RON SEXSMITH / LONG PLAYER BLOOMER
フジロック予習特集、第4弾! ロン・セクスミスです!!
2009年のプリシラ・アーン、2010年のダイアン・バーチ。てっきり奥の方における美形女性シンガー・ソング・ライター枠みたいなのが定着するのかと思いきや、今年は無いじゃ~んとがっかりしている今日この頃ですが、いや、案外、その枠を引き継いだのはロン・セクスミスなのかもしれません! ま、女性じゃないですけどね…。美形でもないし…。しかし彼なら、プリシラやダイアンによる“うっとり空間”に負けずとも劣らない、極上の歌世界を見せてくれることでしょう。奥の方限定極上SSW枠といったところでしょうか?
1964年生まれ。カナダ出身。デビューは95年の「RON SEXSMITH」。しかし91年に既にインディーで1枚リリースしているので、その活動歴は20年強。もうりっぱなベテランですね。リリースした作品も10枚を越えます。けっして派手なタイプではありませんし、誰もが知っているような大ヒット曲を持っている訳でもない。いたって朴訥とした活動ながら、「あ~、ロン・セクスミスって良い曲書くよね。」と多くの人から密かに愛されてるような、そんなタイプ。実際、ポール・マッカートニー、エルヴィス・コステロ、クリス・マーティンなど、蒼々たる方達からそのソング・ライターの才を絶賛されているとか。近年ではエミルー・ハリスがロン作の楽曲を新作で歌っていたのが印象的でした。
そんなロン・セクスミスの最新作が写真の「LONG PLAYER BLOOMER」。もうあまりの気持ち良さに思わず顔が綻んでしまうようなロン節がたっぷり詰まった傑作です。プロデューサーはボブ・ロック。この人、ヘヴィ・メタル/ハード・ロック系で名を成した人。89年にモトリー・クルーが出した「DR. FEELGOOD」というアルバムをプロデュースしたのがこのボブ・ロックでした。このアルバムが出た当時、私はちょうどヘヴィ・メタルにハマっていた頃で、とにかくこの「DR. FEELGOOD」の音圧と言うか、音の太さと言うか、その迫力に度肝を抜かれたものです。部屋を真っ暗にしてこの「DR. FEELGOOD」を大音量でかけては興奮していたあの頃の自分が懐かしいです。私の印象といたしましては、ヘヴィ系においてはこの「DR. FEELGOOD」がサウンドの分岐点だったと思っています。その後、ボブ・ロックはメタリカの大名盤「METALLICA」も手がけ、名プロデューサーの名を欲しいままにする訳ですが、アナログ時代の人肌のサウンドから、デジタル時代の太く強靭な音質への変革において、確実にそこに足跡を残した重要人物の一人と言って良いでしょう。
ちょっと話が横にそれましたが、そんなボブ・ロックがロン・セクスミスなんですよ! だからと言って、ロン・セクスミスがいきなりハード・ロック化する訳ではありません。ですが、音の肉付きと言うか、粒立ちが良いんですよ。鳴りにキレがありつつ、ふっくらとしている。そして内省的なロンの歌声も輪郭がはっきりしていて、瑞々しく響いてくる。こういったサウンド・メイキングは明らかにボブ・ロックの手腕でしょうね。音の芯が太く、ライヴ感の強いサウンドが、ここでは華やか且つポップなフィーリングを生み出しています。
特に冒頭の3曲が素晴らしい!1曲目「Get In Line」のイントロから、その暖かいギターのサウンドやふくよかなベース・ラインはまるで陽光のようにオーガニックな癒しを感じさせ、飾り気のないロンの歌声が綴る優しいメロディはただただ心地良い。そして2曲目「The Reason Why」は爽快感と甘酸っぱさが同居したようなアップ・ナンバー。軽快なビートを暖かく包み込むようなロンのヴォーカルと、その歌声が綴る流れるようなメロディーが素晴らしい。ギター・リフとハーモニカの絡みがまた良い感じです。そしてスライドギターのイントロからめくるめくメロディーが交差するような3曲目「Believe It When I See It」。これぞロン・セクスミスですよね!ホントに良い曲です。
もちろんこの3曲だけではありません。ポール・マーカートニー的なポップ・センスを感じさせる「Miracles」、緩やかに波打つようなメロディーに吸い込まれるような「Late Bloomer」、室内楽のように洗練されたアンサンブルとカントリータッチが秀逸な「Heavenly」、ファンキーなキーボードと手拍子、そしてロンならではの流麗なメロがポップに弾ける「Middle Of Love」、明るさと陰、甘さと苦みが同居し、暖かくもあり切なくもあるスロー「Everytime I Follow」。そしてこのアルバムを象徴するような美しさに溢れた「Love Shines」。さらにアコースティックの素朴な質感と朴訥としたロンの歌声にうっとりな「Nowadays」。まさに、ただただ“良い曲”が次々に紡がれて行く感じ。これは傑作ですよ!
