肝臓病と共に生きる人たちを応援します

肝臓友の会との関わりで成長した肝臓専門医のブログです。2017.2.12より新規開始しました。

15高齢な方のインターフェロン療法 C型肝炎

2007年11月30日 | インターフェロン療法について

高齢というと、何歳くらいになるでしょう、65才以上を高齢というように勉強してきたのですが、最近は、65才では若いと思える時代に入ってきてるのではないでしょうか。インターフェロン療法も高齢者には辛い治療と言うことで、65才以上は、原則的にしないようにしていた時期もありました。現在は70才75才でも、検討していけるのではないかという発表もされるようになってきていて、人間の健康状態は100才に向けてどんどん進化?してるのかなあと思ったりします。

今回のスライドは、84才の方のインターフェロン療法のものです、75才以上のインターフェロン療法については、慎重に検討すべきと、副作用と効果、寿命などはっきりとラインが引けるものではないところで、いろいろと検討されています。個々の患者さんとよく相談した上で決めるというと、それ以上はなせるものがないですが、進行したりして寿命にかかわるような場合は治療としましょうというのが大筋と言うところでしょうか。
このスライドの患者さんは、AST、ALTが高く肝炎が強かったこと、ウイルス量が少なくてインターフェロンの効果が期待できたことから、副作用に注意して開始した方でした。結果としてたの病気で入院が必要となったため普通量の4分の1で開始して、たった4回でウイルスが消えたというとても、ラッキーな患者さんでした。

すべてについてこのようなラッキーな形でウイルスが消えるなら本当にありがたいですが、そうも行かないのが現実です。しかし、年齢だけで判断してインターフェロンをしないとなるとこのような助かる人も助けられなくなると言う現実があります。より安全に効果的な治療法を常に追求しているので、さらにいい治療となっていってほしいと思います。

いよいよPACS って画像のコンピュータ管理化というとわかりやすいかな

2007年11月29日 | 肝臓センター
札幌緑愛病院にもいよいよ、PACS(画像のコンピュータ管理化というとわかりやすいかな?)が入ります。といっても、まだ、本格稼働ではないですが。。。パソコンが入って、その操作方法をならっている状態です。
いままで、使ったことのないソフトで、先生方も職員も使いこなせるのかなあといっていますが、きっと、使い倒してくれると思います。

14少量長期インターフェロン療法について

2007年11月28日 | インターフェロン療法について

インターフェロン療法というと決められた量を決められた期間しなくては、効果がない、なんとしても最後まで頑張らなければと気合いを入れて、考える方がいます。以前のインターフェロン療法であれば6ヶ月しか使えないから、なんとしても頑張りましょうという感じが漂っていたと思うのですが、現在は併用療法によるインターフェロン療法以外は、何回も繰り返すことが可能となってきており、体調に合わせて、ゆっくりやるのがいいと、頑張っている、高齢の患者さんもいらっしゃいます。

インターフェロン療法の目的は、ウイルス排除が一番の効果ですが、現在は、炎症を改善したり、肝癌の発生を抑える可能性があるということで、少量で一年以上の長期間加療を受ける方が増えてきています。ウイルスが消える可能性は少ないですが、副作用の強い治療を続けるよりも、ゆっくり気長に出来る治療を選択することも、大切な場合があります。もちろん休んだり、再開したりも可能となっていますので、仕事や、家の用事なども考慮しつつ行うことも出来ます。
すべてにおいて、望ましいというわけではありませんが、いろんな工夫をしながら頑張っている患者さんがいます。

私も、なんとか、インターフェロン療法の効果を引き出して、肝癌の発生を少しでも減らしたいと思って、色々と考えてきました。インターフェロンはしたいんだけど、副作用が心配と言うことでできない人、体力に自信がないとできない人いろんな人がいます。そういう方に、お試し的にインターフェロンをしてみましょと話す場合に、普通量の16分の1の量でどうかなと話してみることがあります。これはペガシスというインターフェロンですが、180を週一回というのが普通量なのですが、45で月1回ということで、はじめてみましょうといつでもやめられますからね。無理はしちゃダメですからねと話ながら行います。
実際この方法ではじめてみたら、10人に一人は無理と言うことでやめていますが、残りの9人の方はこれなら何とか出来そうだと喜んでくれました。

