新宿PIT INNでTHE PUREの最後のライブ。バンドの解散という結論が残念で仕方がないが、それほどに、この夜のライブは素晴らしかった。個人的には追悼コンサートさえも超えてしまったかもしれないと思う。
セットリストのほとんどが本田竹広のオリジナルナンバーであるTHE PUREというバンドは、それゆえに「うた」を意識していたコンポーザーとしての本田竹広の志向性(メッセージ)に溢れたバンドである。つまり本田竹広そのものだったとも言える。オレはスタンダードを弾く本田さんも好きだったけれども、オリジナルのTHE PUREがとても好きだった。
しかしその実現性という意味では心許ない演奏の日もあったことは事実だろう。それほどバンドに対して、本田さんは高い要求をしていたように思うし、若いメンバーが萎縮していたように見えた時も少なくはない。しかし前回、1月11日のライブはそれはそれは素晴らしく、驚くほど本田さんもその出来を褒めていたという。残念ながらその日の演奏を聴くことは叶わなかったけれども、それでは、この日の演奏に本田さんは満足されるだろうか? きっと本田さんは「息子たち」のプレイを聴きながら踊っていると思えた。それほど、この日の本田竹広チルドレンたちの演奏は素晴らしかった。
旧メンバーやサポートメンバーを加え、格段にパワーアップしたアンサンブルとビートは、皮肉にも本田竹広という巨大な存在を失ってしまったがゆえに到達し得たものかもしれない。それにしても、この夜の演奏には若いメンバーの覚悟や決意が塊のようになって押し寄せてきた。「追悼」を忘れさせるほど楽曲に集中できた。本当に音楽というのは不思議なものである。失うことで得るものは大きい。
いつものオープニングナンバー『ソウルフルパートナー』に始まり、『Save Our Soul』で23時過ぎまでコール&レスポンス、アンコールありの盛り上がりだった。サポートメンバーも素晴らしかった。今出宏さんのハープは感動的だったし、ツインドラムの永原さんが苦笑するぐらい、グレース(GRACE)のドラムは怖いぐらい迫力があった(ライスカレーはまだやっているんでしょうか)。さらに『What's Going On』では本田チコさんもコーラスに飛び入り参加して盛り上げる。
アンコールの後、橋本信二さんが挨拶をした。
「これからもよろしく!といいたいですが、このバントは一応これで解散です。ありがとうございました」
信二さんは冗談を交えながら明るく挨拶した。THE PUREで演奏されたオリジナルを聴く機会がなくなってしまうのは残念だが、本田さんの音楽は若いメンバーたちの血肉となって生き続けていくことだろう。
THE PUREというバンドを忘れないように、刻んでおこう。
本田竹広p
橋本信二g
森田修史ts
小澤敏也perc
後藤篤tb
吉岡大輔b
宮崎イカキン健g
中村恵介tp
永原元dr
辰巳光英tp
今出宏harm, vo
あゆみvo
鈴木道子vo
松谷冬太vo
谷山明人per
グレースdr
モヒカーノ関p
ダミオンper
マネージャーの田村さん、ひとまずお疲れ様でした。
バンドメンバーの今後のご活躍を祈り、聴き続けていきたいと思う。