さて、フジロックでは初日のフィールド ・オブ・ヘブンに登場するロン・セクスミス。このメロディ・ラインはヘブンにぴったりですね!果たしてどんなライヴを見せてくれるのか?

RON SEXSMITH / RON SEXSMITH
95年リリースのメジャー・デビュー作。ジャケの写真はちょっと可愛いですが、64年生まれなのでこの時既に30歳に近かったんですね。冒頭を飾る「Secret Heart」は青春の名曲。いや永遠の名曲。

RON SEXSMITH / BLUE BOY
スティーヴ・アールのプロデュースのもと、ナッシュヴィルで録音された01年作。ある意味、ロン・セクスミスもカントリー・ロックの一種なのかもしれません。
Ron Sexsmith - "Get in Line"
「Get in Line」のアコースティック・ライヴ。
Ron Sexsmith - The Reason Why.avi
バンド・セットによる「The Reason Why」
"Secret Heart" - Ron Sexsmith
豪華共演陣も思わず聴き入る「Secret Heart」。
~関連過去ブログ~ お時間有ったらぜひ!
11.06.08 フジ予習:G・ラヴ&スペシャル・ソース
11.05.31 フジ予習:ティナリウェン
11.05.28 フジ予習:バディ・ガイ
フジロック予習特集、第4弾! ロン・セクスミスです!!
2009年のプリシラ・アーン、2010年のダイアン・バーチ。てっきり奥の方における美形女性シンガー・ソング・ライター枠みたいなのが定着するのかと思いきや、今年は無いじゃ~んとがっかりしている今日この頃ですが、いや、案外、その枠を引き継いだのはロン・セクスミスなのかもしれません! ま、女性じゃないですけどね…。美形でもないし…。しかし彼なら、プリシラやダイアンによる“うっとり空間”に負けずとも劣らない、極上の歌世界を見せてくれることでしょう。奥の方限定極上SSW枠といったところでしょうか?
1964年生まれ。カナダ出身。デビューは95年の「RON SEXSMITH」。しかし91年に既にインディーで1枚リリースしているので、その活動歴は20年強。もうりっぱなベテランですね。リリースした作品も10枚を越えます。けっして派手なタイプではありませんし、誰もが知っているような大ヒット曲を持っている訳でもない。いたって朴訥とした活動ながら、「あ~、ロン・セクスミスって良い曲書くよね。」と多くの人から密かに愛されてるような、そんなタイプ。実際、ポール・マッカートニー、エルヴィス・コステロ、クリス・マーティンなど、蒼々たる方達からそのソング・ライターの才を絶賛されているとか。近年ではエミルー・ハリスがロン作の楽曲を新作で歌っていたのが印象的でした。
そんなロン・セクスミスの最新作が写真の「LONG PLAYER BLOOMER」。もうあまりの気持ち良さに思わず顔が綻んでしまうようなロン節がたっぷり詰まった傑作です。プロデューサーはボブ・ロック。この人、ヘヴィ・メタル/ハード・ロック系で名を成した人。89年にモトリー・クルーが出した「DR. FEELGOOD」というアルバムをプロデュースしたのがこのボブ・ロックでした。このアルバムが出た当時、私はちょうどヘヴィ・メタルにハマっていた頃で、とにかくこの「DR. FEELGOOD」の音圧と言うか、音の太さと言うか、その迫力に度肝を抜かれたものです。部屋を真っ暗にしてこの「DR. FEELGOOD」を大音量でかけては興奮していたあの頃の自分が懐かしいです。私の印象といたしましては、ヘヴィ系においてはこの「DR. FEELGOOD」がサウンドの分岐点だったと思っています。その後、ボブ・ロックはメタリカの大名盤「METALLICA」も手がけ、名プロデューサーの名を欲しいままにする訳ですが、アナログ時代の人肌のサウンドから、デジタル時代の太く強靭な音質への変革において、確実にそこに足跡を残した重要人物の一人と言って良いでしょう。