その後続けられるかどうかは、人それぞれですが、半分以上の方がつづけられていることから、本来ならインターフェロンをせずにあきらめていた人たちが、インターフェロン療法に取り組めたということがまず一歩となっています。ウイルスが消えてくれた人もいますし、炎症が治まった人もいます。全く変わらない人もいますが、治療を行えたという前向きな気持は、やって良かったと思えるレベルでした。生きがい的な面をどう評価するか、それが治療として意味があるかなど評価方法はむずかしいですが、この点も徐々に明らかになるものと思っています。

13インターフェロン療法におけるかかりつけ医と専門医

2007年11月27日 | インターフェロン療法について

すべてのC型肝炎患者さんの治療を肝臓専門医に集中するという方法は、現実には不可能です。
専門医にかかればすべてが解決すると言うことでもありません。いろんなことを相談できるかかりつけ医が地元にいる場合はその先生と専門医の先生が連携をとれることが、とても患者さんにとっては安心です。
専門外の治療は、医師にとっては、非常に不安が強く、副作用を強調してしまう傾向や、早めに減量や中止をするという慎重な対応が必要となる場合がたまにあります。

実際専門医がそばにいない地域もたくさんあり、この辺は難しい場合も多いともいえます。理想的な連携をとれる環境が実現するよう頑張っていきたいと思います。

12インターフェロンの開始年齢

2007年11月26日 | インターフェロン療法について

このスライドは、私たちが患者さんと2000年から2005年までに経験してきたIFN療法の年齢分布です。女性は60代にピークがあり男性は50代にピークがあります。だんだんと全体が年齢を重ねてきているので、インターフェロンが認可されるようになった1992年より、15年経過しているわけです。当時65才以下が適応と、年齢で限界が決められているかのような、話がたくさんありましたが、現在は、75才までは、何らかの形でIFN療法を検討できるのではないかと言われるようになってきました。

肝炎の方は、何才になっても肝癌になる可能性があることがわかってきており、肝硬変や肝癌になる可能性があるのであれば治療をするべきと考えられるようになってきました。以前は、高齢者の場合は進行が遅く、肝癌よりも脳卒中や心臓病でなくなる人がおおいから、インターフェロンはしないでも大丈夫なんて言われていた時期もありましたが、現在はそうではないと言うことがよくわかってきており、ウイルス肝炎の多発している年代の方は、ウイルスがいる状態で肝炎が持続することで肝癌の発生が何歳でもあり得ることがわかってきています。日本には、このウイルス肝炎の多発する年代層があり、国民病として、感染を広げた責任が、医療行為にあったことがだんだんと証明されつつあると思います。はやく国の対策を充実したものとして欲しい。患者さんの切実な思いは、いまもなお、聞かれます。

11C型肝炎ウイルスに対する再インターフェロン療法

2007年11月25日 | インターフェロン療法について

スライドは、C型肝炎ウイルスによる慢性肝炎のインターフェロン療法で初回ではなく、2回目以降のインターフェロン療法をする人対象のガイドラインです。

2回以上のインターフェロンとなると、さまざまなパターンがあるため、単純なものではなくなることもたびたびですが、1回目が効かなかったと言うことで、現在行える、インターフェロン療法で効果が高いとされる、ペグインターフェロンとリバビリンの併用療法が第1洗濯とされることが多いと言えます。しかし、1回目以降のインターフェロンの副作用により、いろいろな症状が出る場合、単独療法を選択した方がいい場合もあり、各々の状態の応じて調節をしてもらう必要がある場合があります。

苫小牧肝ガン検診 2007年の肝ガン検診はこれで終了

2007年11月25日 | 肝がん検診

本日は、8名受診予定で、肝ガン検診を行いました。
薬害肝炎の関連の心配がある方の受診が目立ちました。はじめて受診される方の比率が高かった検診でした。受診希望者の掘り起こしが課題かなと。

