ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
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フジ予習:ワイドスプレッド・パニック

2011-07-17 17:21:16 | フジロック
WIDESPREAD PANIC / DIRTY SIDE DOWN

フジロック予習特集第5弾、ジャム・バンド界の大物ワイドスプレッド・パニックです!

正直なことを申しますと、ワイドスプレッド・パニックのフジ出演が決まって以来、当ブログでも「パニック!パニック!」と騒いでいる私ですが、実はこのバンドのこと大して知ってません…。86年にデビューしたベテランバンドでありながら、ここ日本ではこれまでほとんど紹介されることがなかったバンドですからね。しかもジャム・バンドと言うと、やはり生で観なけりゃ始まらない!みたいな印象があり、気にはなってもCDを買うより、いつかフジが呼んでくれることを待ちわびる、そんな道を選びます。みたいな。そしてその時が来たのです!

さて、私が初めてワイドスプレッド・パニックのことを知ったのは、02年のボナルー・フェスの模様を納めたCD&DVD。ジャム・バンドの祭典として知られるこの巨大フェスの記念すべき第1回目で、本当の意味でのジャム・バンドの祭典だった頃の記録。新旧、ジャンルを飛び越えた錚々たるジャム系アクトが顔を揃えた3日間。最終日の大トリをフィッシュのトレイ・アナスタシオが務め、初日、2日目と2日間のメインを張ったのがこのワイドスプレッド・パニックだったんです。それまでワイドスプレッド・パニックの名前すらしらなかった私にとってはかなりの衝撃でした。何このバンド?2日間って凄くない?みたいな。そしてレイドバックした「Blue Indian」の演奏と、ドッティー・ピープルズを中心にしたクワイアを従えた「Tallboy」に感動したものです。アメリカって広いな…って。

今年でデビュー25周年というワイドスプレッド・パニックの長い歴史は、81年にジョージア大学でジョン・ベル(vo)とマイケル・ハウザー(g)が出会ったことから始まったそうです。しかし先のボナルー・フェスが開催された02年にハウザーは膵臓ガンで亡くなられてしまいました。その後変遷を経て現在はジミー・ヘリングがギタリストを務めているわけですが、このジミー・ヘリングがまた、ジャム界の裏番長的な大物な訳です。一時期オールマン・ブラザーズ・バンドやフィル・レッシュのバンドに参加していたことはよく知られてるかもしれませんが、他にもデレク・トラックスとのツイン・ギターが楽しめるFROGWINGS、アルフォンソ・ジョンスンやビリー・コブハム等と結成したグレイトフル・デッドのカヴァー・プロジェクトJAZZ IS DEAD、さらにリッチー・ヘイワード、T・ラヴィッツ等とのJUSTICE LEAGUE、自身のプロジェクトであるPROJECT Z 等々。まあ、とにかくあらゆるところで弾きまくってるんです。

オールマンやデレク周辺との交流からも想像出来る通り、サザン・テイスト豊かなギターを弾く人ですが、その一方でスティーヴ・モーズを敬愛しているという、早弾きを駆使したテクニカルでプログレッシヴな面も持つ、なかなか一筋縄ではいかないギタリスト。その彼がワイドスプレッド・パニックに加入したのが06年。何となくジミー・ヘリングってマニアックな活動を信条としているようなギタリストと思い込んでいたりもしたので、ワイドスプレッド・パニックというビッグ・バンドへの本格加入は正直意外でしたね。で、これは凄いことになるぞ!と。

そしてそのジミー・ヘリング擁するワイドスプレッド・パニックの最新スタジオ作が昨年リリースされた写真の「DIRTY SIDE DOWN」。幻想的な雰囲気からメタリックなギター・リフへの展開が秀逸な「Saint Ex」からスタート。サザン・ロックならではのファンキーなノリが堪らなく格好良い「North」。快調に飛ばすジミー・ヘリングのギターが良い!さらにソウルフルなジョン・ベルの歌も良い!! タイトル曲「Dirty Side Down」辺りのコースティック・ギターの音色が印象的なスケールの大きなグルーヴや、「Clinic Cynic」でのオーガニック且つ高揚感の高いヴァイヴは米ジャム・バンドならでは。そして爽快なアメリカン・ロック「True To My Nature」の気持ち良い~こと! ブルージーなブギのリズムが印象的な「Visiting Day」も良い! さらにスロー・ナンバー「When You Coming Home」は流石に懐の深さが伺い知れる! ラストはジャム・バンドの爽やかさと土臭い南部テイストが同居する「Jaded Tourist」と「Cotton Was King」の2曲で締め。ゴスペル・タッチを感じさせる鍵盤のノリとか、切れ味鋭いギター・ソロとか、エモーショナルなヴォーカルとか、いや~、最高ですね! そして全体に広がる大陸的な悠久さのようなヴァイヴが素晴らしい! これこそ米ジャム・バンドの本質ですよね~!

で、もちろんジャム・バンドですからね。ある意味、スタジオ作とライヴは別物ですよ。そのステージの素晴らしさは、デッド・ヘッズならぬ、スプレッド・ネックと呼ばれるファン・コミュニティーを生み出しているとか。そんな彼等のライヴがいよいよ日本でもベールを脱ぐ訳です。しかもフジロックで金曜、土曜の2日間、ヘヴンのトリを務める訳ですからね。いったいどんなステージを観せてくれるんでしょうね?


さて、今年もボナルー・フェスティバルが去る6月に開催されましたが、我らがワイドスプレッド・パニックは最終日の大トリを務めました。これはネットで生中継され、私もパソコンにかじり付いて観ましたよ! 最高でしたね!後半にはブルース・ホーンズビー(kbd)をゲストに招いて、まさに横綱級の見事なステージを展開してくれました。これぞライヴ・バンド!こんなバンドがフジで観れる幸せ! しかも2ヶ月前にボナルーで大トリを飾ったバンドをフジで観れるって凄くないですか?もちろん初来日。これを逃すと次はいつ観れるかわかりません…。


Bonnaroo Classics: Widespread Panic with Dottie Peoples - Tall Boy

02年の第1回ボナルー・フェスからドッティー・ピープルズ達との共演で「Tallboy」


Widespread Panic - Red Hot Mama (Live from Bonnaroo 2011)

そして今年2011年のボナルーでの「Red Hot Mama」


widespread panic new years w/G.Love on harmonica!!

今年のニュー・イヤーズ・ギグでしょうか?何故かG.ラヴがハープを吹いている「blackout blues」。こんな共演が苗場で観れちゃうかもね?



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