ちょっと話が横にそれましたが、そんなボブ・ロックがロン・セクスミスなんですよ! だからと言って、ロン・セクスミスがいきなりハード・ロック化する訳ではありません。ですが、音の肉付きと言うか、粒立ちが良いんですよ。鳴りにキレがありつつ、ふっくらとしている。そして内省的なロンの歌声も輪郭がはっきりしていて、瑞々しく響いてくる。こういったサウンド・メイキングは明らかにボブ・ロックの手腕でしょうね。音の芯が太く、ライヴ感の強いサウンドが、ここでは華やか且つポップなフィーリングを生み出しています。
特に冒頭の3曲が素晴らしい!1曲目「Get In Line」のイントロから、その暖かいギターのサウンドやふくよかなベース・ラインはまるで陽光のようにオーガニックな癒しを感じさせ、飾り気のないロンの歌声が綴る優しいメロディはただただ心地良い。そして2曲目「The Reason Why」は爽快感と甘酸っぱさが同居したようなアップ・ナンバー。軽快なビートを暖かく包み込むようなロンのヴォーカルと、その歌声が綴る流れるようなメロディーが素晴らしい。ギター・リフとハーモニカの絡みがまた良い感じです。そしてスライドギターのイントロからめくるめくメロディーが交差するような3曲目「Believe It When I See It」。これぞロン・セクスミスですよね!ホントに良い曲です。
もちろんこの3曲だけではありません。ポール・マーカートニー的なポップ・センスを感じさせる「Miracles」、緩やかに波打つようなメロディーに吸い込まれるような「Late Bloomer」、室内楽のように洗練されたアンサンブルとカントリータッチが秀逸な「Heavenly」、ファンキーなキーボードと手拍子、そしてロンならではの流麗なメロがポップに弾ける「Middle Of Love」、明るさと陰、甘さと苦みが同居し、暖かくもあり切なくもあるスロー「Everytime I Follow」。そしてこのアルバムを象徴するような美しさに溢れた「Love Shines」。さらにアコースティックの素朴な質感と朴訥としたロンの歌声にうっとりな「Nowadays」。まさに、ただただ“良い曲”が次々に紡がれて行く感じ。これは傑作ですよ!
さて、フジロックでは初日のフィールド ・オブ・ヘブンに登場するロン・セクスミス。このメロディ・ラインはヘブンにぴったりですね!果たしてどんなライヴを見せてくれるのか?

RON SEXSMITH / RON SEXSMITH
95年リリースのメジャー・デビュー作。ジャケの写真はちょっと可愛いですが、64年生まれなのでこの時既に30歳に近かったんですね。冒頭を飾る「Secret Heart」は青春の名曲。いや永遠の名曲。

RON SEXSMITH / BLUE BOY
スティーヴ・アールのプロデュースのもと、ナッシュヴィルで録音された01年作。ある意味、ロン・セクスミスもカントリー・ロックの一種なのかもしれません。
Ron Sexsmith - "Get in Line"
「Get in Line」のアコースティック・ライヴ。
Ron Sexsmith - The Reason Why.avi
バンド・セットによる「The Reason Why」
"Secret Heart" - Ron Sexsmith
豪華共演陣も思わず聴き入る「Secret Heart」。
~関連過去ブログ~ お時間有ったらぜひ!
11.06.08 フジ予習:G・ラヴ&スペシャル・ソース
11.05.31 フジ予習:ティナリウェン
11.05.28 フジ予習:バディ・ガイ