インターフェロンがC型肝炎ウイルスによる慢性肝炎に保険適応になって、副作用がとても強いと言うことがマスコミで取り上げられました。抗ガン剤として当時は知られていたのでなおさら強調されたと言えると思います。
間質性肺炎、うつ病などによる死亡が報告され、こんなに辛い治療を患者さんにさせるのは問題があるというような記事が多かったのを覚えています。当時研修医になったばかりの私でしたから、これは、大変な薬だなと思ったものでした。医師である私がちょっと聞いてこう思うくらいなので、患者さんにとってはとても不安になる薬であったことは間違いありませんし、いまだに副作用が心配で、考えるのも憂うつとインターフェロンはしないと心に決めている方に会うことがあります。
現在は、副作用に対する対策がかなり進んでいるので、命に関わることは滅多になくなりましたが、医師にきちんと診てもらう必要はあります。
また、インターフェロンは、もともと、自分たちの体で作られているものであることを知らないかたもたくさんいます。インフルエンザなどのウイルス感染のときに、熱が出たり節々が痛くなるのは、自分の体で作ったインターフェロンのせいなのです。
慢性化する肝炎ウイルスは、体が本来ウイルス排除のために作るインターフェロンを作ることをさせない働きを持っていることがわかっていて、これを、逆に作らないなら外から補給しましょうという考え方が、肝炎のインターフェロン療法なのです。ですから、インターフェロン療法中は、ひどい風邪に長い間かかっているときにでる副作用が出ると考えるとわかりやすいと思いますし、そのために出る熱などの反応に対して熱冷ましなどでしのぐことで継続が可能になると言うことなのです。
最初の頃は、IFNが効かないタイプのウイルスには1割弱も効かなかったインターフェロン療法でしたが、現在は6割前後の方にウイルス排除の恩恵をもたらすことが出来るまでになってきました。さらにより安全で効果的な治療法として進歩してくれると思いますし、抗炎症(GPTを下げる働き)、発癌抑制という効き目も普通に言われるようになってきていますので、副作用が心配な方には少量で長期という使用方法も可能になってきています。
C型肝炎による慢性肝炎の方で1度もインターフェロンをしたことがない方は、ちょっとでも試してみるといい結果につながる方が多いと思います。もちろん、そういうときは、途中でやめてもいいのです、辛かったら無理しないを心がけることも大切です。