エコーの部屋をテントにして設営は大変はやくできました。若干テントが冷えていて、プラスチックの留め具が壊れるというハプニングがありました。ガムテープで補強して、事なきを得ました。
写真は、テントのエコー室です。部屋に二つ広げるといい感じ。3つはきついかなあ。小規模ならこの方法が効率的と思いました。

地元の検査技師さんも2名参加していただけて、来年のイメージが出来たかなと思いました。

今年はこれで、終了です。なんとか、全道各地で、新規開始することができ、来年の課題も見えてきたところで、来年からはさらにレベルアップして頑張っていきたいと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。

10C型肝炎ウイルスに対する初回インターフェロン療法

2007年11月24日 | インターフェロン療法について

2005年以降の、C型肝炎ウイルスに対する慢性肝炎の初回インターフェロン療法のガイドラインのスライドです。
ジェノタイプ1のウイルス量の多い方には、ペグインターフェロンとリバビリンの48週投与。
ジェノタイプ2のウイルス量の多い方は、ペグインターフェロンとリバビリンの24週投与。
ウイルス量が100k未満の方には、ペグインターフェロンの単独療法で24から48週投与。
これが、基本的な治療方針とされています。もちろん、患者さんの体調や環境などによって必ずしもこれがベストとならないことはあり得ます。専門医との連携がとれる方は是非かかりつけ医との連携を取りつつ行っていただけたらいいと思いますし。なかなか、近くにいない場合は、主治医の先生とよく相談室しつつ行えればいいとおもいます。

どちらにしても現在は、48週間から72週間とする場合もあったりと、ガイドライン通には行かないこともよくあります。一つの指標と考えていただければと思います。

09ペグインターフェロンとリバビリン

2007年11月23日 | インターフェロン療法について

現在国内では、ペグインターフェロンとリバビリンの組み合わせが二つあります。
一つは、最初に保険適応になったペグイントロンとレベトール。もうひとつは、ペガシスとコペガスです。

どちらも、C型肝炎ウイルスに対して、聞きにくいとされる。セロタイプ1,高ウイルス量のウイルスに50%以上の効果があるということで、非常に効果的です。インターフェロンの単独療法では、10%も効果がなかったというのも、インターフェロンが保険適応になった当初、効きやすいウイスルも込みでだした30%という成績でも、さらに効かないウイルスがいたという。なんだか、ややこしい話で済みません。従来の方法の5倍の効果なんてものではないということ。

しかし、裏を返せばまだ効きにくいとされるタイプの場合は40%くらいの人たちは、ウイルスが残るということ。この併用療法が繰り返せることで、効果が出る可能性はあるはずで、まだデータが出ていないため、保険としては積極的に認めるという形になっていないという現実も、悩ましいところです。

とにかく、副作用が耐えられる状態の患者さんであれば、少しでもウイルスが減って炎症がとれることが、肝癌から遠ざかる方法になる可能性はあるわけで、なんとしても、可能な限り、検討していきたい治療です。

副作用として、催奇形性があるため、避妊が必要であることがあります。また、貧血が進む場合も注意が必要です。

08ペグインターフェロン イラスト

2007年11月23日 | インターフェロン療法について

このスライドは、中外製薬さんのペグインターフェロンである、ペガシスのものです。シェリングさんのペグインターフェロンも構造的には似たようなもの(分子量とかが違いますが)で、インターフェロン本体(スライドでは白いひょうたんのような形のもの)のおしりにテープ状のものがついてインターフェロンがつつまれているようなイメージ。これが、インターフェロンを分解されないように守ったり、異物として認識されて抗体ができるのを予防する働きがあるといわれています。

この構造によって、長期間体内で効果を持続させることが可能になったと言うことなのです。いろいろと長時間作用させるインターフェロンの研究がされてきたなかでこの構造のインターフェロンが開発されたというものです。なかなか、安定して効果が出せる構造を作るのは大変だったようです。今後またいいものが出来てくればいいと思います。

