ルーツな日記

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フジ予習:コンゴトロニクス VS ロッカーズ

2011-07-22 08:10:43 | フジロック
VA / TRADI-MODS VS ROCKERS

フジ予習特集第6弾、コンゴトロニクス VS ロッカーズ!!! ついに、フジロックにコノノNO.1がやってきます!しかもカサイ・オールスターズも一緒に!

上の写真は昨年リリースされた作品、邦題「コンゴトロニクス世界選手権」。凄いタイトルですよね~! コンゴトロニクスとはもちろんコノノNO.1やカサイ・オールスターズをはじめとしたコンゴ周辺のアーティスト達のこと。そのコンゴトロニクスの旗のもと、ディア・フーフ、フアナ・モリーナ、スケルトンズ、アニマル・コレクティヴ、アンドリュー・バード、ジョリー・ホランド、山塚アイ、などなど、ジャンルを飛び越えたオルタナティヴなロッカーズが参加したコンゴトロニクスのトリビュート作。

何せインディー・ロックあり、話題のブルックリン勢あり、さらに個性派SSWから、トランス、音響系まで、ありとあらゆる音楽がコンゴを飲み込んで行く、いやコンゴに飲み込まれているのか? ですが彼等とコンゴ勢が共演している訳ではありません。あくまでもロッカーズ側からのトリビュート作です。もちろんコンゴなエッセンスは感じられますが、根本的なサウンドはロッカーズのもの。しかしこれだけ多彩な個性を持ったアーティスト達がコンゴトロニクスをリズペクトし、彼等の音楽と共鳴している事実には、かえってコンゴトロニクスの計り知れない魅力を感じさせられます。こういうアルバムが2枚組というヴォリュームで実現したことは色々な意味で奇跡的。(コンゴトロニクスの存在そのものが既に奇跡的ではありますが…。)

そしてもっと奇跡的なのが、この作品を元にライヴ・プロジェクトとしてのコンゴトロニクス VS ロッカーズが誕生し、ツアーを始めてしまったこと。これは本当にコンゴ勢とロッカーズ達がステージで共演する訳ですからね。凄いことですよ! フジロックに参加するのは、コノノNO.1とカサイ・オールスターズのコンゴ勢、そしてディア・フーフ、フアナ・モリーナ、マット・ミーラン(スケルトンズ)、ワイルドバーズ&ピースドラムス、というメンバー。しかも今のところ日本がツアーのファイナルになっているそうで、フジロックはその集大成となりそうな予感。


まず、何はともあれ、コンゴトロニクスな方々をご紹介。


KONONO NO.1 / CONGOTRONICS
04年にリリースされたコノノNO.1のデビュー作「CONGOTRONICS」。この衝撃はホント凄まじかった。アフリカの濃さというか、ある種の野蛮さのようなものを世界中に知らしめた作品。人類史上最も素朴な楽器の一つであろう親指ピアノを電気で増幅させて爆音化するという荒技、そして他の楽器も産業廃棄物などのリサイクルで作ったジャンク楽器を使っているといういかがわしさ。しかしその民族的な伝統を本能のままに爆音化させたいという原始の欲求が生み出す濃密アフリカン・グルーヴは、まさに彼等にしか成し得ない無限トランス地獄。この彼等のファースト作がコンゴトロニクスの始まりとなり、このシリーズの1作目となりました。ちなみにコンゴトロニクスとは、彼等の出身地であるコンゴ民主共和国のコンゴと、エレクトロニクスを合わせた造語。今回のツアーには首領のミンディエギは高齢のため参加されないそうなのが残念ですが、その息子さんを中心にコノノ・ワールドは健在だそうです。ちなみに彼等は昨年ニューアルバムを出していまして、そちらも凄いです!
http://www.youtube.com/watch?v=2cU19URUe6o&feature=related



KASAI AIISTARS / KASAI AIISTARS
コンゴトロニクスとして、コノノの次に紹介されたのがこのカサイ・オールスターズ。その名の通りコンゴ民主共和国のカサイ地方出身のグループ。エレキ・ギターなどが入ってるというモダンな面も持ちながら、このジャケ写の衣装からも察せられるように、そのスタイルは土着そのもの。コノノにはおやじ達がストリートでガチャガチャやってる雰囲気を感じましたが、こちらはさらに秘境感濃厚で、一般人は決して立ち入れない異教の祭祀、と言うより呪術や魔術の現場を見せられてるような…。怪し気な民族衣装とペインティングに身を包み、官能的に踊るダンサーを見ているだけでもかなりのトリップ感。ちなみにこのアルバムのサブタイトルは「七番目の月の夜に、酋長は魔術によって泳ぐ魚に化けて敵の頭を食べた」というもの。何かの呪いですか?
http://www.youtube.com/watch?v=QdwifejfvcI&feature=related


このコノノやカサイのアルバム、さらに彼等を中心に編まれたコンピなどがコンゴトロニクス・シリーズとしてリリースされ、おそらくその最新作となるのが、先の「コンゴトロニクス世界選手権」。そしてこれらを発売しているのがベルギーの精鋭レーベル、クラムドディスクです。タラフ・ドゥ・ハイドゥークスとか、コチャニ・オーケスターとか、スタッフ・ベンダ・ビリリとか、近年の驚異的なワールド・ミュージックはみんなここなんですよね~。そしてこれらの仕掛人とも言えるクラムドディスクのプロデューサーがヴィンセント・ケニス。彼は今回の公演にベーシストとして帯同しているそうなので、こちらにも注目ですね。



