『風の盆恋歌』に憧れてお庭に酔芙蓉を植え、毎年咲くのをたのしみにしているぼくのおかあさん。
どんどん大きくなって、今年はたくさんの花を咲かせてくれています。
朝は純白です。お昼頃にはうっすらピンクにほろ酔い夕方には、かなりいい色になります。
でも、写真ばかり撮ってないで、早くおさんぽに行こうよ、おかあさん!
昼間はほとんどお昼寝ばかりしているぼくですが、夕方のおさんぽは一番のたのしみです。
目が見えなくなって、耳も聞こえなくなって、しかも、もともとは野性的な嗅覚も持ち合わせていないぼくは地面が近いというだけで歩いています。
でも、好きなわんちゃんと嫌いなわんちゃんの区別はつくのです。ただし、5mくらいに近づいてから。
今までだと、苦手な子は遠くにいてもわんわん吠えていたのだけれど、このごろはおかあさんがそっと遠回りさせるのでぼくはほとんど気付かなくなりました。おかあさんが向こうの飼い主さんに、にっと笑うと、了解、というように向こうもにっと笑います。
だから、公園で会うのは好きな子たちばかり。やっぱり同じ種類のヨーキーとか、ヨーキーのミックス(最近は流行っているのか、シーズーとか、プードルとかのミックス犬もいます)とかは男女を問わず好きです。
このところのなかよしは9歳のシュナウザー、ロン君です。まだぼくより若いけど、糖尿病で失明して道路をまっすぐ歩くことが困難なのです。
公園の端っこにいつも赤い車が停まっているなと思っていたら、少し離れているところからお母さんに連れられてやってきているのでした。公園なら引っ張られてなんとか歩くことができるからだそうです。
ところがロン君、この間からは乳母車に乗って公園まで来ています。人間の赤ちゃんが乗るようなのが犬用でもあるのです!その点、ぼくんちは5軒ほどのお家を通り越してバス通りを渡ると公園なので、ぼくが歩けなくなっても抱っこしてきてもらえます。
公園の裏側のお家のシーズー君は18歳。3年前は抱っこしてもらって公園まで来ていましたが、その時の大きな病気を克服して、今では(やはり目が見えないのでお父さんが引っ張って誘導していますが)自力で歩いています。
とてもおしとやかで美しいお母さんに連れられている芝ちゃんの女の子もやはり目が見えません。よたよた歩いていますが、ちゃんと公園までおさんぽできてご飯を食べてくれるとほっとしますね、といとおしそうに話していました。
多分、ぼくがおかあさんにとっての最後の犬になるでしょう。(もし、もし、お時間ありましたら左のブックマーク「ももすけ写真館」に、おかあさんの犬たちの写真を載せましたのでご覧いただけるとうれしい)
おさんぽ仲間の犬たちも飼い主さんたちも、それぞれに年をとってきているのは確かであります。
つい先日、なぜか本棚に『ドン松五郎の生活』という分厚い古びた文庫本があるのを発見しました。おにいちゃんかおねいちゃんが買ったのかな、なんて思っていたのですが、昭和62年12月26刷とありますから、やはり、、、おかあさんの、、、でも、本人はとんと覚えがないようです。
井上ひさしもやはり夏目漱石を尊敬していたのだな、と思いました。でも、ぼくはビールなんぞは飲まないぞ。