2013年7月16日かでる2・7で、肝臓教室とサロン会をしてみました。
病院で行っていた肝臓教室もいいのですが、病院まで来るよりは街の方が参加しやすいという方もいるので、今回は札幌駅から徒歩10分ほどでつくかでる2・7を場所に選んでみました。外来で誘った患者さんやブログを見てきていただいた方を中心に10名の方が参加してくれました。
テキストとして
慢性肝炎・肝硬変の診療ガイド(2013)1,260円(税込)
著者/編集:日本肝臓学会 出版社:文光堂
を使用して、その中で記載されいている部分を中心に患者さん向けに話をしてみようとやってみました。ちなみに札幌緑愛病院の売店でも売っていますので、このブログを見ながら一緒に勉強してみたい方も試してみて下さい。
このテキストは、医療従事者向けに書いているので、患者会の方が相談を受けたときに知識として身につけておきたいからといっていたのも印象的でした。内容としては職員の勉強会にも使用しているので、説明しながらちょっと難しいなあと思いましたが、みなさん頑張って聞いてくれていました。
患者さん方がこの本を活用するときには、難しい内容は読み飛ばして、わかるところだけ読んでください。具体的には目次の太字のところを表題のところだけをみるのも一つです。内容を読んでも難しいので、こんな項目があるんだなあ。でも、十分です。
そして、memoって書いている部分はかなり上級者の知識になりますので、こんな難しいこと先生方は勉強してるんだなあと思って読んでもらえたらいいかなと思います。
さて、今回の前半の肝臓教室の部分では 最新治療のエッセンスということでお話ししてきました。
テキストの序文をまず読みました。この本がどういう意図で書かれた物かが書いています。肝臓学会が出してきたいろんな本も紹介されています。1人でも多くの方へ肝臓について教育していく部分もになっている本であることがわかります。治療ガイドラインに示されている新しいC型肝炎ウイルスに対する薬や標準治療となってきていること、B型肝炎の治療も核酸アナログが3種類から4種類へと増えていくことにも触れていました。常に新しい話が出てきているのでこのガイドも2011年から2年弱で改訂になっているのです。内容的には新しい内容が付け加わっている感じでそんなに変わってはいません。その新しい内容について今回は勉強をしました。
今回解説した部分
○19ページの今後の展望のところ
エンテカビルの耐性出現率が低く、これは、B型肝炎ウイルスの核酸アナログの治療はとてもよく聞くのですが反面、効きにくいウイルスが出現します、これが耐性ウイルスというのですが、この耐性ウイルスの出現が少ないというのが特徴です。それでも、免疫不全や肝硬変、抗ウイルス症例などの場合には出現することがあるので、欧米ではすでに使われている、テノホビルやその合剤が推奨されています。日本ではこれから使えるようになるでしょう。
日本でもHIV(エイズのウイルス)には使える薬になっているので入手は可能で、HIVの合併例や治療抵抗例で使用経験として報告されています。
また、インターフェロンや核酸アナログ以外の薬も研究されているが、5年以上かかるとされています。
核酸アナログの長期投与の安全性と治療効果、治療の中止時期、核酸アナログとインターフェロンの併用療法の効果と適切な使用法の更なる検討が望まれていると結んでいました。
○37ページのこれからの抗ウイルス治療
シメプレビルが臨床開発段階であることが書かれていて、早ければ今年の末には使えるようになっているかもしれない。他の薬も研究が進んでいることが書いていました。ゲノタイプ2型の人向けのテラビックの臨床試験もおこんな我いるそうです。
○39ページのインターフェロン少量長期投与
これが私としては一番うれしい内容です。ウイルス排除だけでなく、肝がんができないようしていく治療として行うことがあると記載されるようになりました。医療費助成が実現してくれたらと思います。
○50ページのフィブロスキャン(FibroScan)
検査として、肝生検に置き換えることが可能と期待されています。超音波の原理を利用して肝臓の硬さを測定して、慢性肝炎や肝硬変の時期かを推測することができる。全体をチェックしているのではない点に注意が必要です。
次回は、8月20日かでる2・7 510会議室(5階)で午後1時から2時半(肝臓教室30分、その後サロン会)、B型肝炎(2ページから)とC型肝炎(22ページから)のそれぞれの概要を15分ずつ解説して行けたらと思います。
肝臓教室だけの参加もサロンからだけの参加も可能です。興味のある方はどなたでも参加下さい。