●宇宙探査●月と火星を第2の地球に!―SPE―         科学技術研究者   勝 未来

                 ~各国は月と火星の探査計画を着々と実行に移している~   

●宇宙探査●北海道宇宙センターなどが打ち上げに成功したロケット実験の報告書まとまる

2013-10-02 22:55:32 | ロケット
 北海道宇宙科学技術創成センターなどが、8月10日に、北海道大樹町において、推力500 kgf級「CAMUI-500P」ハイブリッドロケットおよび推力500 kgf級SNS社製液体ロケット「すずかぜ」を打上げ、実験を成功させたが、このほどその報告書が完成した。

 今回の打ち上げ実験は、昨年(平成24年)7月に実施した超音速飛行実験と同規模の実験を再度実施し、前回確認された不具合への対応を確認すると共に、技術を熟成させることを目的としたもの。実施内容および結果の評価は以下の通り。

1. 目的

 ・SNS社製液体ロケット「すずかぜ」=ランチャ離脱時の機体の直進安定性を確保するため、推力を平成24年の200 kgfから500 kgfに増強する。燃焼終了後の慣性飛行時には機体姿勢制御のための予備実験を実施する。合わせて機体の軽量化も進める。

 ・「CAMUI-500P」ハイブリッドロケット=平成24 年実施の規模(推力500 kgf、到達高度7.5km、最高速度マッハ1.4、水平飛行距離6 km)を踏襲し、不具合が見られた減速系、特にドラッグシュート放出部を改善すると共に、機体の軽量化を進める。

2. 実施場所

 北海道大樹町美成(防衛省エンジン試験場跡地)

3. 打上げの結果

 1号機(すずかぜ)

 7:53に打上げられた。上昇中もGPSデータが地上局に定期的に伝送され、着水目標点に向かって軌跡が延びるのが確認できた。ドラッグシュートおよびメインシュートの開傘が良好に行われた様子も高度データの履歴から確認できた。機体は着水点のGPSデータから100 m以内で発見され、着水目標点の延長上、沖合6 kmで無事に回収された。オンボードデータから、高度6,554 m、速度382.1 m/s(マッハ1.16)に達したことが判明した。オンボードカメラによる映像の取得にも成功した。

 2号機(CAMUI-500P)

 11:45に打上げられた。6Gを超える加速が掛かると同時にGPSデータをロストし、気圧高度計は打上げ前から動作していなかった。GPSデータのロストは、軍事転用を避けるためにある加速度を超えるとソフトウェアロックが掛かる機能が動作したためと思われる。高度4000 mで一点だけGPSデータが伝送されたが、その後、沖合から着水音が聞こえた。打上げから着水音までの時間から、ドラッグシュートおよびメインシュートが開傘されず、機体は弾道飛行を行ったものと推測された。一点だけ伝送されたGPSデータの近傍でシーマーカーによる海面着色が発見され、その中からノーズコーンが回収された。シーマーカーはノーズフェアリングに搭載されていたので、この場所が着水点と推測される。着水目標点への直線上に位置する、沖合3 kmであった。
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