことで語っていただき、外科からIVRや内視鏡屋になってきたこの会も内科的な治療、肝不全の治療や他疾患で起こる門亢症を勉強するような会に変わってきていることを実感しました。

最後に今後の会の役割としてエビデンスを示していくような役割、まとめなどを検討してはどうかと旭川医大の大竹先生から提案あり、門脈血栓の治療についてアンケートなどをとってみてはどうかと会場内の先生方からも意見があり、検討していくこととしました。

研究会では12の演題が発表され、とても刺激的でした。
1で小林病院の矢崎先生から孤立性胃静脈瘤のヒストアクリルとEVLを用いる治療の報告がされました。EVLをかけるときに浅めにかけるのがポイントということでした。食道よりも吸引した歳に引き込まれる感じが早くて多い感じがあるので気を付けてくださいとのこと。

2では、孤立性胃静脈瘤の携帯と治療法の選択ということでこの間矢崎先生が経験してきたことを中心に、ヒストアクリルだけでは再発が多かったこと、B-RTOが可能な症例については検討していくそれができない場合はヒストアクリルという方針
が妥当だろうとのことでした。
矢崎先生の孤立性胃静脈瘤の自然経過観察症例では2年で10%くらい出血があったそうです。

3では、胃静脈瘤の破裂をきっかけに診断がついたBudd-Chiari症候群の1例ってことで、久しぶりに発表に触れました。出血してなかったら静脈の狭窄部を広げるだけでも改善するかも知れないけど、B-RTO試みるも瘤が描出されにくくできず、再出血の危険がありハッサブ手術を行ったと言うことでした。今後肝移植などの必要性も出てくるかも知れないと言うことでフォローの結果が聞けるとさらに勉強になるなあと思いました。

4では、門亢症を呈した原発性骨髄線維症の4例のまとめってことで、札幌厚生病院の木村先生から、今後とも経過を残していくことが必要な病態で、厚生病院ならではの門亢症の治療による患者さんQOLの改善が期待して行きたいところだなあと思いました。

5では市立札幌病院の梅村先生から特発性SMV血栓症の1例が報告されました。患者さんが入院治療を拒否したため外来でのワーファリン治療を行ったと言うことでしたが、経過がよく今後どのくらいの継続が必要か検討していきたいとのこと、うまく維持できるといいと思いました。

6では膵動静脈奇形が十二指腸からの繰り返し出血に関係が有るのではという報告でした。何度もショック状態になるくらいの出血があり、患者さんが何とかして欲しいって気持ちでこられているのがよく伝わってきました。動静脈奇形の関与の仕方がどうなのか、十二指腸にある静脈の状態などが把握されて手術の可能性が有れば手術治療が優先なのかなと思いました。

7では大腸癌の脾転移に併発した胃静脈瘤へのヒストアクリル注入とPSEを行ったという左側門脈圧亢進症例で貴重な経験が発表されていて勉強になりました。IVRも含めいろんな効果が蓄積されて次の病態への治療がなされていく過程に本研究会の意義もあるなあと感じた発表でした。

8では札幌厚生病院の北川先生から、GAVEやPHGで厚生病院で行ってきているEVL治療の最中に結紮部からの噴出性の出血があった症例が報告され、再度EVLで止血できるので大丈夫ということでしたが、慣れない先生にはまだ難しいかもと思えました。でも、GAVEへのEVLの治療効果はとてもいいので難治性の繰り返す出血症例では出血を念頭に置いてでも検討すべき主義なんだろうなあと思いました。今後この治療の普及すると驚かれる先生が多いんじゃないかなあと思います。特別講演に来ていた日高先生もびっくりしていました。北海道での新しい治療の発信があることは本当に私もうれしいです。

9では、札幌緑愛病院の川西から昨年報告した、直腸静脈瘤破裂例のその後再出血ありバルーンを装着して直腸のEISをしたところ、足側への排血がなくなり副作用が軽減しとてもよかったと報告してきました。バルーン圧迫はちょっと押すくらいでも十分組織が圧迫されて血流が制御されている印象があり肛門外から内へ手で圧迫するだけでも同じような効果がありそうでした。

