ぼくは今朝、いつもの公園でお散歩していると草むらの中に通っている小道に何か小さなものがあるので鼻でつつきました。
おかあさんが近づいて見るとスズメの赤ちゃんでした。
やはり、嘴の周りが黄色い。
どこも怪我をした様子でもなく、ただ飛ぶこともまだできない赤ちゃんがどうしてこんなところに落っこちているのか不思議でした。
その前にお父さんと自転車の練習をしていた4歳の女の子が、なになに?とお父さんとやってきました。
そのお父さんと、おかあさんは大人の会話で、きっと巣から抜け出してきたんだろうけど戻れなくなったんだろうねと話しています。
近くのお家の屋根に、そういえばお母さんらしきスズメがいて心配そうに見ているようでした。
どうしたものかと思案している大人たち。
そこに、小学一年生くらいの男の子が2人、自転車に乗ってやってきました。
わー、何だ、何だ!と興奮して見ていました。
一人がすぐに家から昆虫の飼育箱のようなプラスチックの箱を持ってきて(中には石や木の破片が入っていました)そっと、いれてやりました。
もう一人が、あわてて蓋をしてゆすっています。
ぼくはスズメの赤ちゃんが石の下敷きにならないかと心配でなりませんでした。
おかあさんは、その男の子たちに、このスズメの赤ちゃんはきっとお母さんから離れて困っているということ、もし君のお家に連れて帰るのなら、ちゃんと育てられるかどうか、餌だってまだちゃんと食べられないだろうから、練餌といってすり鉢ですって口に入れてあげないと食べないよ、と、おかあさんは自分が子どもだったころにお父さんが山で拾ってきたホオジロの赤ちゃんを育てたことを思い出して話してあげていました。
2人の男の子たちの目は輝いていました。
おかあさんは、育ててあげようと思うなら、お家の人に相談してごらんなさい、と2人に言いました。
一人の男の子がその箱をお家に持って帰る間、もう一人が2台の自転車の見張りをしていました。
そこに若いお父さんを連れて、もう一人の男の子が帰ってきました。
若いお父さんはまだスズメの箱を確認していなかったようでしたが、おかあさんが事情を話すと理解してくれたようでした。
ほっとして、しかし、お母さんスズメのことを思うとかなしい気持ちでもありましたが、女の子のお父さんも、ぼくのおかあさんもひとまずは安心して公園から帰りました。
ぼくのおかあさんは子どもの時に育てたホオジロが大きくなって、窓を開けたとたんに飛びだして行った記憶がいつまでもあります。
その時、おかあさんのお父さんは「人間に育てられた小鳥が一人で生きていけるかなぁ」と心配していましたが、おかあさんはきっと元気に生きているわ、と信じていました。
あの男の子も同じような経験をすると思うと、おかあさんはわくわくしてくるのでした。
もう、いっぱいすることが頭の中でパニック状態にあるのに、今朝の公園でのできごとが、おかあさんに少しの元気をあたえてくれました。