SYEVE CROPPER / DEDICATED
現在、ブルーノート東京及びコットンクラブでの「STAX! フィーチャリング・スティーヴ・クロッパー、ドナルド“ダック”ダン & エディ・フロイド」公演のため来日中のスティーヴ・クロッパー。残念ながら私はライヴには行けないのですが、この機会に彼が昨年リリースしたソロ作「DEDICATED」をご紹介。これがなかなかの快作なんですよ!
ご存知、BOOKER T.&THE MG‘Sでサザン・ソウルの一時代を築いたギタリスト、スティーヴ・クロッパー。近年もフェリックス・キャヴァリエとのコラボ作など話題作を残している彼ですが、こちらは50年代に活躍したドゥー・ワップ・グループ、ザ・ファイヴ・ロイヤルズをトリビュートした作品。R&Bチャートに何曲もヒット曲を送り込む一方、レイ・チャールズの「Tell The Truth」、ザ・シレルズの「Dedicated to the One I Love」、そしてジェイムス・ブラウンで有名な「Think」のオリジネーターとしても知られるグループです。
クロッパーが初めてザ・ファイヴ・ロイヤルズを聴いたのはその「Think」だったそうです。当時、ハイスクール・バンドを一緒に組んでいたダック・ダンを通してだったとか。特にギター・リックに感銘を受けた若きクロッパーは、これこそ自分が鳴らしたいサウンドだと直感したようです。そのギタリストこそ、クロッパーはもちろんエリック・クラプトンにも影響を与えたというローマン・ポーリングでした。
確かにオリジナル「Think」のイントロを含めたソリッドなギターは格好良いですよ! まさにクロッパーの原点と言われて納得のギター・リックです。またローマン・ポーリングは作曲者としても有能で、この「Think」はもちろん、「Dedicated to the One I Love」、「Tell The Truth」を含む多くの楽曲を書いています。このスティーヴ・クロッパーの新作に納められた曲もほとんどがローマン・ポーリングにより書かれた曲です。
さて、その1曲目、「Thirty Second Lover」。まずイントロのギター! 切れ味と粒立ちの良いその音色にやられます。歌うはスティーヴ・ウィンウッド。ホーン隊を含めたジャンプ・サウンドに渋いフィーリングのウィンウッドの歌がよく合います。そしてそこに絡むクロッパーのギター。格好良いですね~! 続く「Don't Be Ashamed」を歌うのはベティ・ラヴェット! 彼女のしゃがれたソウルフル・ヴォイスと、それに切れ込んでいくようなクロッパーのギターがやはり素晴らしい。「Thirty Second Lover」にしろ、「Don't Be Ashamed」にしろ、原曲もギターの存在感が際立った曲ですが、ここではゲストの個性を際立たせながら、ローマン・ポーリングからの影響と彼への愛情を感じさせるクロッパーのギター、やはり流石です。
B.B.キングとシェメキア・コープランドのデュエットで聴かせる「Baby Don't Do It」。BBの抑え気味なリード・ギターが味わい深いです。ルシンダ・ウィリアムスが歌いダン・ペンも参加した名曲「Dedicated To The One I Love」。ここではクロッパーの職人的なバッキングが素晴らしい! バディー・ミラーが参加した「The Slummer The Slum」はバディー独特のオルタナ・カントリー感に痺れます。またクロッパーとバディ・ミラーによるギター・バトルにはちょっと興奮。そしてダン・ペンが歌うスロー・ナンバー「Someone Made You For Me」。この哀愁! グッときますね~。
他にも、ジョン・ポッパー、デリバート・マクリントン、シャロン・ジョーンズなど豪華ゲストが参加していますが、そんななか最も意外なゲストと言えば、「I Do」に参加したブライアン・メイでしょうね。この人がギターを弾けば何でもクイーンになってしまうんじゃないかと思ってしまいますが、思った程はクイーンぽくなってないなという印象。シャッフル調のリズムも気持ち良く、ギターの音色的には意外とオーソドックスなブルース・ロックを感じさせるサウンド。ですがフレーズの端々にブライアン・メイらしい手癖を感じますね。でもその辺がかえって面白かったり。何だかんだでこの人選にはセンスを感じさせられますね。
そしてゲスト・シンガーなしでインスト曲として録音された「Think」。この曲を敢えてインストで録音したところにクロッパーのこだわりを感じさせられます。ま、インストと言ってもバック・コーラスは入ってますけどね。クロッパーの渋くもギラっと光るギター・プレイがたっぷり楽しめます。インストと言えば、クロッパーのセンチメンタル且つブルージーなギターが味わえる「Help Me Somebody」も秀逸。
ちなみに、バック・メンバーは、デヴィッド・フッド(b)、スプーナー・オールダム(key)、スティーヴ・フェロン(ds)、スティーヴ・ジョーダン(ds)などと、ゲストに勝るとも劣らない豪華布陣。プロデュースはジョン・タイヴン&スティーヴ・クロッパー。初めは豪華なゲスト陣に耳が行きがちですが、聴けば聴く程色々な味が滲みてくる傑作です!!
