ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
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ジョニー・ウィンター&サニー・ランドレス@ジャパン・ブルース&ソウル・カーニバル

2012-05-27 22:45:27 | フェス、イベント
5月26日、お台場のZepp DiverCity Tokyoへ「JAPAN BLUES & SOUL CARNIVAL 2012」を観に行ってまいりました。

今回の出演は、昨年の初来日公演が既に伝説と化しているジョニー・ウィンターが再び、そして9年振りの来日となるサニー・ランドレスの2組。特にサニー・ランドレスは、前回の来日ステージが弾き語りのソロ・ライヴだったこともあり、今回はいよいよバンド・セットによる来日が実現と言うことで、まさに待望のステージです。私も03年のブルース&ソウル・カーニバルでサニー・ランドレスのステージを観ているのですが、もちろん弾き語りライヴも大変貴重なステージではありました。ですが最後にアイク・ターナーの居ないキングス・オブ・リズムにジョイントし、エレキ・ギターによるサスティーンの効いたロッキンなスライド捌きの片鱗を見せられて以来、バンド・セットでの来日を待ちこがれていたんです。

さて、ブルース&ソウル・カーニバル、まずはそのサニー・ランドレスからスタート。いきなりスピーディーなインスト曲「Z Rider」。サニーのスライドが唸りを上げる。疾走感抜群に駆け抜けながらも雄大なメロディーを感じさせるサニーならではのフィーリング。タイト且つパワフルな一体感でトリオならではの濃密グルーヴを演出するバックも最高! ベースはDave Ranson、ドラムスは名前をよく聞き取れなかったですが、Brian Brignacだったんでしょうね? おそらくこのトリオが現在のサニーのレギュラー・バンドなんでしょう。両者共にサニーの先日リリースされたばかりの最新作「ELEMENTAL JOURNEY」でもがっつり脇を支えていますし、Dave Ransonにいたっては元ゴナーズ(80年代にジョン・ハイアットのバック・バンドとして結成され、サニーがギタリストを務めていたバンド)ですからね。

続いて2曲目もインスト「Native Stepson」。最新作「ELEMENTAL JOURNEY」がインスト作であるのが影響しているのか、選曲にはインスト曲が目立ちましたね。特に中盤に披露された「The Milky Way Home」なんかのトリッキー且つ独創的なギター・リフから縦横無尽なスライド・ソロへ雪崩れ込む感じはサニー・ランドレスならではの格好良さ。インスト曲が多かった分、サニーのスライドを浴びるように堪能出来て良かったかも。まあ、我を忘れて堪能する反面、目はその弦捌きに釘付けだったりで、音を聴きながらどうなってるんだろう?みたいな。

サニー・ランドレスと言えばビハインド・ザ・スライド奏法 。これは実際にスライド・バーを使ったことのある人でないと分かりづらいかもしれませんが、つまり、バーより後方、ネックよりのフレットを余った指で押さえるテクニック。この技によりスライド・バー使用時の、単調になりがちなコード展開などに幅が出来る訳です。この画期的なテクニックはサニーのオリジナルなものらしい。サニーは小指にバーをはめてましたが、その後ろの指、特に人差し指なんかはバッキングのみならず、ソロの時もバーの後ろで忙しく動いていました!

このスライド・バーを滑らせつつ小技を利かす左手の動きが凄いのはもちろんなんですが、意外と弦を弾く右手も凄い。基本的にはサム・ピックを中心にした指弾きだと思うんですが、時に手のひらで叩いたり、擦ったり、タッピングをするかのようにフレット上に指をはわせたり、とにかくトリッキーな動きの連続。うねるようなスライド音と交差するようにハーモニクスやノイズがかった刺激的な音色をギュンギュン言わせていました。正直、目も耳も追いつかない感じ。まさに魔術師的なスライド・マスター!

そして最新作からは落ちついた雰囲気の「Forgotten Story」。途中レゲエっぽくなるところは良いアクセントになってましたね。あとスローな「Brave New Girl」も演ったかな?ちょっとこの辺りは記憶が曖昧なんですけど、とにかく終盤にスローな曲を演って、そこから切れ目無しにアップ・ナンバーの「Uberesso」へと繋ぐ展開は格好良かった! さらに「Uberesso」でのまるでマシンガンのようなサニーのピッキングも天晴でした!

もちろん、インストだけでなく歌物もありましたよ。「Promise Land」では渋くブルージーな歌声を聴かせてくれましたし、いなたいノリの「Hell At Home」も最高でした。この辺りは南部フィーリングを感じさせてくれて堪らないものがありましたね。さらに意外だったのはスキップ・ジェイムスのカヴァー「Cherry Ball Blues」。もちろんブルース・ロック調にアレンジされてますが、しっかりミシシッピ臭も残ってる。これには参りましたね~。あと曲前にカトリーナがどうのこうのと言って始めた(すいません、英語がダメなもので。おそらく、カトリーナについて歌った曲、とかそんな感じでしょうか?)「Blue Tarp Blues」も印象的でした。例の弦を擦るタッチで不思議な雰囲気を作っていましたね。

そしてラストを締めたのはやはりインストでした。曲は「Pedal To Metal」。これも格好良い曲ですよね~。これだけトリッキーに聴こえるスライド捌きはサニー・ランドレス以外に無いですよね。それを生で観れる至極の喜び。ホント格好良い~!!