10では、川西から肝性脳症に対してPSE先行B-RTOを施行した2症例の報告をしてきました。PSEのみで脳症が改善した症例を経験していたので、PSEのみで改善したらいいのになあと思っていたのですが、アミノレバンの点滴が週2回から週1回にはできたものの点滴からの解放はされなかったためB-RTOを追加し、経過がいいという報告でした。B-RTOのみでは門脈圧が上がるので静脈瘤の再発などが問題視されてきたのですがPSEを組み合わせることで門脈圧をあげすぎず肝機能の改善が得られなるのではないかと期待して経過を見ていいきたいと思っています。

11では札幌共立五輪橋病院消化器科の大井先生からの報告で脾動脈瘤術後の再発で胃動静脈瘤に対してIVRが有効であったとの報告、非常に貴重な症例でコイル塞栓を施行して止血状態が維持できているとのことでした。

12では、北海道消化器科病院の町田先生からの報告、多発脾動脈瘤、脾動静脈シャント、傍臍静脈シャントにIVRを施行して胃静脈瘤の止血がえられ腹水や脳症のコントロールが得られた非常に苦労して治療がなされており、患者さんと頑張って治療されてきた先生の熱意が伝わってきて感動しました。あきらめないでいい結果が得られたことよかったです。

その後北里大学東病院消化器内科の日高央先生に門脈圧亢進症に対する新しい薬物療法と題して講演をしていただきました。
この間検討してきた、ARBについてはベータ-blockerには及ばないなあという印象でしたが、PPIの再出血予防効果は十分あるなあと思いました。
あと、ネクサバールに門脈圧を下げる効果があることも確認されていて、今後の使い方の工夫ができそうな気がしました。臨床にそった研究でとてもわかりやすかったのでよかったです。

今後とも北海道門脈圧亢進症研究会に注目していただけたら幸いです。

肝炎友の会はるにれ会 総会 交流会あります 4月21日土 KKRホテル札幌

2012年03月27日 | 患者会
肝炎友の会はるにれ会 総会 交流会あります 4月21日土 KKRホテル札幌
 
肝炎友の会はるにれ会 定期総会 交流会のお誘い
2012年 4月21日(土)午前10:30~午後2:00まで
場所⇒KKRホテル札幌⇒北4条西5丁目(北海道道庁の北側)
会費⇒4000円(お釣り銭が出ないようにしていただければ助かります)
※申し込み準備の都合がありますので4月10日までに
会員の方は、会報に載っている連絡先へ、
会員でないけど交流会に参加希望の方は
http://blog.goo.ne.jp/ryokuai_2007のコメントに連絡頂ければ、折り返し友の会の方から連絡して頂きます。

遠軽医療講演終了 30名参加 相談6名

2012年03月25日 | 医療講演やイベント
 
遠軽の肝炎友の会の方と一緒に医療講演をしてきました。
30名の参加があって、皆さん熱心に聞いてくれていました。地元の先生にちゃんと診てもらっていることがわかり、安心して帰った方が多かったように思います。
相談の中には、肝移植を検討できるかといった深刻な方もいましたし、助成制度の使える治療をできないかなと相談されている方もいました。手続き無く、医療によって広がったというウイルス性肝炎の病名だけで助成が受けられる制度が実現してほしいと思いました。

札幌 B型肝炎医療講演3/9 室蘭 肝臓医療講演終了3/11

2012年03月12日 | 医療講演やイベント
○B型肝炎訴訟の原告さん向けに医療講演してきました。30名くらいの参加
s抗原の陰性化を目指す治療へと変換がはじまっていること、なおる可能性があると言える状態にまでなってきていることなど新しい研究成果が出てきていることなど話してきました。
これからの肝炎の治療環境を整えていくことも原告さん達の役割の1つでもあり、頑張って欲しいとも伝えてきました。質問が8人くらいあって、意識が高いなあと感心しました。

○室蘭の医療講演が終わりました。30名の参加。市立室蘭の金戸先生に司会をしてもらって、いつもの感じでしてきました。質問も3人ほどあり、熱心に聞いてくれてたなあと思います。
相談は8名、肝硬変の方核酸アナログ製剤の飲むタイミングなどが調整必要な方がいました。インターフェロンが可能そうな方もいましたが、背景によって変わることから、専門医を勧めた方がいました。