ペグインターフェロンは、構造的には似たものとして分類されていますが、それぞれ、特徴があり、使い方についても工夫が色々されています。これからも、患者さんにやさしい効果のある薬がでてくれることを祈っています。

07ペグインターフェロン

2007年11月21日 | インターフェロン療法について

インターフェロン療法の進歩の一つに、効果が持続するインターフェロンの出現があります。これは、ペグインターフェロンというもので、従来のインターフェロンが効果を持続するには、連日や週三回の注射が必須でしてが、これが、週一回でよくなったのです。投与回数が減るだけではなく、ペグインターフェロンの種類によっては1カ月近く効果が持続する可能性もあり、今までのインターフェロン療法とは違った使い方が出来るようになりました。
効果も副作用も改善されて、いいことづくめのようですが、単独療法の限界は、このインターフェロンにもあり併用療法がやはり現在は効果としては優先されます。しかし、単独療法が望ましい方もいるわけでその場合は非常に効果的です。

現在、単独療法が出来るペグインターフェロンはペガシスしかありませんが、ペグイントロンが単独使用できる時代も来ることが期待されています。

肝移植勉強会 職員 患者さん対象

2007年11月20日 | 医療講演やイベント
今回、北海道大学臓器移植医療部の古川博之先生たちが、肝移植の啓発をかねて、あちこちの医療機関で勉強会をひらいてくれることになり、緑愛病院でも日程が決まりました。
膵移植についても話が聞けると言うことで、現在の最先端の移植医療について話が聞けると楽しみにしています。

日時 平成19年12月5日(水)午後6時から7時くらいまで
場所 すこやか会館 札幌緑愛病院敷地内
   住所 札幌市清田区北野1条1丁目6-30 電話番号011-883-0121

勉強会
1.肝臓内科での肝移植との関わり この間の経験から
            札幌緑愛病院 肝臓センター 川西 輝明医師 10分弱
2.肝及び膵移植について
            北海道大学臓器移植医療部 古川博之医師 谷口雅彦医師

みじかい時間ではありますが、これからの肝臓医療膵臓医療の展望が見えてくると思います。

新ひだか町 医療講演終わりました

2007年11月17日 | 医療講演やイベント

参加者は5名と少なかったのですが、司会の岡野先生と肝炎患者さんの治療法や状況などについて、話を出来ることが出来てとても良かったです。優しい先生に地域の方が見てもらえているのだなあと、とても安心でした。この先生に患者さんをお願いして連携が出来ればもっと、地方の方が理想的な治療を受けられるのだなあと思いました。

インターフェロン療法の不安があってがんばれるだろうかという相談があり、今は量も期間も負担のない方法を調節することも可能なので相談して検討してみてはいかがですかと、話してきました。

写真は、右下の先生が 新冠町国民健康保険病院  院長  岡野 重幸先生です。

05C型肝炎ウイルスの種類と頻度

2007年11月17日 | インターフェロン療法について

スライドは、日本におけるC型肝炎ウイルスの種類と割合、インターフェロンの効きやすさを表にしたものです。日本以外の国では比率が変わってきます。日本での特徴は、セロタイプ1、その中でもゲノタイプ1bというのがとても多いと言うことです。これは、インターフェロンが効きにくいといわれるタイプで、インターフェロンの単独療法の半年投与では、10%を切っていたものです。現在は、リバビリン併用ペグインターフェロン療法で50%以上の効果が期待されるまでになっています。なんとか100%に近い効果が出る方法が早く開発されて欲しいところです。
ウイルスの型の測定方法は、セロタイプというウイルスの作るタンパク質の種類で判定する保険診療が使える測定方法と、保険がきかないゲノタイプという遺伝子の型を見る方法があります。ゲノタイプのほうがより細かい効果予測が出来るので、より効果があるかどうかがわかるという意味では、早く普通にはかれるようになって欲しいところです。
ゲノタイプでは、2aでウイルス量が少ない場合が9割前後効果があり、この方が出た患者さんはまずウイルスは、消えると言える時代です。