アンコール無しの1時間弱という短めのセットでしたが、素晴らしいステージでした。個人的には「Congo Square」、「Back to Bayou Teche」、「Levee Town」などルイジアナ色の濃い曲も聴きたかったんですけどね~。まあ、その分「Z Rider」、「The Milky Way Home」、「Uberesso」、「Pedal To Metal」など、インストの格好良い曲は全部演ってくれた感じで、その点は圧巻でしたね。

ちなみにサニーは曲ごとに赤と茶色の2本のストラトを取っ替え引っ替え弾いてました。またかなり高い位置にギターを構える姿も印象的でしたね。



セットリスト↓

01. Z Rider
02. Native Stepson
03. Promised Land
04. Cherry Ball Blues
05. Hell At Home
06. Forgotten Story
07. The Milky Way Home
08. Blue Tarp Blues
09. Brave New Girl
10. Uberesso
11. Pedal To Metal

既に記憶が曖昧です。インスト曲が多いとはっきりとした記憶が残りづらいんですよね~。特に9曲目。多分新作からのこの曲だったと思うのですが、何分、その新作も前日に買ったばかりでまだ聴き込んでないものですから…。間違っていましたらごめんなさいね。



そしてジョニー・ウィンター。まずはバック・バンドによるインスト曲の演奏から始まり、途中からジョニー・ウィンターが加わる。背を丸めてよたよたと若干小走りのようにステージ中央へやって来るジョニーの姿は何となく微笑ましかったですね。お馴染みの黒いヘッドレスのギターを手にし、そのまま立った状態で演奏を始めるジョニー。これには少々驚きました。まあ、その後すぐに座りましたけど、それでもジョニー・ウィンターの絶好調振りを伺わせるに充分なサプライズでした。

さて椅子に腰掛けたジョニー・ウィンターは、「Hideaway」、「She Likes To Boogie Real Low」、「Good Morning Little Schoolgirl 」、「Got My Mojo Working」、「Johnny B. Goode」と快調に飛ばします。特に「Good Morning Little Schoolgirl 」からの3曲の勢いは半端無かったですね。多少のミストーンなどものともせずに暴れるように突き進んでいくギター・ソロもさることながら、声もハリがあって良く出ていましたし、唸るようなシャウトも迫力ありました。またジョニーをがっちりと後押しするバック・バンドも素晴らしかったですね。

ただセット・リストは前回とほとんど同じ。レイ・チャールズのスロー・ブルース「Black Jack」。ドラマーさんが歌った「Tore Down」。さらに「Don't Take Advantage Of Me」の後半が「Gimme Shelter」になる展開などなど。なんて言いますか、鉄板のセットリストなんでしょうね。

そしてラストは「It's All Over Now」。この曲でジョニーは再度立ち上がり、なんと最後まで立ったまま演奏。いや~、ジョニー・ウィンター、元気ですね! まあ、見た目はかなりおじいちゃんに見えるかもしれませんが、まだ60歳代ですからね(1944年生まれ)。そんなジョニー・ウィンター、歳はともかくとして、椅子に座っていても立ち上がっていても、そのオーラは半端無いものがありました。観客もかなり盛り上がっていましたね。

そしてお楽しみのアンコール。ジョニー・ウィンターはファイアーバードを持って登場。そしてサニー・ランドレスも再び登場。これですよ!ブルース・カーニバルのアンコールと言えばいわゆる「夢の共演」ですよ! ジョニーが椅子に座るや否やスライドをビュンと鳴らす。その時点で観客が大騒ぎ。サニー・ランドレスはジョニー・ウィンターの最新作「ROOTS」で、「T-Bone Shuffle」にゲスト参加しているのでてっきりそれをやるのかと思いきや、曲はエルモア・ジェイムスの「Dust My Broom」。ゲストが居ようが居まいが鉄板のセットリストは変えないぞ!というこだわりを感じさせますね。前半はジョニーがスライドを弾きまくり、後半にはサニー・ランドレスがフューチャーされる。ジョニーの豪快そのもののスライドに比べると、サニーのスライドは端正な完成度を感じさせる。2人の対比も面白い、まさに夢のスライド共演。

もっと共演を観たいところでしたが、サニーはこの1曲でステージを降り、ラストはボブ・ディランの「Highway 61 Revisited」。途中ジミヘンの「Third Stone from the Sun」のフレーズを絡めたり。私、前回のジョニー・ウィンターは前から2列目辺りで観たんですけど、その時、音のバランスがめちゃくちゃだったので、今回は少し引いた位置からゆっくり堪能しました。音のバランスもばっちりで、最高でした!

それにしても、夕方5時に始まって終わったのは7時半過ぎぐらいだったでしょうか? せっかく海外から2組も来ているのですからもう少し長くやってもらっても良いのに~、と思ったり。でもスタンディングで見せてくれたのはホント嬉しいですけどね!





セット・リスト↓

01. Intro
02. Hideaway
03. She Likes To Boogie Real Low
04. Good Morning Little Schoolgirl
05. Got My Mojo Working
06. Johnny B. Goode
07. Black jack
08. Tore Down
09. Lone Wolf
10. Don't Take Advantage Of Me
11. It's All Over Now
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12. Dust My Broom (with Sonny Landreth)
13. Highway 61 Revisited


この日のセットリストはこんな感じ。短く感じたんですが、実は前回に比べて「Sugar Coated Love」と「Bony Moronie」が落ちただけ。まあ、メンバーのソロなど端折った部分はあるかもしれませんけどね。