●宇宙探査●月と火星を第2の地球に!―SPE―         科学技術研究者   勝 未来

                 ~各国は月と火星の探査計画を着々と実行に移している~   

●宇宙探査●帰りのキップがない人類の「火星移住計画」はどこまで本気なのか?

2013-10-18 09:29:10 | 火星

 米航空宇宙局(NASA)の火星探査車「キュリオシティー」が火星の表面で採取した土から、水分を検出したことにより、俄かに将来の人類の火星への移住問題についての議論が活発化してきたようだ。

 ただ、今のところ火星への旅は、片道切符であり、例え火星へ辿りついたとしても、地球には戻ることはできない。

 火星表面は赤茶けた砂で覆われている。ところが「キュリオシティー」が表面の砂の下に灰色の土があることを発見したのだ。この土の成分を分析したところ、二酸化硫黄や二酸化炭素が検出され、重さにして約2%の水分が見つかったという。

 もし、人類が火星に降り立ったら、水がなくては命が持たない。今回、火星に水の存在が発見されたことにより、人類の生存の条件の一つがクリアされたことになる。

 ただ、水の問題は、人類の生存の条件の一つに過ぎず、人類の火星移住には難問が山積している。まず、火星に辿り着くまでの間、乗組員は宇宙線を浴び続けるがこれをどう克服するか。また、何とか火星に辿り着くことができても、火星で作業をする余力が乗組員に果たして残されているのか。

 火星は、地球に似て1日24時間、四季もありそうなので、他の惑星よりは人類が暮らし易いのかもしれない。しかし、大気がないので、シェルターの中での生活を強いられる。もっとも現在、「テラフォーミング」と呼ばれる惑星の大気化技術に注目が集まっている。

 テラフォーミングとは、人為的に惑星の環境を変化させ、人類の住める星に改造することを言う。例えば、炭化水素の気体を散布し、メタンなどにより温室効果を発生させたり、火星の軌道上に、巨大なミラーを建造して、太陽光を南極・北極に当て、大気中に二酸化炭素と水蒸気を放出させる、など夢物語のようなことが真面目に検討されている。

 これらのことを考えると、人類の火星移住計画など夢のまた夢と思いがちだが、本気で火星移住計画を推進している団体が存在しているらしい。

 これはオランダのバス・ランスドルプ氏が立ち上げたNPO団体「マーズ・ワン」で、人間を火星に移住させる「火星移住計画」を推進しているという。現在、20万人以上の応募者があるというから驚きだ。これらの応募者の中から24人~40人ほどの最終候補者を選定し、7年間の訓練を経たのち、2022年から2年刻みで4人ずつ火星に送り込む計画だという。

 人類は月に第一歩を記したが、未だに、月での生活は実現できていない。そんな中で、「火星移住計画」が打ち出された。夢を持つのはいいことだが、「まず、月での生活を実現させ、その経験を踏まえて火星移住計画を進めるべきではないのか」とつい言ってもみたくなる。(勝 未来)

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