さて、お次ぎはロッカーズの皆様。


DEERHOOH / DEERHOOH VS EVIL
コンゴトロニクス VS ロッカーズは総勢20名にもなるプロジェクトで、なかなか日本に呼ぶのは困難だったそうですが、フジロックにディア・フーフが出演することによる引き算がキー・ポイントとなり来日が現実へと動き出したとか。サンフランシスコの4人組ディア・フーフ。写真は今年リリースされた彼等の最新作。荒っぽかったり緻密だったり、可愛かったりアヴァンギャルドだったりと、彼等ならではのポップなインディ・ロックが炸裂。日本盤ボーナス・トラックのライヴ音源も秀逸。このバンドはドラムが良いですよね。コンゴ勢とどう絡むのか?楽しみです!
http://www.youtube.com/watch?v=Sl9Odo_8rjo&feature=related


JUNA MOLINA / UN DIA
アルゼンチン音響派の才女フアナ・モリーナ。近年はサンプリングとループを駆使して独自の音空間を作り出す。写真はそんなフアナが08年にリリースした現時点の最新作。彼女は09のフジロックに出演していまして、私もオレンジ・コートで観ましたが、一人で次々にループを紡ぎつつ美声を披露する素晴らしいステージでした。その時はアヴァロンや木道亭でも演ったことを考えれば、今年もコンゴトロニクスとの共演だけじゃなくて、何処かのステージにソロで出れば良いのに~!と思ってしまいますが、逆にコンゴとの共演のみ、と言うところがなんとも贅沢ではないですか!
http://www.youtube.com/watch?v=9DOb0xOJlqk&feature=related


SKELETONS / MONEY
ブルックリンから登場のスケルトンズ。正直、私は知らないバンドでしたが、既にアルバムを6枚リリースしているそうです。写真の作品は5枚目かな? 冒頭のイントロが終わり、2曲目「The THINGS」の格好良いこと!引きつるように跳ねるドラム、アヴァンギャルドなギター・カッティングに不穏なホーン・リフが被さってくる、独特のトライバル感にゾクゾクしましたね。そのアーティスティックな音像はダーティ・プロジェクターズ辺りと似た臭いを感じます。フジには中心メンバーのマット・メーランが一人で参加。
http://www.youtube.com/watch?v=Ln96nvOagcc


WILDBIRDS & PEACEDRUMS / THE SNAKE
スウェーデン出身の男女デュオ、ワイルドバーズ&ピースドラムス。ドラムスと女性ヴォーカルというシンプルな編成ながらシンプル故にフリー・ホームな表現は流石に先鋭的ですし現代アート的。肉感的なビートに巫女化したパティ・スミスのような歌唱が踊る「There Is No Light」という曲を初めて聴いた時はその格好良さにぶっ飛びましたよ!ちなみにこのデュオ、「コンゴトロニクス世界選手権」に参加してないんですよね。どういういきさつでツアー参加が決まったのかも興味深いところですが、とにかく北欧の先鋭とコンゴの伝統、これも楽しみ! ちなみに苗場食堂で単独のステージもありますよ。
http://www.youtube.com/watch?v=PjThbylqXdI


どうですか?今回見逃したらもう2度と観れないかもしれないこの共演陣。そりゃあ、メンバーについては、ジョリー・ホランドも呼んで欲しかったとか、ウィルコのグレン・コッチェは何故いないのか?とか言い始めたらきりがありませんが、それにしても豪華メンツなことに間違いありませんよね!フジロックはホント凄いことになりそう。



さて、そんなフジ予習を兼ねて、先日、青山LAMAIでコンゴトロニクスのトーク・ショーを観てまいりました。松山晋也さん、サラーム海上さん、そしてプランクトン代表の川島恵子さんの御三方による、コンゴトロニクスに関する興味深い話の数々、コンゴ関係のレアな映像、Tシャツのプレゼント、などなど、楽しませて頂きました。その音楽そのものが素晴らしいのはもちろんなのですが、クラムドディスク側のコンゴトロニクス VS ロッカーズに対する意気込みや、それの実現までの苦難の道のりなどを聞かされてしまうと、やはり情が移りますよね~。

コンゴ勢とロッカーズが初めてリハーサルをしたとき、お互いの音楽に溶け込めずに、それぞれが手探りで音を鳴らすだけだった頃の映像も微笑ましかったですが、その後リハを重ね、ツアーで場数を経験した後、イギリスのBarbicanでのライヴ映像が凄かった!いくつかあるBarbicanの映像の一つがこちら↓

July 12, 2011: Congotronics vs Rockers @ Barbican



日本で言えば、オーチャード・ホールのような会場らしいのですが、この盛り上がりはディープですよね。これが野外で観れる訳ですから堪りませんよね。さて、フジロック土曜のトリ。フェイセスを観ますか?それともコンゴトロニクス VS ロッカーズを観ますか? 正直、私は迷ってます…。いや、コンゴに傾きかけています!



ちなみに日本公演最終日は8月1日の渋谷クラブクアトロ。こちらが正真正銘のツアー・ファイナルになる予定だそうです。



~関連過去ブログ~ お時間有ったらぜひ!

 11.07.17 フジ予習:ワイドスプレッド・パニック
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