THE 5 RYALES / SING FOR YOU
こちらはザ・ファイヴ・ロイヤルズのキング時代の録音。クロッパーが「DEDICATED」で取り上げた「When I Get Like This」、「The Slummer The Slum」を収録している他、レイ・チャールズで知られる「Tell The Truth」も入ってます。
現在、ブルーノート東京及びコットンクラブでの「STAX! フィーチャリング・スティーヴ・クロッパー、ドナルド“ダック”ダン & エディ・フロイド」公演のため来日中のスティーヴ・クロッパー。残念ながら私はライヴには行けないのですが、この機会に彼が昨年リリースしたソロ作「DEDICATED」をご紹介。これがなかなかの快作なんですよ!
ご存知、BOOKER T.&THE MG‘Sでサザン・ソウルの一時代を築いたギタリスト、スティーヴ・クロッパー。近年もフェリックス・キャヴァリエとのコラボ作など話題作を残している彼ですが、こちらは50年代に活躍したドゥー・ワップ・グループ、ザ・ファイヴ・ロイヤルズをトリビュートした作品。R&Bチャートに何曲もヒット曲を送り込む一方、レイ・チャールズの「Tell The Truth」、ザ・シレルズの「Dedicated to the One I Love」、そしてジェイムス・ブラウンで有名な「Think」のオリジネーターとしても知られるグループです。
クロッパーが初めてザ・ファイヴ・ロイヤルズを聴いたのはその「Think」だったそうです。当時、ハイスクール・バンドを一緒に組んでいたダック・ダンを通してだったとか。特にギター・リックに感銘を受けた若きクロッパーは、これこそ自分が鳴らしたいサウンドだと直感したようです。そのギタリストこそ、クロッパーはもちろんエリック・クラプトンにも影響を与えたというローマン・ポーリングでした。
確かにオリジナル「Think」のイントロを含めたソリッドなギターは格好良いですよ! まさにクロッパーの原点と言われて納得のギター・リックです。またローマン・ポーリングは作曲者としても有能で、この「Think」はもちろん、「Dedicated to the One I Love」、「Tell The Truth」を含む多くの楽曲を書いています。このスティーヴ・クロッパーの新作に納められた曲もほとんどがローマン・ポーリングにより書かれた曲です。
さて、その1曲目、「Thirty Second Lover」。まずイントロのギター! 切れ味と粒立ちの良いその音色にやられます。歌うはスティーヴ・ウィンウッド。ホーン隊を含めたジャンプ・サウンドに渋いフィーリングのウィンウッドの歌がよく合います。そしてそこに絡むクロッパーのギター。格好良いですね~! 続く「Don't Be Ashamed」を歌うのはベティ・ラヴェット! 彼女のしゃがれたソウルフル・ヴォイスと、それに切れ込んでいくようなクロッパーのギターがやはり素晴らしい。「Thirty Second Lover」にしろ、「Don't Be Ashamed」にしろ、原曲もギターの存在感が際立った曲ですが、ここではゲストの個性を際立たせながら、ローマン・ポーリングからの影響と彼への愛情を感じさせるクロッパーのギター、やはり流石です。
B.B.キングとシェメキア・コープランドのデュエットで聴かせる「Baby Don't Do It」。BBの抑え気味なリード・ギターが味わい深いです。ルシンダ・ウィリアムスが歌いダン・ペンも参加した名曲「Dedicated To The One I Love」。ここではクロッパーの職人的なバッキングが素晴らしい! バディー・ミラーが参加した「The Slummer The Slum」はバディー独特のオルタナ・カントリー感に痺れます。またクロッパーとバディ・ミラーによるギター・バトルにはちょっと興奮。そしてダン・ペンが歌うスロー・ナンバー「Someone Made You For Me」。この哀愁! グッときますね~。
他にも、ジョン・ポッパー、デリバート・マクリントン、シャロン・ジョーンズなど豪華ゲストが参加していますが、そんななか最も意外なゲストと言えば、「I Do」に参加したブライアン・メイでしょうね。この人がギターを弾けば何でもクイーンになってしまうんじゃないかと思ってしまいますが、思った程はクイーンぽくなってないなという印象。シャッフル調のリズムも気持ち良く、ギターの音色的には意外とオーソドックスなブルース・ロックを感じさせるサウンド。ですがフレーズの端々にブライアン・メイらしい手癖を感じますね。でもその辺がかえって面白かったり。何だかんだでこの人選にはセンスを感じさせられますね。
そしてゲスト・シンガーなしでインスト曲として録音された「Think」。この曲を敢えてインストで録音したところにクロッパーのこだわりを感じさせられます。ま、インストと言ってもバック・コーラスは入ってますけどね。クロッパーの渋くもギラっと光るギター・プレイがたっぷり楽しめます。インストと言えば、クロッパーのセンチメンタル且つブルージーなギターが味わえる「Help Me Somebody」も秀逸。
ちなみに、バック・メンバーは、デヴィッド・フッド(b)、スプーナー・オールダム(key)、スティーヴ・フェロン(ds)、スティーヴ・ジョーダン(ds)などと、ゲストに勝るとも劣らない豪華布陣。プロデュースはジョン・タイヴン&スティーヴ・クロッパー。初めは豪華なゲスト陣に耳が行きがちですが、聴けば聴く程色々な味が滲みてくる傑作です!!
THE 5 RYALES / SING FOR YOU
こちらはザ・ファイヴ・ロイヤルズのキング時代の録音。クロッパーが「DEDICATED」で取り上げた「When I Get Like This」、「The Slummer The Slum」を収録している他、レイ・チャールズで知られる「Tell The Truth」も入ってます。