新しい治療が、よりよい治療でありますようにこれからも勉強を続けていきたいです。

○B型肝炎訴訟の原告さん向けの講演会での感想が届きました。一部抜粋編集しています。

また、和解協議後の川西先生のお話、高橋代表は大変素晴らしい先生とめぐり会えたんだなと、つくづく感じました。また、私も大変良い先生を発見させていただきました。
特に、先生の冒頭のお話、「病は気から」といったお話ですね。
私はそれまで、お医者さんのほとんどが、「科学万能、西洋医学万能」といった考え方のお医者さんしかいないと(これまでの私の周りにはそのような方しかいませんでした。)思っていましたが、川西先生はメンタルな部分からも医療として考える近未来的(いずれ、そういう時代がくると私は思っていました)な先生だということが判り、今日は大きな収穫となりました。

私は本日、定期的な検査を受けるための医療費助成を受けられることになりました。

また、B型肝炎・癌の治療方は着実に進歩しているそうで、どうか皆さんが元気なうちに早く最善の治療法が確立されることを願うばかりです。そのためには、一人でも多くの原告がこの訴訟に参加し、声を大きくしてこの
訴訟の存在を知らしめ、行動するべきですから、どうかこれから続く方たちには(私も含め)、時間と都合の許す限り地裁に足を運んでいただきたいと思います。

B型肝炎の医療講演のお知らせ 札幌弁護士会館 3月9日金あります

2012年03月08日 | 肝炎救済に関連して
北海道でのB型肝炎訴訟の和解協議にあわせてB型肝炎の医療講演のお知らせ

2012年3月9日金に和解協議にあわせてB型肝炎の医療講演があります。
参加できる方是非来て下さい。
B型肝炎を主にした医療講演は、あまりしていないので、この機会を是非ご活用下さい。

以下メールからの抜粋編集したものです。

 みなさん、おはようございます。
 さて、いつもどおり直前になりましたが、3月9日(金)の予定が決まりましたので、再度連絡させていただきます。午後1時30分より川西先生の医療講演もありますので、どしどしお集まりください。
 また、いろいろご都合もあると思いますので、遅刻・早退・中抜けなどもOKですので、出来る範囲での参加をお願いします。

<3月9日(金)の予定>
10時30分~ :裁判所前集会(札幌地方裁判所、いつもの門前ですが工事中)
11時00分~ :口頭弁論期日(札幌地裁8階で全員傍聴できます)
11時30分頃~ :和解協議期日(弁護団と原告団役員)
並行して原告団交流会(札幌弁護士会館5階、担当弁護士さんと交流できるかもしれません)
12時00分頃~ :記者会見・報告集会(弁護士会館5階)
12時30分頃~ :「原告団・弁護団交流会(第32回原告団会議)」(役員より挨拶・連絡など)
-途中昼食休憩(DVD上映)-

13時30分~14時15分ころ :川西先生の医療講演会
肝炎治療はこう変わる!!
患者さんと探し続けるB型肝炎の治療法
(B型肝炎の最新治療法など、ギターの弾き語りあり)
 講師 :札幌緑愛病院 肝臓センター所長 川西輝明医師

このあとは原告のみの企画となるかもしれません、ご了承下さい。
14時15分ころ~16時00分 :交流会のつづき(裁判の経過など)
<懇親会あり>
16:30~18:30  場所:七福神南1条店  (会費3000円)
※朝から晩までやってますので、可能な時間帯での参加をぜひお願いします。

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B-RTO、EVL、EISのムービー更新 2012.3.5

2012年03月05日 | 門脈圧亢進症 食道静脈瘤
動画の登録をし直しました。
以前より鮮明な画像になっているので、治療の様子が知りたい方は是非みてみてください。
ちなみに血が苦手な方はみないことをおすすめします。
07-3食道静脈瘤の内視鏡的治療 注入時ムービー
08-2食道静脈瘤破裂のEVL(結紮術)による止血ムービー
10-2胃静脈瘤のB-RTO ムービー